( 259624 )  2025/02/03 16:15:53  
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瀬戸内海を支配した村上海賊の末裔で、総務大臣の村上誠一郎氏がインタビューに応じる。

最近忙しさを感じるが、政治資金問題や選挙、SNS、放送行政など多岐にわたる問題に取り組む。

石破総理の活躍を高く評価し、政治改革や財政再建、金融緩和の出口戦略、税の一体改革などに注力する必要があると語る。

自身が安倍晋三元総理を「国賊」と呼び、一時党役職停止処分を受けた経緯や石破総理への助言、国民民主党の「103万円の壁」引き上げを巡る考えも述べている。

(要約)

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インタビューに応じる村上誠一郎氏 

 

戦国時代に瀬戸内海を支配した村上海賊の末裔は、「正論」を叫び続けた末に、ついに閣僚に返り咲いた。彼が思い描く今後の展望とは—。総務大臣の村上誠一郎氏本人に話を聞いた。 

 

むらかみ・せいいちろう/'52年、愛媛県生まれ。'86年に愛媛2区から出馬し、初当選。大蔵政務次官や財務副大臣などを歴任した根っからの「財政規律派」 

 

ダイエットコーラを飲みながらインタビューに応じる村上氏 

 

—石破茂政権が発足し、総務大臣に就任されて4ヵ月が経ちました。村上さんは小泉純一郎内閣で国務大臣(行政改革・地域再生・構造改革特区担当)、内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構担当)を務めて以来約20年ぶりの入閣となります。 

 

「着任して、総務省の業務の幅が広いことに驚きました。国民民主党さんが主張している『103万円の壁』の引き上げにしても、昨今話題の選挙とSNSの問題にしても、すべて総務省に関係する問題なんです。先日の記者会見で元SMAPの中居正広さんの女性問題についても質問を受けました。総務省が放送行政を所管しているためです。とにかく忙しくて、最初の1ヵ月は4~5時間睡眠でした」 

 

—石破総理からはどのような打診があったのでしょうか。 

 

「実は当初、他の大臣をどうかと言われていました。でもその頃、私の母が大腿骨を折って体調を崩していたんですよ。その大臣職は海外出張が多いから、もしかしたら死に目に会えないかもしれない。それで少し悩んでいたところ、今度は総務大臣の打診がありました」 

 

Photo by gettyimages 

 

—村上さんは石破政権の立て役者とも言われていますね。 

 

「昨年の5月頃、元副総裁の山崎拓先生と相談して、総裁選で石破さんを担ごうと決めました。山崎先生が私を含め議員10人に声をかけてくれたのですが、集まったのはわずか5人。しかもそのうちの3人は他の候補者の支持に回ってしまいました。残ったのは中谷元さんと私だけ。しかも中谷さんは人柄が良いから総裁選の選挙管理委員を引き受けて総裁選の応援ができなくなくなり、残ったのは私一人に。そこからなんとか推薦人20人を集めて、告示後は毎朝一番に選対本部に通いました。 

 

ただ1回目の投票では、党員票、議員票とも高市早苗さんに及ばず、石破さんは2位に。どのような結果になっても腹をくくる覚悟はありましたが、決選投票で奇跡的に逆転。やはり神様がいるのかなと思いました」 

 

—現在の石破総理の活躍をどのように評価していますか。 

 

「命がけでよくやられていると思います。昨年の臨時国会でも野党の質問に辛抱強く丁寧に答えていましたね。私も例えばある日は、衆議院と参議院の総務委員会で合計5時間、与野党の質問に答えました。全部で35問ほどありまして、一人で答えたら大変でした。朝6時半に家を出て、7時に役所に着いて、2時間レクチャーを受ける。国会が終わったらヘトヘトになりますよ。でも、石破さんの場合は一人で7時間やるんです。それに加えて外交もあるでしょう。もし私が同じことをやったらとっくに天国に行ってますよ(笑)」 

 

—しかし、少数与党で政権基盤が安定しません。 

 

「自民党は政治資金問題や旧統一教会問題など、いろんな面で負の遺産が多かった。しかも財政、金融、外交も危機的状況にあります。私が'21年の総裁選で岸田文雄さんを応援したのは、宏池会出身・保守本流の岸田さんなら、こうした状況を立て直してくれると期待したからです」 

 

 

Photo by gettyimages 

 

—村上さんは'22年9月、安倍晋三元総理の国葬に関連して、安倍元総理を「国賊」と呼んだことで、自民党から1年の党役職停止処分を受けました。 

 

「発言自体は不適切でしたが、私は何も安倍さんが嫌いだと言っているわけではありません。ただその政策の結果は冷静に分析されるべきです。中国に対する対応などを背景とし、東アジア情勢が不安定化したとの見方もあります。また、アベノミクスによって雇用状況が改善したといった功績もありましたが、他方で異次元の金融緩和は成長戦略が実現するまでの『つなぎ』のはずだったのに、いつまでも成長戦略が実現しないので10年以上にわたって継続することになってしまった。いまの円安の一因はその影響と言われています」 

 

—石破総理にはどのような助言をされているのでしょうか。 

 

「自民党として政治資金問題のお叱りを受け止め、政治改革を進めなければなりません。また喫緊の課題である『財政再建』と『金融緩和の出口戦略』と『社会保障と税の一体改革』の3つを実現する必要があります。少数与党であっても野党と熟議のうえで改革を進める。これが石破政権の存在理由だと思います」 

 

—国民民主党は「103万円の壁」引き上げを求めています。 

 

「学生さんがアルバイトで年間の給与収入が103万円を超えると、親が税金を負担することになるから困るというので、与党・政府では一理あるとして特別控除を設けることにしました。 

 

でも単に『103万円の壁』を引き上げれば、高額所得者ほど得をすることになる。それはおかしな話です。所得制限を設けて本当に困っている人のために、ということであれば私もやるべきだと思いますが」 

 

後編記事『「103万円の壁見直しはいいんだけれど…」村上誠一郎総務大臣が元部下の玉木雄一郎氏に物申す!』へ続く。 

 

「週刊現代」2025年2月1・8日号より 

 

週刊現代(講談社・月曜・金曜発売) 

 

 

 
 

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