( 262876 )  2025/02/09 18:41:02  
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「ぐっさん」こと山口智充 

 

 山口智充(55)という名前を聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「ぐっさん」の愛称とともに、柔和な笑顔を見せる姿だろう。だが最近、その姿をテレビ番組で見ることはめっきり少なくなった。先日は久々にウェブニュースのインタビューに登場したことが話題となったが、ぐっさんは今、何をしているのか。 

 

「山口さんは近年、地方局を中心に地道に活躍を続け、昨年芸歴30年を迎えました。先日、『集英社オンライン』のインタビューが掲載され、久々に全国区のニュースとなっていましたが、現在は『山口智充の人生をどう楽しむか』を軸にして、仕事に向き合っているとも語っていました。SNSでは、この記事に関して『歌がうまくトークも盛り上げ上手。多趣味でなんでもできるぐっさんは一無二の存在』『ぐっさんみたいな立ち位置の芸人は貴重』と応援する声が目立っていましたね」(テレビ情報誌の編集者) 

 

 全国区の活躍は激減し、世間では「消えた」「干された」など評価も飛び交う。若年層にはもはや芸人ではなく、「東急リバブルのCMに出てる人」と認識する人も多いようだ。だが、そのCMも2022年に終了。最近の活動ぶりはというと……。 

 

「山口さんは現在、地方局・BSあわせて3本のレギュラーを持っています。東海テレビの『ぐっさん家~THE GOODSUN HOUSE~』は放送20周年を超え、昨年放送1000回を迎えた人気番組となっています。実在する名古屋のアパートに暮らしているという設定で、そこを拠点に東海3県の各地を散策するという内容の番組です。土曜の夕方にもかかわらず視聴率2桁をたびたび獲得し、東海地方では絶大な知名度を誇っています。打ち合わせなし、台本なしのぶっつけ本番で、ぐっさんの素の姿が垣間見えることから、シンプルな作りにもかかわらず視聴者の反応はよく、開始当初は業界内でも斬新なスタイルが話題となりました」(民放バラエティー制作スタッフ) 

 

 このほか、放送開始から15年続く「グッと!地球便」(読売テレビ)や、各地の漁港を紹介する「魚が食べたい!~地魚さがして3000港~」(BS朝日)など、ナビゲーター・MCとしても活躍している。テレビ以外では、全国50カ所で開催されるライブツアー「ぐっさんのハッピーオンステージ」をはじめ、各地のイベントに出演するなど、音楽、モノマネ、トークなど多彩な才能を生かした活動を展開している。そもそも、彼の多彩ぶりは芸能界でもひと際目立っていた。 

 

 

■マイペースゆえ孤高な芸人 

 

「山口さんはもともと営業マンとして会社員をしていたところ、一念発起してお笑い界に入り、1994年にDonDokoDonというコンビでデビューしました。芸人離れした歌唱力や演技力など幅広いスキルが認められ、『笑っていいとも!』『ワンナイR&R』『リンカーン』といった人気バラエティー番組に引っ張りだこになりました。また、三谷幸喜・脚本の大河ドラマ『新選組!』や宮藤官九郎・脚本の『木更津キャッツアイ』などで俳優業でも活躍しました。さらに宮迫博之さんとのユニット『くず』でも成功し、アルバムには宇多田ヒカルやGLAYが参加するなど、音楽的にも認められました。まさにテレビで顔を見ない日はないほどの活躍だったのです」(同) 

 

 その流れが変わったのが2009年の「リンカーン」(TBS系)の降板だった。コンビとしての活動も「ワンナイR&R」(フジテレビ系)が終了した06年に事実上の解散状態となっていたこともあり、露出が減少。12年間MCを務めた「にじいろジーン」(同)が20年に終了すると、ついに地上波全国放送レギュラーがゼロとなった。その理由について、放送作家はこう述べる。 

 

「山口さん芸の多彩さ・器用さが注目される一方で、時としてゲストを立てることより自分が目立つことを優先させてしまうと指摘されていたこともあります。視聴者や共演者・スタッフからは、彼のマイペースな部分がマイナス評価を受けることもあったそうです。『ワンナイ』で山口さんが披露した数々の名物キャラは、どれも空気を読まず、自分のやりたい芸をひたすら続けることで大ヒットしました。現在も、出演者が少なく1人で進行することが多いローカル番組で成功しているということは、やはりそういうタイプの芸人なのでしょう」 

 

 加えて、バラエティーやお笑いについて自分なりの確固たる意見を持っており、時にそれが「面倒くさい」と捉えられることもあるようだ。 

 

「以前、タカアンドトシの北海道ローカル番組に呼ばれた際は、出演番組の選び方について持論を展開していました。現在のお笑い番組の主流である“ひな壇芸”が重視されるトークバラエティーについて、『すごい人たちがでているのに生かされていない』と厳しい評価をし、MCと対面でじっくり話ができる番組でないと出演する気になれないというような本音を吐露したこともあります」(前出の放送作家) 

 

 

■パフォーマンスが高すぎるのが難点? 

 

 前出のインタビューでも「僕は“ぐっさん”が大好きなんですよ。(中略)自分という畑を耕して、いかに“ぐっさん”という食材を美味しいものにしていくか。『最高です』と自信を持って現場に届けられるか」と、活動を貫くポリシーを語っていた。 

 

 元「週刊SPA!」副編集長で芸能デスクの田辺健二氏は山口の今後をこう分析する。 

 

「コンビ時代は漫才にも定評がありましたし、モノマネや一発芸、芝居もできるし、ギターや歌もうまいなど、全方位的にパフォーマンスが高すぎるのがぐっさんの特徴です。ただ、器用にすべてをできてしまうため、いったい何がメインの芸人なのかわからないという人も多かったと思います。全国区で見かけなくなって久しいですが、余りある才能をこのまま廃れさせるのは非常にもったいない。トーク番組が不向きなら、例えば清水ミチコさんのように年に一度の武道館ライブを継続してやるなど、才気あふれる熟練のエンターテイナーぶりを見せつけるライブショーを企画するのも手かと思います。持ち前の芸達者ぶりを今こそ発揮して、ぜひ返り咲いてほしいですね」 

 

 一人我が道をゆく“ぐっさん”の才能は唯一無二。たまには全国放送にも登場して元気な姿を見せてほしい。 

 

(雛里美和) 

 

雛里美和 

 

 

 
 

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