( 265991 )  2025/02/16 05:29:59  
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 今の時代、お店やスタッフの違いが店舗存続を左右するといっても過言ではない。増えすぎた自動車ディーラーは、これから顧客によって精査される時期に入った。この先10年で消える可能性がある店では、挙って同じようなセリフが聞こえてくる。ディーラーをダメにする、ディーラーがダメになるスタッフ聞こえたら、お店を変えた方が良いかもしれない。 

 

 文:佐々木 亘/写真:Adobe Stock(メイン=Graphicroyalty)・スズキ 

 

 営業マンがショールーム内を歩き回ることが減った昨今のディーラーで、ユーザーとファーストタッチするのは受付スタッフだ。用件を聞き取り、担当者へつなぐ役割なのだが、ここの連携が上手くいかないお店は危険サインが出ている。 

 

 受付のすぐ後ろにスタッフルームがあり、そこでの話声がショールームまである程度聞こえてくるようなお店が多く、そこで漏れ聞こえてくるのが「お客様ご来店です、誰か空いてる人いる?」と受付スタッフが呼びかける声。その後に別の声で「どんな人?」「クルマ何で来た?」などと詮索する声まで漏れているとは、本人たちは知らないだろう。 

 

 ディーラースタッフが客を選んでいるように、客も店を選んでいる。接客業たるもの、対応スピード勝負は基本中の基本だ。熱そうな客かそうではないかを、身なりやクルマで決めつけるスタッフのいる店に未来はないし、暇なスタッフを探してあてがわれるほど、こちらは暇ではないのである。 

 

 専門職である自動車整備士が、顧客に交換タイミングなどを委ねるお店も危ない。 

 

 足回りの錆がひどい状態だとピットに呼ばれ、整備士から「このままいくと折れますね」という説明を受けたのちに、「交換には15万円ほどかかります。取り替えるどうかはお任せしますが」の一言。 

 

 プロの目から見て危ないなら、即座に交換をおススメするのが整備士の仕事なのではないだろうか。交換作業するかどうかはユーザーにお任せで、「説明はしたから折れても責任はとりませんよ」と言わんばかりに、比較的大きなお金の絡む折衝から逃げる整備士は結構いる。 

 

 「危ないから交換しましょう」と言えるのが、正常なお店の整備士さん。状況確認だけして、責任逃れしか考えていない整備士のいるお店には、命を乗せるクルマを預けることはできない。 

 

 

 都市圏ではあまり見かけない光景だと思うが、地方のディーラーでは結構あるのが、ショールーム内でタメ口を使う営業マンの姿。馴染みの客なのだろうが、ショールームはいわゆる公の場である。他のお客さんがその会話を聞いたらどう思うか。親しき仲にも礼儀ありだ。 

 

 学生時代からの友達であろうが、親戚であろうが、ショールームではスタッフとお客様であり、営業スタッフは仕事の真っ最中である。敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)を使うことが当たり前であり、接客業として当然の対応であろう。 

 

 「馴染みのお客さんには、あんな感じで話してくれるのね。アットホームだなぁ」と好感を持つとでも思っているのだろうか。先日、筆者の家の近所の大手メーカー系ディーラーが廃業した。そのお店でも賑やかに、タメ口の会話が飛び交っていたのを覚えている。 

 

 メーカーが必死になって支え、自動車ディーラーを存続させていく時代はもう終わった。全国に1万店舗近くある自動車ディーラーは、これから統廃合が進んでいく。馴染みの店が潰れることはユーザー自身にも負担が大きい。これからは、潰れない店をどのようにして探すかが、満足の行くカーライフを送るための必須要素と言えるだろう。 

 

 

 
 

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