( 264004 )  2025/02/12 04:55:24  
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JR東日本の車両であるE131系は「セミクロスシート」を採用しており、車内にはクロスシートとロングシートが配置されています。

クロスシートは進行方向を向いており、長距離移動をする際に旅情を感じさせる座席として人気ですが、JR線では減少しています。

最近は、混雑対策のためクロスシートよりもロングシートを増やす動きが強まっており、中長距離を走る電車でもクロスシートが減っています。

これは座席占有面積が大きいクロスシートが混雑路線には不向きだからです。

ロングシート主体の車両配置に移行する傾向が強まっており、近郊型電車でもロングシートに改造する例が増えています。

(要約)

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「セミクロスシート」を採用したJR東日本の車両(房総エリア用のE131系)。手前はクロスシート、奥はロングシートとなっています 

 

 鉄道の座席配置には、窓に背を向けた「ロングシート」と、進行方向を向いた「クロスシート」という、大きく2つのタイプが存在します。また、中長距離を走る普通列車用車両などでは、両者を組み合わせた「セミクロスシート」も存在します。 

 

 進行方向を向いたクロスシートは、長い距離を走る車両に多く採用されるため、「旅情を感じさせる」という意見がよく見られ、鉄道ファンには人気の座席です。しかし、首都圏のJR線では、クロスシートは減少傾向にあります。 

 

 かつて、東海道線などを走る「近郊型電車」では、クロスシート設置車両が一般的でした。しかし、国鉄時代には東海道線や常磐線で、ロングシートタイプの車両が登場。JR発足後にはロングシート車の割合がさらに増えました。現在の東海道線、宇都宮・高崎線、常磐線中距離電車では、クロスシートは編成中の一部車両のみの設置。横須賀・総武快速線では、2020年デビューのE235系1000番台ではグリーン車以外が全車ロングシートとなり、普通車のセミクロスシートが全廃されています。 

 

 中長距離を走る電車でもクロスシートが減っているのは、混雑対応のため。クロスシートは、ロングシートよりも車内空間の占有面積が大きく、混雑する路線への採用は不向きです。座席定員自体はロングシートよりクロスシートの方が多くなりますが、立ち客を含めた車両定員はロングシート車の方が多くなります。そのため、国鉄もJR東日本も、「近郊型電車=セミクロスシート」という従来の基本的な考えから脱却した、近郊型ロングシート車両の導入を続けてきました。 

 

 主要路線だけでなくローカル線でも、効率化などのために両数を減らす一方、その分の混雑を緩和するため、ロングシートを増やした車両を導入することがよく見られます。さらに、セミクロスシートからロングシートに改造した車両も、JR東日本やその他の会社で見られます。 

 

 なお、三大都市圏の主要路線のうち、JR東海の東海道本線、JR西日本のJR京都・神戸線(東海道本線)などでは、今もクロスシート車両が当たり前のように使われています。 

 

 三大都市圏の東海道本線における最混雑区間の混雑率(2023年度実績の1時間平均、国土交通省資料による)を比較すると、JR東日本(川崎→品川間、7:39~8:39)が151パーセントなのに対し、JR東海(熱田→名古屋間、7:48~8:47)が96パーセント、JR西日本の快速(茨木→新大阪間、7:40~8:40)が102パーセント(緩行線は東淀川→新大阪間で111パーセント)と、大きな差があります。JR東海は9割、JR西日本ではほぼ定員乗車という乗車率に対し、JR東日本では車両定員の1.5倍も乗っている状態です。そのような状況下では、ロングシート主体の座席配置となるのも致し方ないのかもしれません。 

 

西中悠基 

 

 

 
 

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