( 259431 ) 2025/02/03 05:25:49 0 00 慣れ親しんだ趣味を楽しみたいが…(イメージ)
菅田将暉と有村架純がダブル主演を務めた映画『花束みたいな恋をした』(2021年公開)が、1月10日にTBS系列で地上波初放送となり、再び注目を集めた。同作で菅田が演じた「麦」は、社会人になり仕事に追われるなかで、小説やマンガ、音楽といった、趣味に時間を費やすことができなくなってしまう──。
しかし、麦に限らず、社会人になってからサブカルチャーに時間やエネルギーを費やすことができなくなった、という人は珍しくないのかもしれない。昨年、新社会人となった、いわゆる“サブカル好き”を自認していたZ世代の若者たちの中にも同様のケースは多いようだ。そのリアルな声を集めた。
「『花束みたいな恋をした』は、身につまされてしまって楽しく観られなかったです。まさに俺のことじゃないか、と……。インフラ系の企業に就職してからは、仕事で頭がいっぱいになってしまい、通勤中などの移動時間は電車で寝るか、ソシャゲをするだけです。
家に帰ってからも、頭を無にしていたいので、YouTubeでひたすら野球関連の解説動画を流すか、ソシャゲをしているだけ。学生時代までは少年誌から青年誌まで、漫画雑誌が発売されると毎週リアルタイム読んで追いかけていたし、アニメも新作を欠かさずチェックしていたんですけどね。今ではその気力がまったくないので、アニメを流すにしても一度観たことがあって話を知っているものばかり。最近は『コードギアス』とか『機動戦艦ナデシコ』とかを、BGMがわりにTVで流しましたね」(Aさん/20代男性)
「以前はマイナー系のバンドが好きで、新譜は必ずチェックしていました。学生時代は毎週下北沢のライブハウスに通っていましたし、古いレコードを集めたり、レコードプレイヤーも良いものをゲットしたりしていました。フジロックなどの大型フェスにもバイト代を貯めて毎年足を運んでいたんですが……。
それが就職してからは、在宅ワークと出社が半分ずつで、覚えることが本当に多くて。脳みそを空っぽにしたくて、永遠に『プロスピ』(スマホゲームの『プロ野球スピリッツ』)だけをやっています。学生時代の友人と会っても、お互いに話題がなくなっていき、最近ではプロスピの話題ばっかりでLINEグループを作って、ゲームの進捗報告をしたりしてますね(笑)。ライブやフェスに行くことも減ったし、新譜チェックもできなくなって、『こんなはずじゃなかったのにな……』なんて思ってしまいます」(Bさん/20代男性)
「映画館に行って映画を観るのが趣味です。いや、趣味でした。大学生の頃は、単館上映系の映画とか、いわゆる“おしゃれっぽい”ものにかぶれていて、色々とマニアックな映画をたくさん観ていましたね。学生時代は実家暮らしで、バイトしまくって自由に使えるお金を、映画とマンガ、あとは古着に使っていたんですけど、社会人になってから一人暮らしを始めて、家賃に苦しめられています。
時間もお金も限られてくるし、映画も学生時代は1500円だったけど、一般料金は2000円する。平日の安い日には仕事で行けません。そうすると、ギリギリの可処分所得のなかで、最初に削るのが“サブカルに関するお金”なんですよ。実際に本を買うのもためらってしまったり、マンガもスマホで無料で読めるものを漁ったりするようになりました」(Cさん/20代男性)
学生時代までは“サブカル好き”を自認していても、社会人になり自由に使える時間が減ったことで、落ち着いて映画や漫画、小説を楽しめなくなったZ世代の新社会人は少なくない様子。慣れ親しんだ趣味を楽しみたいのだけれど、そう簡単にはできないことへの葛藤も抱えているようだ。
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