( 266219 )  2025/02/16 17:00:08  
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敷地に駐車スロープを設置することは便利ですが、公道上に設置することは道路法違反であり、さまざまなトラブルの原因となります。

駐車スロープが原因で段差につまづく事故や車両の損傷、泥や落ち葉の溜まりによる排水機能の影響、そして立ち入り規制や責任問題などが考えられます。

公道に設置する場合は避けるべきであり、自治体も注意喚起や違法スロープの撤去を行っています。

駐車スロープ関連の事故が増加すれば、より厳しい対応が取られる可能性もありますが、現時点ではその動きは見られません。

(要約)

( 266221 )  2025/02/16 17:00:08  
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 自分の敷地で「駐車スロープ」というブロックを使っている人がいるかもしれません。自宅の駐車場と前面の道路との段差を埋めることで、クルマや自転車などの出し入れがしやすくなるものです。 

  

 しかし、この駐車スロープの設置は法令違反に該当することがあるほか、さまざまなトラブルの原因となりうるのです。一体どういうことなのでしょうか。 

 

駐車スロープのイメージ。(画像:PIXTA/この状態が違法であるかは不明です) 

 

 駐車スロープはホームセンターなどで手軽に購入することができ、安価なプラスチック製のものから、金属製の大型のもの、コンクリート素材でできたものなどもあります。 

 

 これがなければ10cm程度の縁石をゴリゴリ乗り上げて敷地に入ることになりますが、ちょうど駐車スロープがあることで大きな段差を乗り越える必要がなくなり、衝撃の緩和に役立っています。特に、自転車では重い車体を持ち上げなくて済むので、非常に便利なものといえます。 

 

 しかし、駐車スロープは「出入口の道路側に置く」ことが一般的です。つまり、これは「公道上に物を置く」ということになります。 

 

 ここで、道路法第43条を見ると、道路に関しての禁止事項として、以下のように定められています。 

 

「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為をすること」 

 

 実際には、設置している人の多くが道路管理者にいちいち許可することなく「勝手に」設置しているのが実態なので、多くのケースで法令違反に該当する状態といえます。 

 

 また、単に法令違反になっているだけでなく、事故などに至る場合もあります。 

 

 例えば、道路のわきを通る自転車や二輪車がいた場合、気づかずにつまずいて転倒する可能性があります。 

 

 クルマも同様に、転倒まではしなくてもホイールなどを激しく損傷したり、バンパーなど車体にダメージが及ぶことも考えられます。 

 

 雨が降れば滑りやすくなり、クルマのタイヤが載った状態でアクセルを踏むと空転してスロープが投げ出され、周りの人などに当たってしまう可能性もあります。 

 

 もし目の不自由な人が通った場合、段差があると思って迂回することを強いられたり、気づかずにスロープの上に登ってしまい、転倒したりすることもあるでしょう。 

 

 さらに、スロープをずっと放置したことで泥や落ち葉などが溜まっていき、排水機能に影響が及べば、短時間の豪雨で道路が水浸しになり、最悪の場合は自宅を含め地域一帯で大損害が生じることもあります。 

 

 もしスロープが原因の事故が起きてしまった場合は、当然設置した人に責任が及びます。 

 

「決まりを守らなかった」という、道路法に違反した刑事上の責任だけでなく、けがや物の破損が起これば、民事上の賠償責任を負うことになるでしょう。 

 

 こうした万が一のことを考えると、公道へのスロープの設置は避けるべきだといえるでしょう。 

 

 これについては、各地方自治体も注意喚起をおこなっており、違法なスロープを発見した場合には設置者に撤去を命じるなど、厳しい姿勢を取っています。 

 

 また、注意喚起の看板を設置するなど、違法行為の抑制に努めているということです。 

 

 しかし、違法であるという認識のないまま設置してしまっている人も少なくないのが実情。SNS上でも「知らなかった」「びっくり」という声や、「近所でよく見かける」という声も上がっています。 

 

 なお各自治体では、縁石を低くする「切り下げ工事」の申請を受け付けています。 

 

 ただし、これは土地の所有者が自費で行うものであり、こういった制度の不足などもスロープを設置する原因のひとつという見方もあります。 

 

 今後、駐車スロープが関係する事故が増加すれば、さらに厳しい対応が取られる可能性もありますが、現在のところそういった動きはみられません。 

 

 大ケガなどに至る可能性も否定できないため、さらなる注意喚起の徹底や、わかりやすい法整備などが求められます。 

 

Peacock Blue K.K. 

 

 

 
 

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