( 270711 )  2025/02/27 17:13:27  
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現在、全国36店舗を展開(日本初出店の福岡県久山町の「コストコ」久山倉庫店)/(C)共同通信社 

 

 会員制小売りチェーン「コストコホールセール」が5月から年会費を値上げする。個人のゴールドスター会員は4840円から5280円に、法人のビジネス会員も4235円から5280円になる。5月以降、入会または更新した会員に適用する。 

 

 コストコは米国を中心に世界で約900店舗を展開。1999年に日本で1号店を出店し、現在では国内36店舗を展開する。会員か、同伴者のみ入店可能だ。 

 

 売り場面積1万平方メートル以上の倉庫を模した店舗で、店内には客の手が届かない棚の上段まで在庫が積み上がっている。店舗数こそ少ないが、1店舗の年間売上高は180億円以上あり、国内の年間売上高は6000億円に上るといわれる。日本の消費者になぜ受け入れられたのか。 

 

「国内では小売店としてだけでなく、行楽の場所としても機能しているんです。米国を思わせる店舗と商品構成は非日常感を与えてくれます」(小売り業界に詳しい大学教授) 

 

 店内には2キロの精肉や5リットル以上の液体洗剤など、通常の食品スーパーでは見かけない大容量の商品を数多く陳列する。大容量であるため設定価格と相場の差が分かりにくいが、グラム単位で計算すると、他の小売店より安いわけではない。客層に関しては単独客は少なく、家族連れなどの集団客が多い。客は楽しんでいるような印象だ。会員制であることも、客の定着をもたらしているようだ。 

 

「年会費であることが集客効果を発揮する。一度支払うと『元を取りたい』という心理が働き、訪れる回数が増える」(広告業界関係者) 

 

 同社の決算資料によると、会員費は全世界売上高の2%弱に過ぎないが、営業利益の半分以上を占める収入源である。併設する会員限定のガソリンスタンドは相場の5~10円ほど安く、店内のフードコートも食品を安く提供している。こうした設備は、年会費への還元の意味合いもある。 

 

■立地条件が足かせに 

 

 コストコは4月に国内37店舗目を山梨県南アルプス市でオープンする予定。同社は「2030年までに国内60店舗以上」としており、今後も積極的な展開を目指す。だが、「半径10キロの人口がおおむね50万人以上」や「敷地面積1万5000坪以上」「車のアクセスが良い物件」といった、コストコの立地条件が足かせとなりそうだ。 

 

「首都圏では外環道路の内側で条件を満たす土地はなく、国道16号の内側でも難しい。そもそも一人でこれだけ広い土地を持っている人は少ない。地方で土地を見つけても地権者の調整が大変」(不動産関係者) 

 

 人口76万人の新潟市は、数年前からコストコ出店の有力地といわれてきたが、いまだに出店していない。今後の出店は土地の確保次第だ。 

 

(山口伸/ライター) 

 

 

 
 

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