( 269851 )  2025/02/25 15:47:25  
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〈自民党は、財政再建派と積極財政派の二つの組織を近く一本化する方向で調整に入った〉1月7日、読売新聞は朝刊でこう報じた。一見、地味なこのニュース。しかし、この決定がのちに永田町全体を巻き込む「大騒動」へと発展しかねないことを多くの人はまだ知らない。 

 

前編記事『自民党のあの「二大勢力」がついに合体…!そして自民党の崩壊が始まる!』より続く。 

 

積極財政を主張する安倍派の議員たちは先の衆院選で軒並み落選した。そのため、今回の新たな財政改革本部への組織統合は、財政再建(規律)派が機に乗じて積極派を潰すための策略と見る向きもある。 

 

「新しい財政改革本部の幹事長に、小渕優子が指名されたと聞く。財政健全化推進本部で本部長代行も務めたバリバリの規律派です」(自民党閣僚) 

 

しかし、積極派の西田昌司氏は別の見方をしている。 

 

「少数与党の自民党は国民民主党や日本維新の会とも協力していかなければならない。そのときに『財源がない』と言っているだけでは、彼らの政策を取り込めない。交渉すらできない」 

 

先の衆院選では国民民主を始めとした野党が議席を伸ばした。そして、国民民主が掲げる目玉政策は「103万円の壁」の見直しだ。税額控除を引き上げて税金を減らし、手取りを増やそうという議論で、これは積極財政的な政策にほかならない。 

 

だからこそ西田氏は積極派の議員たちが、新たな財政改革本部の手綱を握り、野党と対峙すべきだと考えている。 

 

「玉木雄一郎さんと話したが、彼は財政をよくわかっている。いっそ国民民主と連立を組んで、玉木さんを首班指名するのもアリなのではないか」(西田氏) 

 

当の玉木氏も自民党の積極派に期待を寄せる。 

 

「せっかく国民民主がトスをあげているのだから、バーンと打ってくださいよという気持ち。『自民党の積極財政派はいまこそ決起せよ!』です」 

 

この両者の関係を苦々しく眺めている人物がいる。自民党税制調査会長の宮沢洋一氏だ。「103万円の壁」引き上げに慎重な立場を取り、ネット上では「ラスボス」と呼ばれている。 

 

「本人はまんざらでもないようで、『俺はラスボスだから、細かいことは言わない』と自分でネタにしている。しかし、国民民主には怒り心頭で『あいつらはポピュリズムだ』とブチギレている。西田氏についても『大局的にものが見られない』と言っていた」(前出・政治部記者) 

 

そんな宮沢氏は、森山𥙿幹事長を税調インナーに引き込み籠絡。立憲民主党や維新にも財務官僚を送り込み、野党の切り崩しにかかっているという。 

 

「『178万円』へ壁を引き上げたら、7兆〜8兆円の税収減となる。でも維新の『高校無償化』なら年約6000億円で済む。立憲の高額療養費の自己負担額上限引き上げの凍結もカネはかからない。維新か立憲に本予算に賛成してもらうため、財務官僚が彼らにお伺いを立てている」(前出・自民党関係者) 

 

昨年末、石破茂総理が突然「大連立」を匂わせた。しかし、これも不思議なことではない。立憲の野田佳彦代表や維新の前原誠司共同代表とは気脈を通じる仲だ。石破総理は安倍氏と距離を置いてきた規律派である。 

 

こうして見ると、自民党は新たな財政改革本部の主導権争いで空中分解しつつある。そして、バラバラになった自民党議員たちは果たしてどことくっつくのか……。積極派と規律派の強引な統合が、政界再編の引き金を引くかもしれない。 

 

【もっと読む】『103万円の壁に立ちはだかる「ラスボス」自民・宮沢洋一税調会長が地元でパーティ三昧だった!』 

 

「週刊現代」2025年2月22・3月1日合併号より 

 

週刊現代(講談社・月曜・金曜発売) 

 

 

 
 

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