( 262254 )  2025/02/08 16:54:11  
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フジテレビのアナウンサーを巡る報道が盛り上がっています。

フジテレビと関連企業の社員に対する調査が行われ、アナウンサーに関する記事が増えています。

一部報道の訂正や社内風土の調査などが進められていますが、問題は解消されていない状況が続いており、批判も収まっていません。

アナウンサーに関する記事が増えていることもあり、関連記事が本質から遠ざかっている可能性もあります。

アナウンサーたちは、難しい立ち位置で報道に耐えている様子であり、過剰な報道を抑制して問題を解決していく必要があると指摘されています。

現在のアナウンサーには適切な扱いが求められており、自己顕示欲を抑えるよう努めるなどの声もあがっています。

(要約)

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フジテレビのアナウンサーをめぐる報道が加熱しています。写真は、左から「めざましテレビ」で司会を務める伊藤利尋さん、井上清華さん、生田竜聖さん(画像:フジテレビ公式サイトより) 

 

 「ついに第三者委員会の調査がはじまった」と感じた人は多いのではないでしょうか。 

 

 まずはフジテレビとフジ・メディア・ホールディングスの社員に対して、「中居正広氏と女性のトラブルに類似する案件はなかったか」というアンケートが行われ、続いて企業風土に関する調査なども行われていくようです。 

 

 どのような方法で、どこまでさかのぼって調べるのか。社員だけでなく出入り業者や元社員などへの調査はしないのか。3月末の調査結果発表を待つだけでなく、さまざまな情報や要求などが適宜報じられていくのでしょう。 

 

 『週刊文春』が一部報道を訂正したことで同誌への批判が高まっている一方、フジテレビの社員関与、当事者への対応、問題が起きた後も中居氏の番組を続行したこと、人権への配慮など、多岐にわたる問題が解消されたわけではありません。 

 

 批判が収まったわけではなく、CMを控えているスポンサーも態度を変えていないだけに、少なくとも3月末まで苦境が続くことは間違いなさそうです。 

 

■アナウンサーの関連記事が量産 

 

 ここにきて急激にクローズアップされているのが、同社のアナウンサーやアナウンス室をめぐる報道。その最たるところは、堀江貴文さんのYouTubeチャンネルに出演した元フジテレビアナウンサー・長谷川豊さんの発言でしょう。 

 

 出演動画が同チャンネル歴代トップの約650万回再生を記録したほか、「“上納”文化はある」などの内容が記事化され、SNSのコメントが活発に飛び交っています。 

 

 長谷川さんの「自分も上納された」という発言に対し、それにかかわった先輩として名前を出された元フジテレビアナウンサー・笠井信輔さんが否定。さらに長谷川さんが笠井さんの発言を否定したほか、「20年近く前のネタ話」「笑い話であり、いい思い出の1つ」「僕も同じ穴のムジナ」などの意図を語り、その都度多くの記事が報じられて注目を集めています。 

 

 

 “元フジテレビアナウンサー”というくくりでは、高島彩さんが「サタデーステーション」(テレビ朝日系)で、内田恭子さんや中村仁美さんが「ゴゴスマ〜GOGO! Smile! 〜」(CBC・TBS系)で、菊間千乃さんが「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で騒動についてコメントすると各メディアが一斉に記事化しました。 

 

 また、中野美奈子さんに直撃取材を敢行した記事もあり、他のネットメディアも彼女がバラエティ出演した際のコメントやSNS投稿を積極的に報じています。 

 

 その他でも、過去に加藤綾子さんがフジテレビの入社面接でセクシーなポーズを要求されたことを報じる記事や、井上清華アナが体調不良で番組を休んだり、小室瑛莉子アナが生放送中に倒れたりしたことを挙げて過重労働を指摘する記事、アナウンサーのカレンダー発売を疑問視する記事など、アナウンサーに関する記事が量産されています。 

 

■多すぎる関連記事が本質を遠ざける 

 

 なぜフジテレビの疑惑やガバナンスに関するものだけでなく、アナウンサーに関する記事がこれほど増えているのか。フジテレビが女性アナウンサーを接待要員として扱い、「上納していた」という疑惑を週刊文春が報じている一方で、中居氏がトラブルとなった相手は同局のアナウンサーと特定されたわけではありません。 

 

 私たちはこの現状をどのように受け止めればいいのか。筆者は長年、各局のアナウンサーに取材してきたほか、13年にわたってフジテレビのアナウンサーたちと共演し、苦しい現在まで話を聞いてきました。それらの経験を踏まえつつ、アナウンサー関連の報道やコメントに対する是非や実情をどこにも忖度せずに掘り下げていきます。 

