( 269356 ) 2025/02/24 05:21:25 0 00 トランプ米大統領の公式写真
ロシアによるウクライナ侵略を巡る米国の対応は、1月にバイデン前大統領からトランプ大統領に政権が代わったのを境に一変した。トランプ氏はウクライナや欧州の頭越しに対露交渉を進める姿勢を強め、支援の対価としてウクライナからレアアース(希土類)権益の確保を狙っている。
「彼ら(ウクライナ)はカードも持っていないのに自分たちを強く見せようとしている」。トランプ氏は21日、ホワイトハウスでの会合で、ウクライナとの関係をポーカーになぞらえた。
トランプ氏は「プーチン露大統領と良い話し合いができた」と12日の電話での米露首脳会談を振り返り、「ウクライナとはそれほど良い話はできていない」とも語った。
トランプ氏のゼレンスキー氏に対する冷淡な態度の背景には、5千億ドル(約76兆円)相当とされるレアアース権益の譲渡に同氏が応じないことへのいらだちがある。
トランプ氏はたびたび、米国は2022年2月のロシアによる全面侵攻以降、ウクライナに「3500億ドル」の支援を供与したと主張し、その見返りを求める考えを示してきた。だが、対外支援を巡る米監査によれば、22年以降に議会承認されるなどした支援は、周辺の北大西洋条約機構(NATO)加盟国向けなどを含め約1830億ドルで、トランプ氏の主張とは大きな開きがある。軍事支援の多くは米国製の武器や弾薬で、国内経済への貢献も大きい。
バイデン前政権は、NATOや先進7カ国(G7)などの枠組みも活用し、「必要な限り支援を続ける」との方針を堅持。一方で航空機や長距離兵器の供与・使用に慎重な姿勢を見せた。侵攻を阻止しつつ、戦争の拡大を防ぐとの目標を両立させるためだ。
これに対し、トランプ氏は、「支援疲れ」が強まる米世論も意識し、プーチン氏とのディール(取引)による早期の戦争終結と米国の利益確保を目指している。
「だが、そのために友好国を強請ってどうするのか」。第1次トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン氏は21日、米テレビで疑問を投げかけた。(ワシントン 大内清)
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