( 269206 )  2025/02/23 18:05:48  
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二所ノ関親方 

 

【全2回(前編/後編)の前編】 

 

 日本相撲協会の“理事長候補”として、角界の期待を背負う元横綱・稀勢の里こと二所ノ関親方(38)。愛弟子は昨年大関に昇進し、親方としてひと花咲かせたいところだろう。しかし、「週刊新潮」は二所ノ関部屋で未成年飲酒や“悪ノリ”が過ぎる力士同士の乱痴気騒ぎが行われていた証拠動画を入手した。果たして彼に親方としての素質はあるのだろうか――。 

 

 *** 

 

 昨年9月の秋場所で、大関に昇進した二所ノ関部屋の大の里(24)。2月11日には、都内のホテルで昇進披露宴が開かれた。新たな“横綱候補”として、春場所の最注目力士であるに違いない。二所ノ関親方にしても、鼻高々だろう。 

 

 だが、そんな浮かれ気分も吹き飛ぶような動画が、角界関係者の間で話題になっているという。前々回の九州場所の際に撮影された、その内容を紹介しよう。登場する力士は当時、みな二所ノ関部屋の所属である。 

 

 室内で酒盛りをする10人ほどの力士たち。その視線の先で、なにやら雄叫びを上げているのは貴正道(22)だ。酔いが回っているのだろうか、何も服を着ていない。 

 

 そこへ、友風(30)と麒麟龍(23)が進み出て貴正道を囲む。友風の手には中身の入った酒瓶が握られている。 

 

 すると、床に腰をおろした貴正道が脚を広げ、お尻の穴をあらわに。その体勢をキープすべく、麒麟龍が脚を押さえる。と、友風は“セット!”と大声を張り上げて、貴正道の肛門に酒瓶を押し込んだ。数秒後、友風が瓶を引き抜くや、アルコールの効き目か、貴正道は“痛い! 痛い!”とのたうちまわる。それを見て、腹を抱えて笑い転げる力士たち。さらに友風は、そのまま酒瓶を貴正道にくわえさせ、酒を流し込む。立ち上がった貴正道は、満面の笑みを浮かべ、なぜか両手でグッドサイン――。 

 

 大相撲担当記者が言う。 

 

「貴正道は、大の里の付け人をしている、いじられキャラの三段目。十両の友風は昨年、元嘉風である中村親方の独立に伴い、中村部屋に移籍しています。角界では珍しく、趣味はピアノ。X JAPANのYOSHIKIが好きだそうです」 

 

 

 別の動画に移ろう。そこでは、部屋所属の床山(とこやま)が、貴正道に対して、友風と同様の仕打ちをする場面が収められている。まわりの力士が、瓶のふたは外すよう丁寧にアドバイス。泡立つ缶ビールを口にする床山は、このとき未成年で、貴正道よりも年少だ。周囲の力士は大爆笑こそすれ、とがめる様子は皆無である。 

 

 ほかにも、酔いつぶれて寝転ぶ力士の写真がある。傍らには“水たまり”ができているが、なんとこれは尿の跡だという。 

 

 信じがたい狼藉を繰り広げた二所ノ関部屋の面々。その本拠地は2022年、茨城県阿見(あみ)町に新設された。 

 

「1800坪と広大な敷地を誇り、バスケットコートまで設置してある。現役引退後に早稲田大学大学院でスポーツ科学を学んだ親方による、“現代的”な相撲部屋として知られています」(先の相撲記者) 

 

 他と一線を画す方針は、部屋のホームページに掲げられた、親方のこんな言葉からも明らかだ。 

 

〈「親方」とは、弟子の発掘から育成、床山や行司などの職種のマネジメント、さらにはファン・支援者の獲得等、相撲部屋の経営に関わる全ての責任者です。相撲部屋こそ、他のプロスポーツ同様に経営的観点を持ち、体系立てて行うことが必要だと強く感じています〉 

 

 およそ国技とはミスマッチな文言が並ぶが、そのガバナンスの実情について、 

 

「親方は、まったく部屋の管理ができていないんです」 

 

 そうため息をつくのは、二所ノ関部屋関係者である。 

 

「この部屋では、親方と弟子たちは“同じ敷地内”で暮らしてはいますが、“同じ屋根の下”で生活していません。別々の棟に住んでいるのです。親方は午前中に稽古をつけて昼飯を食べると、あとは“オフィス”にこもりっきり。弟子の面倒を見ることはありません」(同) 

 

 放し飼いにされた力士たちはといえば、 

 

「布団は畳まない。ティッシュは拾わない。トイレは排泄物が便器についたままで、さながら公衆便所 。誰も掃除をしようとしません」(前出の関係者) 

 

 要は、教育がまったくなっていないわけだ。 

 

「わざわざ親方の地元に部屋を新設したことからも分かるように、二所ノ関部屋は“地域密着型”を売りにしています。だから、支援者の農家は、部屋に新鮮な地元産の野菜を送ってくれるのですが、これも勝手口の前に置きっ放しです」(同) 

 

 後編【二所ノ関部屋の未成年飲酒、乱痴気騒ぎ、親方本人に聞くと… 相撲協会は「ふざけてやったとしても度を越している」】では、騒動について当事者、そして相撲協会に取材している。 

 

「週刊新潮」2025年2月27日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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