( 267226 )  2025/02/18 17:04:02  
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石破・トランプ会談の裏で財務省が目論む増税プランとは(時事通信フォト) 

 

 大新聞・テレビは日米首脳会談が“大成功”だったかのように報じているが、本当にそうだろうか。手土産として16万円の「金の兜」を贈るなど、石破茂・首相がトランプ米大統領のご機嫌取りで必死になっている間に、事態は“増税マフィア”たる財務省の思惑通りに進んでいるという。そして、そのツケを払わされるのは国民なのだ。【前後編の前編】 

 

 トランプ米大統領との首脳会談(日本時間2月8日)を終えて帰国する途中、石破首相は政府専用機内で側近たちと祝杯を挙げた。 

 

「首脳会談は大成功だった。外務省に金メダルをやらないとなぁ」 

 

 そう上機嫌だったと同行筋から聞こえてきた。“外交の素人”である首相は、米国との約束が国民にもたらす苦難については考えが及んでいないようだ。 

 

 新聞・テレビは今回の首脳会談を「大成功」と報じたが、隠されていることが多すぎる。その一つが防衛費の増額問題だ。 

 

 帰国した石破首相は出演したNHK『日曜討論』(2月9日)で国防費の増額は要求されなかったと説明し、〈トランプ大統領から国防費の増額要求なし〉(毎日新聞)などと報じられた。 

 

 日本は米国から防衛費をGDPの1%から2%に倍増するように要求され、政府は2027年度までの5年間の防衛費総額を43兆円に増額、財源として防衛特別所得税や防衛特別法人税の創設、たばこ税の増税方針を決めている。それだけに首脳会談で「増額要求がなかった」ことが報じられると安心ムードが広がったが、首相の発言を鵜呑みにするわけにはいかない。 

 

 トランプ大統領は、日本は防衛費を「3%」に引き上げる必要があると主張するエルブリッジ・コルビー氏を国防次官に起用し、満を持して待ち構えていたからだ。 

 

「石破総理の『要求がなかった』発言はミスリード。あらかじめ日本から“自主的に防衛費を増やす”と約束したから、トランプ大統領は“じゃあこちらから言う必要ないな”と首脳会談ではあえて口にしなかっただけでしょう。事務方の交渉では米国は日本に防衛費を増額して防衛装備品をもっと買うように強く迫っている」(外務省関係者) 

 

 実際、トランプ氏は首脳会談後の共同会見で「日本は米国の軍事輸出および装備品購入のトップクラスの国だ。今週、日本への約10億ドル(約1500億円)の装備品売却を承認した」とご満悦だった。 

 

 

 航空自衛官出身の軍事評論家・潮匡人氏はこう語る。 

 

「トランプ大統領にとって関税の次に関心が高いのが同盟国の防衛費引き上げです。日本の防衛費をGDP比3%にすべきというコルビー国防次官の考えは大統領と一致している。しかも、トランプ氏はNATO加盟国に対してGDP比2%ではなく、5%に引き上げるべきだという主張を始めた。日本にもバイデン大統領時代に決めた防衛費43兆円への増額では納得しないでしょう。3%に増やせと口に出して要求してくるのは時間の問題と見るべきです。そうなれば防衛特別税だけでは財源が足りなくなる」 

 

 現状、防衛費をGDPの2%に引き上げるための増税は与党内での協議で先送りされているが、さらにGDPの3%に引き上げるには新たに年約6兆円の財源がいる。たとえばその分を消費税で賄おうとすれば税率12%への増税が必要になる。 

 

 石破首相はその準備に取りかかっている。前述の『日曜討論』で、こんな言い方をしたのだ。 

 

「(防衛費の増額は)日本が判断することで、日米同盟や自衛隊と(米軍との)統合運用のなかで必要だということを納税者にご理解いただく努力を政府はさらにしていく」 

 

「納税者にご理解いただく努力」という言葉が、さらなる増税を意図していることを示している。 

 

 だが、対米が以降でかかる金は防衛費だけではない。後編記事《石破首相がトランプ大統領に約束した「1兆ドルの対米投資」、最終的に日本国民の負担になる可能性 政府が直接投資となれば増税必至“財務省の思惑通り”の展開》では、石破首相が首脳会談で約束した「1兆ドルの対米投資」が国民負担につながる可能性をレポートする。 

 

※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号 

 

 

 
 

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