( 268906 )  2025/02/23 03:31:08  
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人間関係リセット症候群 

 

 お風呂、外出、食事などといった、行為そのものをやめる、〇〇キャンセル界隈。選べるものがあふれる世の中で、キャンセルつまりはリセットすることも当たり前の時代だが、その結果、「人間関係リセット症候群」も…。 

 

 「時々、関わる人も、住む場所も、一切合切全てリセットしたくなる」。このnoteを執筆した、リセット症候群の当事者、はるみさん(25)は、SNSを削除、グループは全て退会し、友達の連絡先でさえ消してしまう。取材中にも27人を削除した。今を大切にするため、過去を消去し、リセットを選ぶという。 

 

 なぜ改善ではなく、キャンセル、リセットを選ぶのか。人間関係を解消してしまう、リセット症候群の当事者とともに『ABEMA Prime』で考えた。 

 

はるみさん 

 

 はるみさんは、Instagramではミュートやブロック、アカウントごと削除。LINEは定期的にトークや友達を削除・整理。写真フォルダは、過去の写真から容量が空くまで削除するという。 

 

 人間関係をリセットする理由について、「今までの自分が積み重ねてきたことが、黒歴史に感じてしまったり、今までの思い出が、すごく重く感じてしまった時に全てリセットしたくなってしまう」と説明。 

 

 また、「期間が長くなれば、密度もどんどん濃くなってくるし、自分のパーソナルスペースを他人に入られたりとかするぐらいになってきたら、重く感じてしまう」と補足した。 

 

 そんなはるみさんにとって、一番リセットできるのは「住む場所を変えること」だという。「毎日生活する場所がずっと一緒というのも、そこに思い出がどんどん詰まってきて、しんどくなってしまうので、とても気持ちがいい行動だ」。 

 

 リセットすることは「断捨離している気分になる」といい、「気にするものが少なくなって、今に集中できるようになる」と語る。 

 

 連絡先が分からないと困ることはないのか。はるみさんは「もちろん、ときどき後悔をする。でも、過去のことが消えたとき、より今に集中できるので、そこまであまりない」と答えた。 

 

 改善することについては、「頑張りたい気持ちはあるが、どうしてもキャパオーバーになって、他の病気にかかったりする。(リセットは)自分を楽にしてあげられる一つの方法だと思っている」。 

 

 

岡野さん 

 

 一方で、友人・知人の連絡先を全て削除した経験があり、リセット症候群に激しい後悔の念を持つ岡野さん。後悔するときは、「過去の思い出を思い返して、『あの人は元気にしているかな』と思ったとき、連絡を取る術がない。会いたいときに会えなくなってしまったのが今生の別れみたいな感じだ」。 

 

 岡野さんは、過去のリセット症候群について、「今30代になってだいぶ落ち着いたが、20代がひどかった。積み重なってはキャパを超えて、消えてしまいたい。人の存在から認知されたくないというか、自分が消えても、別になんもないだろうと思いながらリセットしていた」と振り返る。 

 

 自身の性格については、「自分で言うのもなんだが、すごい気を遣いがちで、ネクラなのに明るいキャラを演じてきた。それで積み重ねてきた友人関係に、我慢の限界がきて、けんかするまでも至らずに我慢の限界でリセットしてしまう」と明かした。 

 

石田光規氏 

 

 「株式会社クロス・マーケティング調査」によると、人間関係のリセット経験あり38%、今後リセットしたい24%。リセットの対象は友人・知人が60%、職場の人が28%。きっかけは、ライフスタイルや生活環境が変わった、面倒、うっとうしい、嫌になったなどが挙げられる。 

 

 早稲田大学教授・社会学者の石田光規氏は、人間関係をリセットする人の特徴について、「周囲に気遣いをしてしまう人は多い。キャラを作ったりして、けんかができない人。なかなか自分のことを言えずに、周囲に合わせてやっているうちに、だんだん疲れてきてしまい、そのときにけんかして仲直りせず、リセットしてまた次の関係に進む方が多い」と説明する。 

 

 コミュ力が高いということか。石田氏は「そうだ。結局のところ、人の輪に入ることはできるが、本人はかなりそこに労力を使っている。そうなってくると、リセットしたくなってしまう。だから、なかなか難しい。親しくないからいいのではなくて、そこに入ってしまうと一生懸命演じてしまったりしてしまう」と答えた。 

 

 リセットすることのデメリットは、「逃げグセがつく」「信頼できる人間関係を構築しづらい」「人との出会いが雑になりがち」「軽薄な人間だと思われる」ことだという。「リセットすると、人と会う体力が落ちていき、ますます人と会いづらくなってしまう」。 

 

 改善方法について、石田氏は「どこかの場所に足を運んでみる」ことだといい、「本を読むとかでもいい。わざわざ人と話して、明るく振る舞う必要はないと思う。友達になるとかは、もうちょっと後で判断するぐらいがいい」との考えを示した。 

 

(『ABEMA Prime』より) 

 

ABEMA TIMES編集部 

 

 

 
 

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