( 265296 )  2025/02/14 17:35:58  
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 江藤農相は14日の閣議後の記者会見で、100万トンを目安に管理している政府備蓄米のうち21万トンを放出すると正式に発表した。初回は15万トンを放出し、その後の放出はコメの流通状況を見極めて判断する。全国農業協同組合連合会(JA全農)などの一部の集荷業者を対象にした入札を3月初めに実施し、中旬に引き渡しを始める。 

 

政府備蓄米放出に向けた入札概要について記者会見する江藤農相(14日午前、農水省で)=鈴木毅彦撮影 

 

 農林水産省によると、放出する15万トンのうち10万トンは2024年産米、5万トンは23年産米となる。放出された備蓄米が卸売業者を経て小売店の店頭に並ぶのは、3月下旬以降となる見通しだ。流通が安定すれば、コメの価格の下落につながる可能性がある。 

 

 政府はこれまで凶作や災害時に限定して備蓄米を放出してきたが、24年夏以降の米価の高騰を受け、今年1月末に運用指針を見直した。流通の円滑化を目的としたものは初めてとなる。江藤氏は会見で、「流通がスタック(停滞)している状況を何としても改善したい」と述べた。 

 

 新たな運用指針では、1年以内に同等・同量のコメを買い戻す条件付きで、集荷業者に備蓄米を放出するとした。放出先を決める入札には年5000トン以上の仕入れを行う集荷業者が参加でき、集荷業者には農水省に対し、卸売業者への販売状況を隔週ごとに報告するよう義務付ける。 

 

 備蓄米制度は1995年、歴史的な凶作による93年の「平成の米騒動」をきっかけに作られた。これまで東日本大震災や熊本地震の後に放出された例がある。 

 

 

 
 

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