( 263931 )  2025/02/12 03:27:16  
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MBSニュース 

 

 与党と維新の間で議論の駆け引きが行われている『高校の授業料無償化』。与党案、維新案には大きな隔たりがあります。この“高校無償化”のメリット・デメリットを見ていきます。 

 

◆所得による差がある現在の制度 維新・与党の案は?◆ 

 

 現在の国の支援は次の通りで、所得によって支援の有無や額に差があります。 

 

 ・世帯年収910万円未満→公立高校の授業料が実質無償 

 ・世帯年収590万円未満→私立高校の場合は39.6万円まで支援 

 

 高校授業料の支援金制度をめぐり、維新は来年度から所得制限を撤廃し、私立高校に通う人には最大年63万円の支給を要求。対する与党側は所得制限を撤廃し、公立・私立問わず年間11万8800円を支給するものの、私立の無償化については再来年度以降に持ち越しとする案を提示していて、私立高校も含めた無償化を求める維新とは合意に至らず、議論は平行線のままです。 

 

 【維新案】 

  公立:11万8800円を支援 

  私立:63万円まで支援 

  ※いずれも所得制限なし 

 

 【与党案】 

  公立:11万8800円の支援→今年4月から所得制限なし 

  私立:無償化の議論を再来年度以降に持ち越し 

 

 行政学者で元厚生労働省キャリア官僚の中野雅至氏は、今回の与党・維新の議論について「今回評価できる点は、与党案も維新案も所得制限をなくしたこと。みんなが等しく支援を受けられること」だと話します。 

 

◆「高校無償化」残る課題は?◆ 

 

 今年度から授業料の完全無償化を段階的に進めている大阪府。府の制度では私立に通う生徒向けに年63万円まで支援するため、授業料を払うことなく高校に通うことができます。 

 

 大阪私立中学校高等学校連合会によりますと、来年度入試の私立の専願者数は約2万人となり、正確な数値が残る2003年度以降、過去最高になりました。 

 

 一方、教育行政に詳しい日本大学の末冨芳教授は、無償化の課題として、公立高校にとって“厳しい状況”になる点を指摘。同じ「無償」なら魅力的な教育を目指して経営する私学に生徒が集中してしまうのではないか、ということです。 

 

 実際に大阪府では、生徒からの人気が私立に流れてしまったことなどにより、今年度の入試で定員割れをした高校は70校にも上りました。 

 

 また、63万円を超える分、私学の“上限超え分”の扱いをどうするかということも検討が必要です。全国的には保護者負担になる可能性がありますが、現在大阪は学校が負担していて、継続される方向だといいます。そうなると、大阪の私学だけ教育への投資に制限が残るのではないかと、末冨教授は指摘します。 

 

 与野党案の隔たりの着地点はどこになるのか、今後の議論に注目です。 

 

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