( 262306 ) 2025/02/08 17:49:20 0 00 クルマが曲がるにも止まるにも前に進むにも、タイヤが無ければ始まらない。重要な部品なだけに、それなりのコストをかけて準備する人が多いと思うのだが、「高い・高級」ということだけが、タイヤの良さを示すバロメーターではない。安いタイヤでも良質なドライビングは体験できるのだ。今回は、タイヤ選びの肝を紹介していきたい。
文:佐々木 亘/写真:Adobe Stock(メイン画像=Zigmunds)、トヨタ
タイヤは、軽自動車でも1トン弱、大型SUVやミニバンでは2トンを超える車重を、わずかハガキ4枚分の面積で支えながら、クルマの運動性能を引き出している。その性能の中で、一般公道において重要となるのが、雨天時のタイヤの性能、つまりウェット性能になるだろう。
ぬれた路面で発生するハイドロプレーニング現象の発生を抑え、グリップ力を確保し、加減速時に不安定さを感じさせないタイヤが、一般的には良いタイヤと言っていい。
普通のドライバーは、F1のような猛スピードで走るわけでもないし、ラリードライバーのような荒れ地を駆け抜ける必要もないから、極端なグリップ性能や走破性はタイヤに求めるべきではないだろう。それよりも、燃料消費を少なく、雨でも安心してクルマを操縦できるほうが、何倍も大切だ。
この性能を見極める時に見るべきなのが、新品タイヤ販売時に確認できる「タイヤラベリング」である。等級が示されており、転がり抵抗係数とウェットグリップ性能を知ることができるのだ。
転がり抵抗係数はAAA〜Cまでの5等級で表され、ウェットグリップ性能はa〜dの4等級で表される。タイヤ選びの際には、まずウェットグリップ性能がaになっているタイヤを選んでほしい。
ショップに行ってラベルを確認すると分かることだが、ウェットグリップ性能が高いタイヤが、高級タイヤというわけではない。ベーシックなお財布にもエコなタイヤでも、しっかりとウェットグリップ性能aを獲得するタイヤが数多くある。まず夏タイヤでは、雨性能を重視しよう。
標準装着タイヤで、クルマの踏ん張り感が足りないと感じたり、足回りが柔らかすぎると感じたりするときには、タイヤ銘柄を高級路線にするよりも、ロープロタイヤを履いた方が改善の効果が高いことがある。
ロープロタイヤとは、ロープロファイルタイヤの略。タイヤの断面形状のことをプロファイルと言い、断面形状を低くすることをロープロファイルと呼ぶ。つまりは低扁平タイヤのことを指す言葉だ。
ロープロ化の王道はホイールのインチアップなのだが、その前に、まず試してほしいのが「セイムリム」という方法。ホイールのインチ数はそのままに、タイヤの幅を太くするものだ。
例えば、195/65R15のタイヤから、225/50R15に変える。すると、扁平率は65から50に変わり、ロープロファイルされたことになる。ホイール径は同じなのだが、タイヤが太くロープロ化されたことで、踏ん張りが効き、クルマ自体もしっかりとしたように感じられるのだ。ブレーキ性能やコーナリング性能も高まる。
これで足りなければ、ホイール径を変更するインチアップを検討したい。セイムリムであれば、今履いているホイールをそのまま使ってロープロ化することも可能だ。タイヤ幅をどこまで広くできるかは、各車種によって異なるので、詳しくはタイヤ専門店で相談してみるとイイだろう。
なにも、高級な高グリップタイヤを履かなくとも、クルマの走りは変えられるぞ。
エコタイヤ・アジアンタイヤと言われる低価格帯のタイヤでも、ウェットグリップ性能が高いものを選び、セイムリムでのロープロ化を行っていけば、高級タイヤに負けずとも劣らないドライブフィールを楽しむことができるのだ。
価格が高いということが、タイヤ選びの正義では無い。クルマと求めるドライビングにあったタイヤを選ぶことが、一番の正義なのである。
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