( 260166 )  2025/02/04 16:09:33  
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2月2日、フジテレビ本社に“襲来”した街宣車 

 

「フジテレビ前でデモが行われる可能性があります」。先週末、社内を駆け巡った情報を聞いてフジテレビ社員たちの脳裏によぎったのは14年前の“悪夢”だった。「またあんな騒ぎになったら、いよいよこの会社はおしまいだ!」。社員たちは口々に悲鳴を上げたというが、実際はどうなったのかーー。 

 

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 1月31日、総務局から関係各所に入ったメールは瞬く間に広がり、社員たちを震え上がらせた。 

 

「メールには『日曜日(2月2日)に出社する社員に対して午後2時からデモ隊が来るかもしれないから、出社する際には気をつけるように』と書かれていた。『湾岸署にも警戒を依頼しているが参加人数は予測できない』などと不安を煽るような内容でした」(40代社員) 

 

 それから社員たちの間では「ヤバい」「終わった」といったLINEが飛び交ったという。 

 

「全社員の頭によぎったのは、2011年に保守系団体の呼びかけで発生した抗議デモです。『フジテレビは韓流人気を誇張した放送をしている』とネット上で批判が沸き起こったことがきっかけでした。振り返れば、あの時からこの会社の転落が始まったのです」(同) 

 

 抗議デモは複数回にわたって行われ、一番大きい時でフジテレビ本社前に数千人が集結した。その後、スポンサー企業の不買運動にも波及し、韓国人女性タレントを起用していた企業に活動家が押しかけ脅迫容疑で逮捕者が出る事件にも発展。このデモ騒ぎをきっかけにフジテレビの視聴率は下落していった。「視聴率3冠」から転げ落ち、「振り向けばテレビ東京」と揶揄されるほどに至った。 

 

 はたして悪夢は再来したのか。 

 

 保守系団体がネットで告知していた午後2時にお台場に行ってみると、街宣車が2台フジテレビ正面玄関前に横付けされていた。〈フジテレビ解体〉などと書かれた緑色の幟や日の丸が掲げられていて物々しい雰囲気である。 

 

 だが、参加人数は10数人と小規模。リーダーの男性がマイクを握って「女衒のようなテレビ局によって日本がおかしくなった!」などと叫び続けたが、聴衆はまばらで、ほとんどが警備や警察関係者に見えた。 

 

 社員らの不安は杞憂に終わったわけだが、引き続き警戒は怠れないと前出の社員は話す。 

 

「どうやら今回は警察に集会やデモ開催の申請をしていなかったから不発に終わったようです。だが、彼らが準備を整えネットに火をつけた上で再び襲来したらどうなるかわからない。今ならあの時と同じよう、社会に不満を持つ層の矛先が一気にフジテレビに向きかねません」(同) 

 

 

 一方、10時間半に及んだ記者会見以降、次々と出てきた「新たな問題」について社内はどう受け止めているのか。 

 

 週刊文春の「訂正」以降、夕方のニュース番組「Live News イット!」は攻勢を強めている。すぐさま文春に見解を糺す質問状を送付し、1月27日にその回答を報道。31日にも、中居問題をいち早く取り上げた「女性セブン」への取材結果を同様に取り上げた。 

 

 だが、社内では「もうやめてくれ」という声が大勢だと編成局所属の某社員は話す。 

 

「報道局以外の職場では『ジャーナリズムを貫いている場合か』と冷ややかにみています。確かに記者会見が終わったタイミングで訂正を出した文春への批判はあります。ただ編成部幹部が女子アナたちをタレントの接待要員として使っていた疑惑、また被害者の女性の訴えをきちんと受け止めないまま中居正広を起用し続けた“罪”までもが無くなったわけではない、という見方が大勢です」 

 

 さらに続いたのは、フジの元アナ・長谷川豊氏によるYouTube番組での「追い打ち暴露」だった。2月1日にアップされた堀江貴文氏との対談動画で、長谷川氏は「約20年前、自分も被害を受けた」と訴えたのだ。 

 

 長谷川氏は先輩にあたる2人のアナウンサーの実名をあげ、飲み会の後で2人に仕組まれ、当時朝の情報番組「とくダネ!」のコメンテーターだった男性タレントのおすぎ氏に「上納された」とぶちまけた。 

 

 名指しされたアナはSNSで否定コメントを出すなど新たな火種は燃え盛りつつあるが、 

 

「これについて会社は法的措置を考えているようです。一方、長谷川氏は『日記やメールなどの客観的証拠がある』と徹底抗戦の構え。みんな、もうこれ以上は騒ぎを拡大しないでという思いで見守っています」(同) 

 

 こんなカオスに陥った社内で新たに陣頭指揮を取ることになった清水賢治新社長は改革を進められるのか。社内では期待する声は少ないと続ける。 

 

「あの人はアニメ制作現場の経験はありますが、基本的には編成から総合メディア開発、経営企画とひたすら経営畑など、いわば“奥の院”を長く歩んできたエリートです。数字には強いので、瀕死状態のフジテレビを親会社のフジ・メディア・ホールディングスと上手く連結させて、蘇生させる手腕に期待されていますが、混乱した社内を一つにまとめ上げたり、現場のパフォーマンスを高めていく手腕についてはあまり期待されていません」(同) 

 

 役員の間でもずっと“いじられキャラ”として知られてきた人だという。 

 

「あだ名は『サンドバッグ』。運動音痴で、役員連中とゴルフに行っても下手すぎていつもバカにされていたみたいです。港浩一前社長のような現場上がりを再び据えると二の舞になるという意見もあり、人畜無害さとクリーンさが買われて抜擢されたというのが実情。あだ名の通り、叩かれることにも慣れっこですからね。もちろん指名したのは日枝さん。だから自ら日枝さんを切るなんて出来っこない」(同) 

 

 かくしてフジ社員の憂鬱は続くのである。 

 

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デイリー新潮編集部 

 

新潮社 

 

 

 
 

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