( 269191 ) 2025/02/23 17:48:51 0 00 Photo by gettyimages
今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。
原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。
森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った魂の一冊『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第14回
『有事の際に真っ先に飢え死にするのは「都会の人々」!?…故・森永卓郎さんが「農業の軽視は命の軽視」と政府を痛烈批判したワケ』より続く。
1990年に国会で「国会等の移転に関する決議」が採択され、1992年には「国会等の移転に関する法律」も成立している。首都機能の移転先として「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」「三重・畿央地域」と、具体的な候補地も提示されていた。
本来、首都はとっくに移転していてもおかしくなかった。
なぜ首都機能の移転が進まなかったかといえば、「東京から移動したくない官僚と政治家がタッグを組んで抵抗した」からだ。
そもそもアメリカでも政治と経済の中心は異なる。それが世界の主流だ。それなのになぜ日本は首都機能を移転しないのかと、かつて政府の人に聞いたことがある。
その時の答えは、「わざわざ田舎に行きたい奴はいない。子どもの教育だって困る」というものだった。
私はその時、「みなが“東京病”にかかっている」と痛感した。
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エリート官僚の子どもの教育のために、首都を移転しないというのは本末転倒だ。首都機能の移転先には、日本のエリート層が丸ごと移転してくるので、仮に現時点で学校がなかったとしても、いくらでも名門校を作れるはずだ。そもそも、問題にすべきなのは国益であり、エリート官僚の子弟の教育のことなどどうでもよいはずだ。
結局、東京のことしか知らない人間が、国の政策を決めているのが、日本の最大の問題なのだ。
もし首都機能移転の気運が高まった時に、首都を福島に移転していたら、東日本大震災後に原発再稼働&原発増設なんて怖くてできなかったはずだ。
地方のことを知らない東京の人間が、政策を決めている。地方交付税を真っ先に削っているのもむべなるかななのだ。
『「首都直下地震はいつ起きてもおかしくない」「東京一極集中は絶対にやめるべき」…日本の将来を憂えた森永卓郎さんの深刻すぎる遺言』へ続く。
森永 卓郎(経済アナリスト・獨協大学経済学部教授)
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