( 268246 ) 2025/02/21 05:50:22 0 00 茨城県警は2025年2月18日、公式SNSを更新。貨物車による過積載の取り締まりを強化していると発表しました。
取り締まりは地上のみならず、「上空」からのアプローチも行うようです。どういうことなのでしょうか。
荷物を満載したトラックのイメージ(画像:PIXTA)
トラックやダンプなどの過積載が横行しています。この過積載とは「最大積載量」をオーバーした状態のことです。
廃材をジェンガのように山のように積み、今にも落ちそうな状態で走るのは論外ですが、そんな山積みではなくても、積荷によってはちょっとの量でも過積載になることがあります。
過積載の目安ですが、たとえば東京都は「一般的に土砂の最大積載量は、ほぼ荷台の高さです」としています。つまり、荷台より上に「土が盛り上がっている」時点で、すでに過積載の可能性が高いということです。
そもそも、過積載はなぜ危険なのでしょうか。まずは「ブレーキが効かない」という大きなリスクがあります。これは物理の「慣性の法則」によるもので、防ぎようがありません。
全日本トラック協会の資料によると、80km/hで走行している10トントラックで限界の10トンを積んでいる場合、制動距離は50.3m。
しかし、同じトラックで80%過積載の18トン積みでは、20mも延長の70.3mに。これは長さにして、およそ大型トラック2台分、もしくは電車1両分です。
万が一、人やクルマが飛び出してきたら、本来停まれたはずの場所から一気にオーバーランします。さらに、突っ込んでいくエネルギーも物理の法則上、80%オーバーの質量に比例し、ぶつかった先の相手に与える損害も大きくなります。
また、メーカーが設定上設けた「耐えきれるギリギリの重さの上限」である「最大積載量」をオーバーしている状態という点でも危険です。
運転時は想定以上の遠心力が働いて、左右にふらついてバランスを崩しやすくなるほか、横風にあおられやすくなり、横転事故に至ることもあります。
トラックの車体やシャシ、タイヤも、許容した重さを超えていることからそれに耐えられず、折れたりバーストしたりして、立ち往生する可能性もあります。エンジンやミッションなどの駆動系にも異常な負担をかけ、寿命を縮めて、燃費も悪化します。
さらに、道路や周囲の人にも迷惑をかけます。
異常な重さによって、道路の小キズを広げて穴ぼこを開けたり、橋を傷めつけたり、重くて加速しないことから、アクセルを目一杯踏んで、周囲に排気ガスと騒音を撒き散らします。
そして事故を起こせば、守るべき決まりを守らなかったことで刑事罰が課せられ、民事上でも多額の損害賠償が請求されます。
もしかすると「あそこのトラック会社に運送を任せないようにしよう」と、社会的にも制裁を受けることになります。
この処分は過積載車を運行していたドライバーや運送会社だけにとどまりません。「この荷物を何時までに何処何処へ運べ」と依頼した“荷主”にも責任が追求されます。
これは、ドライバーや運送会社がルールを守ろうとしても荷主の立場が強く、もしそれに応じなければ報酬を下げたり、契約を打ち切るなどといったことが横行するなど、“荷主の指示・命令”によって過積載が行われているからです。
何度も警告しているのに改善されない場合、数日から数年にわたってそのトラックを運転したり、運転させたりすることを禁ずる「使用制限処分」や、懲役または罰金刑が下ります。
しかし、過積載は依然として全国で非常に多く行われており、ブレーキが効かずに突っ込んだ事故や、踏切で立ち往生して電車と衝突した事故なども起きています。
茨城県警ではこれまでも、白バイや覆面パトカーを使って、過積載の可能性があるクルマを見つけては測定所に連れていったり、臨時で測定所を設けてその場で検挙しているといいます。
さらに、ヘリコプターを活用して上空からも追跡。過積載疑いの通報が寄せられれば、それをすぐさま発見し、周囲の白バイやパトカーに連絡。あるいは、過積載が行われている現場の特定なども実施しています。
特に産廃運搬に関しては目を光らせており、県と合同で過積載を行った荷主の正体や産廃の出どころ、行先の特定を進めています。
茨城県警は「大切な命と道路を守るため重量制限を守りましょう!」と呼びかけています。
くるまのニュース編集部
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