( 264766 )  2025/02/13 17:02:52  
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とくに通勤・通学にクルマが必要な地域では死活問題といえるガソリン価格の高騰。依然として高止まりが続いている状況だが、どういった事情があるのだろうか。 

 

 全国のガソリン価格の平均は、1リッターあたりレギュラーで175.7円となっている(2025年2月3日現在)。これは、今年2月5日までとされる補助金20.5円が有効な状況での値段だ。それでも価格は地域によって差があり、たとえば都内では185円と表示されたガソリンスタンドもある(2月1日に目撃)。 

 

 ガソリン価格への補助金は、コロナ禍への対処の続きで、総合経済対策の一環だ。期間中、ガソリン価格が1リッターあたり170円以上となった際に、1リットル当たり5円を上限に元売りへ補助する仕組みとなっている。 

 

 コロナ禍により外出の機会が減った4年前の冬には165円ほどであったので、現在は10円も高い水準となっている。この先、1リットル当たり5円を上限とする補助金がなくなれば、180円以上は覚悟しなければならないのではないか。 

 

 ガソリン価格高騰の背景にあるのは、為替の円安傾向が続いていることも影響しているだろう。 

 

 たとえば、4年前の2021年の冬の円とドルの為替相場は、110円前後だった。それが現在は150円を下まわることはまれで、それだけでも約40円違う。 

 

 では、原油価格自体はどうなのだろう。WTI(テキサス州西部地域の良質原油)という原油価格の指標を比べると、4年前の2021年冬と現在の価格は、それほど差がない。若干ではあるが、今のほうが安いくらいだ。 

 

 とすると、元の原油の値段が上がっているのではなく、それを輸入して使う日本のガソリン価格の値があがっていることになる。つまり、為替相場の円安が要因のひとつといえるだろう。 

 

 円安は、輸出企業が儲かるので、円高は日本経済を冷え込ませると懸念し、円安を容認する風潮がある。しかし、企業は儲けても、消費者は値上げで苦しみ、少々の賃上げでは生活は楽にならない。ガソリン価格もそうだし、食料品にも影響が出る。 

 

 そしてガソリンには、揮発油税がかけられている。なおかつ、揮発油税は、1キロリットル当たり2万4300円(1リットルでは24.3円)が本則税率なのだが、1993年に2007年までの暫定税率として、2倍に引き上げられた。その期限が切れた2008年に一時的に本則税率に戻ったが、1カ月ほどで暫定税率を復活させて今日に至る。 

 

 暫定とは、一時的な措置という意味であるはずだ。それにもかかわらず、30年以上にわたり2倍の税金を消費者は負担していることになる。もちろん、揮発油税は元売りが支払う税なので、直接消費者が収めているわけではない。しかし、2007年に暫定税率の期限が切れたときに、ガソリン価格が一気に安くなったのを経験した読者もいるだろう。 

 

 また揮発油税には、地方税分もあって、1リットル当たり5.2円(本則税率は4.4円)なので、国税と合わせると53.8円になる。 

 

 揮発油税を廃止しないまでも、本来の本則税率へ戻すだけで、25円近い値下げを期待することができる。しかし、クルマの電動化と電気自動車(EV)の広がりにより、ガソリン消費が落ちている今日、税収を減らす策を早々講じないのが国の姿勢だろう。 

 

 新車を購入する際に補助金が出されるいま、EVへの乗り換えは、ガソリン価格の行く末を危ぶむなら、ひとつの潮時といえるかもしれない。 

 

御堀直嗣 

 

 

 
 

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