 

 まず、私たちはフジテレビのアナウンサーに関する記事をどのように受け止めればいいのか。 

 

 今回の騒動が報じられる以前から、フジテレビに限らず、特に女性アナウンサーに関する記事はネットメディアの定番コンテンツとなっていました。 

 

 

 その内容は、番組出演時などのコメント、SNSへの投稿、さらにインタビュー、ファッションチェック、プライベートのスクープなど多彩なラインナップ。筆者に女性アナウンサーに関する執筆やコメントの依頼が多いことを踏まえても、「一定以上の数字が獲れる」という理由からネットメディアが積極的に扱ってきたことは間違いないでしょう。 

 

 さらに現在は、フジテレビの疑惑と危機的状況が重なったことで注目度が飛躍的にアップ。「今、フジテレビのアナウンサーに関する記事をアップすれば通常以上に数字が獲れる」ため、ネットメディアがビジネスのために1本でも多くの記事をアップしようとしています。 

 

 中には真偽不明なもの、関連付けるにはかなり古いもの、取り上げる必然性のないものも多いだけに、私たちは何にでも食いつくのではなく、逆に見ないことで、過剰かつ無用な報道を抑制していきたいところ。フジテレビの疑惑や問題を適切に判断し、改善していくうえで、現在のアナウンサーを取り巻く記事の多さはマイナスでしかないように見えるのです。 

 

 アナウンサーをめぐる過剰な報道は、本人たちにとって「今は耐えるしかない」という苦しいものなのでしょう。実際に数人のアナウンサーから、現在の苦しい状況を「真摯に受け止めています」と自戒するような声を聞きました。 

 

 一方で週刊誌やネットメディアに対する恨み節のようなものはなく、「自社に何らかの問題があることをわかっていて受け止めざるをえない」という心境が伝わってきます。 

 

■カメラなしでも「見られる」難しさ 

 

 そもそも大半のアナウンサーが報道・情報番組に出演しているため、今回の騒動に対する問題意識は高く、筆者が知る限り「できるだけ隠したい」「嘘をついておこう」などのニュアンスはほとんど感じられません。 

 

 ジャニーズ事務所の性加害騒動で所属タレントたちがそうだったように、悔しさや悲しさを抑えるように働いている様子がうかがえますし、被害者の可能性がある人々を過剰に追求することは避けたいところです。 

 

 

 さらに「上納されている」という目線で見ること自体、ハラスメントに見える感もありますし、本人たちに失礼でしょう。「アイドルのような扱いをしてきたテレビ局側が悪いじゃないか」という声もありますが、前提として民放のアナウンサーという職業に対する世間の不理解が感じられます。 

 

 アナウンサーと取材や雑談で話をしていると、ほとんどの人が「拍子抜けするくらい普通の人」と感じますし、どちらかといえば地味な印象すら受けることもあります。 

 

 ただ、カメラが回りはじめるとさすが専門家であり、芸能人のような華を感じて、「他にはない立ち位置の職業だな」と思わされる機会も多々ありました。ほとんどの人が浮かれたところはなく、むしろ謙虚であり、「私たちは会社員」という意識を感じさせられます。 

 

 しかし同時に、「世間の会社員とは違うところがある」という意識があるのも確かでしょう。世間の会社員と同じ感覚を持つ一方で、自分の顔と名前を知る人々が多いため、カメラが回っていないときも「見られている」という意識を持たなければいけない難しさを語る人もいました。 

 

■「ニュースだけ読めばいい」の暴論 

 

 番組やアナウンス室などのYouTubeチャンネルに出演したり、個人SNSでの発信を求められたり、アナウンサーのカレンダーを発売したりなど、芸能人同様の仕事が多いことも、その難しい立ち位置を象徴しています。 

 

 フジテレビに対する批判が過熱する中、その怒りが飛び火するように「なぜ女性社員をカレンダーにするのか」「女性アナウンサーだけ芸能人扱いするのはおかしい」などの批判があがっていました。 

 

 しかし、これは「世間のニーズがあるから」「それを楽しみにしている人が一定数いるから」にすぎません。本人たちの許諾こそ必要ですが、民放各局が営利企業である以上、ある程度は認めるべきことに見えますし、フジテレビの疑惑やガバナンスの問題などとは無関係でしょう。 

 

 もともと女性アナウンサーの芸能人のような扱いは日本中の人々が知っていたことであり、程度の差こそあれ、フジテレビに限った話ではないでしょう。実際に各局がミスコン出身者や芸能活動の経験者などを採用し、メディアはそれを報じ、私たちは見てきました。 

 

 

 
 

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