( 265331 ) 2025/02/14 18:10:25 0 00 (左から)熊谷俊人氏、立花孝志氏
千葉県知事選(27日告示、3月16日投開票)で、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が他の候補を応援する「2馬力選挙」を行うと発言したことが物議を醸している。出馬表明した立花氏は記者会見で、現職の熊谷俊人氏(46)を応援すると明言。一方の熊谷氏は立花氏の名指しは避けつつ「やめていただきたい」と突っぱねた。昨年11月の兵庫県知事選でも、立花氏は失職した斎藤元彦氏を応援するために出馬したことが問題化しており、識者は「違法ではないが、公職選挙法の趣旨に反する」とし、他候補の応援を受けた候補は「毅然(きぜん)と拒否することが重要」と指摘する。
「今回僕に投票しなくていい。熊谷知事を応援する『2馬力選挙』をする」
今月7日、東京都内で行われた記者会見で千葉県知事選への出馬表明を行った立花氏は「熊谷氏を応援する」と強調し、熊谷氏の演説前後に同じ場所で応援演説を実施する考えを示した。その理由について、熊谷氏が選挙に関するSNS発信について、第三者による虚偽投稿対策として「一定の規制が必要」と訴えたことを挙げ、「SNS規制は大賛成」と持ち上げた。
一方、熊谷氏は同日夜、自身のX(旧ツイッター)を通じて、選挙制度について持論を展開。「立候補者がビジョンや公約を示し、その実現のために有権者に選んでいただくものであり、他候補を応援・擁護(と称しての誹謗中傷も含む)するものではない」。翌8日の投稿でも「仮にそのようなこと(他候補による応援)が起きた場合、私たちの陣営は抗議しますし、関係性がないことを表明します」と改めて強調した。
さらに熊谷氏は12日、記者団の取材に「2馬力」発言について「迷惑で、困惑している」と述べ、「2馬力選挙は本来、公職選挙法の趣旨として想定していない。多くの有権者にとっても違和感のあることだと思う」と指摘した。
2馬力の選挙運動を巡っては、兵庫県選挙管理委員会が運動自体を禁止して適正な選挙を実施するための法整備を求める要望書を総務省に提出。石破茂首相も国会で法改正の必要性に言及するなど、波紋が広がっている。
2馬力選挙について専門家はどう考えるのか。千葉商科大学の田中信一郎准教授(政治学)は「基本的に2馬力選挙はあってはならない」と訴える。「違法ではないが、公職選挙法の趣旨に反する。立候補者が当選を目指して初めて意味があるので、それを目指さない人が立候補するのは想定されていない」
また、「資金力のある人なら数馬力の街宣車で選挙運動をすることができてしまう」と、公平性が損なわれる恐れを指摘。一方で、「立候補の自由、政治活動の自由との兼ね合いがあり、規制は非常に難しい。何を主張するかは当人に任せられている」と、現行法での規制は困難であるとする。
そのため、他の候補者は「2馬力を受けることを毅然と拒否することがまず重要」とし、応援される側も含めて「(意図的に)2馬力選挙をしている候補者がいたら、両方とも落とす意思を持つことも重要」と有権者側にも注文した。
千葉県知事選への影響はどうみるか。「現職にとって2馬力によるプラスは何もない」と田中氏。再選を目指す熊谷氏は自民、公明、立憲民主、国民民主の県連・県本部など複数政党から幅広く支持を受けている。パワハラ疑惑により失職して選挙に臨み、当初逆風だった斎藤元彦氏が当選した兵庫県知事選とは、そもそも構図が異なる。
「今のところ熊谷氏は特に大きなトラブルを抱えていない。むしろ、相手を褒めているようで実際には批判する『褒め殺し』により、票を減らす可能性がある」と予測した。
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千葉県知事選には他に、共産党が推薦するフリージャーナリストの小倉正行氏(72)、元船橋市議の門田正則氏(77)が出馬を表明している。
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