( 261014 )  2025/02/06 05:46:36  
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スズキの新型ジムニー・ノマドは、4ドア(メーカーでは5ドアと呼称)モデルで、走破性と機能性を持つジムニーシリーズで初めての車種である。

2025年2月3日に受注停止となり、それまでの受注が約5万台に達した。

ジムニー・ノマドは4ドア化され、後席の居住性や快適性が向上し、クロカンヨンクよりもSUVと呼びたい仕上げが特徴。

価格も競争力が高いとされ、日本市場では他のモデルとは異なる特徴を持つ。

需要が高まっているが、生産の対応やファンの満足度に期待されている。

(要約)

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ノマドは、本格的な四輪駆動車の機能と走破性を持つジムニーシリーズで初となる5ドアモデルだ。 

 

わが国でようやく発表されたスズキの新型「ジムニー・ノマド」が、早々に爆発的ヒットで受注停止となった。なぜ、それほど人気を集めているのか? 実車を事前に取材した小川フミオが考える。 

 

スズキの新型ジムニー・ノマドが受注停止、という衝撃的ともいえるニュースが、2025年2月3日、スズキから届いた。1月30日に発表(発売は4月)したところ、受注が約5万台に達したそうだ。なんでこんなに売れるんだろう? 

 

販売目標が月に1200台と設定されているので、たった5日のオーダーをこなすだけでも、41カ月かかる計算だ。急いでジムニー・ノマドを注文した人も、ひょっとしたら納車まで3年半待たなくてはならない。納期をみればフェラーリ並だ。 

 

ジムニー・ノマドは、1970年に初代が発売されていらい、ジムニーファンに長らく待たれていた4ドア(メーカーでは5ドアと呼称)版。インドや豪州などいくつかの市場で先行発売されていたこともあり、日本のファンは首を長くして発売を待っていた。 

 

最大の魅力は、使い勝手のよい4ドア化にある。ベースは、3ドアのジムニー・シエラで、1460cc4気筒エンジンをはじめ、5段マニュアルと4段オートマチックの変速機や、差動装置などの4輪駆動システムは共用する。 

 

スズキの開発者は「後席の居住性や快適性の向上で、都市に住むユーザーへもアピールし、マーケットを拡大していきたい」と、ジムニー・ノマドの企画コンセプトを説明。ホイールベースを340mm延ばしたことで後席は空間が広くなり、かつシートの材質や室内の仕上げなど、後席を積極的に使える、クロカンヨンクというよりSUVと呼びたい仕上げが特徴だ。 

 

ラダーフレーム、プロペラシャフト、サスペンションの一部を専用設計と、間に合わせでない、凝ったつくりも、ジムニー・ノマドの大きな魅力になっている。 

 

実際、ごく短い時間だけ試乗した印象は、クオリティが高い。悪路での走破性が高い前後リジッドのサスペンションは、アームがよく伸びて、本格的クロカンヨンクならでの乗り心地をもたらしている。 

 

後席は、設計者の企図どおり、空間的余裕があり、シートの設計担当者が「たいへん苦心しました」と、語る通り、意外なほど乗り心地がよい。バックレストはリクラインニングもする。 

 

快適性を求めるシートクッションを厚くしたことで、荷物を積み込む際にバックレストを倒してもフルフラットにはならない。それを指摘する人もいるけれど、個人的には”だったらシエラを買いなさい”と、言いたい。 

 

そもそもコンパクトで、経済性も重要なジムニー・ノマドに複雑なシート格納機能を期待するのは、厳しい注文なのだ。家族や友人でわいわいと楽しく、市街地を走りまわり、週末には大キャンプに出かけ、という使いかたには、ジムニー・ノマドはよく合うはず。 

 

しかも価格は、ATで¥2,750,000(MTは¥2,651,000)と、競争力が高い。いや、競争力というのは、使い古されたマーケット用語で、ジムニー・ノマドには競合がなかなか見当たらない。 

 

機能主義的によく出来たクルマは、たとえば、プジョー「リフター」、シトロエン「ベルランゴ」、フィアット「ドブロ」、ルノー「カングー」など、欧州にはいろいろあって、日本市場でもそれなりに人気が高い。 

 

そこにあって、ジムニー・ノマドは、よりコンパクトで扱いやすい車体サイズや、本格的な悪路走破性、それに強力なブランド性という、多くの特徴で、一歩も譲っていない。 

 

海外で販売されている5ドア版(ノマドとは言わない)を個人輸入して、メルセデス・ベンツ「Gクラス」のように仕立てるボディパーツを販売する会社が、25年1月の「東京オートサロン2025」で注目されていたように、クルマ好きの遊び心にも応えられる。そこも、ジムニー・ノマドの高い市場性だろう。 

 

需要拡大にどこまで迅速に対応できるかが、スズキに期待されていることと思う。当初計画されていた販売促進のためのイベントもみな中止。25年になって早々の椿事ともいえるけれど、経済活性化の面では喜ばしいこと。生産の現場はたいへんだろうけれど、ファンのために頑張ってほしい。 

 

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ) 

 

 

 
 

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