( 272499 )  2025/03/06 07:19:32  
00

2月28日に行われたゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会見は注目を集め、アメリカとウクライナの関係に影響を与えた。

国際政治アナリストの渡瀬氏は、ウクライナとアメリカの関係の改善にはまだ可能性があると指摘している。

記事では、会見中の服装や態度が注目され、共和党の保守派の価値観に合わなかった点が窮地を招いたと述べられている。

ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領の提案を無視した態度を見せ、両者の関係が困難な局面に直面していると報じられた。

(要約)

( 272501 )  2025/03/06 07:19:32  
00

(c) Adobe Stock 

 

 2月28日に実施されたゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会見は世界に衝撃を与えた。アメリカとウクライナの2国間関係は決定的なダメージを受けたとみられているが、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「まだウクライナにも関係改善のチャンスはある」とみる。どういうことかーー。みんかぶプレミアム特集「資本主義の終わり」第5回。 

 

 ゼレンスキー大統領とトランプ大統領・バンス副大統領の喧嘩会見は世界に衝撃を与える事態となった。そして、予定されていた会見後の協議も見送られることになり、怒り心頭のトランプ大統領によってウクライナへの軍事支援を一時停止された。この驚くべき事態は一体何故起こってしまったのか。トランプ大統領・バンス大統領は激怒したのか、そして今後どうなってしまうのか、注目される展開となっている。 

 

 筆者はゼレンスキー大統領が黒のシャツのスタイルで現れた時点で、「あー、これはやってしまったな」と感じた。バイデン政権は非常にリベラルであるため、会談相手の服装を明確に指摘することはない。民主党は内心はともかく表面上は自由な服装を許容するスタイルだ。しかし、共和党の保守派はそのようなヒッピー的な感覚を許すことはない。フォーマルな場ではフォーマルな服装をすることを求める人々は共和党保守派である。つまり、常識を重視する政党だということだ。 

 

 そのため、外国指導者であったとしても、フォーマルな服装で面談することは礼節として最低限必要なこととなる。ゼレンスキー大統領は戦時であることを表現したかったのだろうが、それを右派のジャーナリストからも突っ込まれる隙を見せたことは認識が甘かったと言えよう。 

 

 共和党保守派の年次総会であるCPACでは参加者(少なくとも展示会場でブースを出す人々)はスーツが基本である。そして、飲み物は会場備え付けのコーヒーだ。しかし、何年か前のCPACに参加した際、Facebook(現在のメタ社)がブースを出していたのだが、ちょっとイケてる感じのテトラポット型ブースで、カジュアルな私服のスタッフが、身体に良さそうなお茶を提供していた。リベラルな雰囲気の同社のブースが会場の中で異常に浮いていたのは明らかだった。ゼレンスキー大統領の服装は当時のFacebookの感覚と似たようなものであり、共和党の大統領と困難な交渉を行う際に着衣するようなものではなかった。バンス副大統領に、その言動も含めて「米国と納税者に敬意がない」と評されても仕方がない非常識な服装であったと言えよう。 

 

 イーロン・マスク氏も閣議で同様にラフな格好で出席しているが、それはトランプ大統領の権威を背景とした行為であり、皆が本心では快くは思っていなくても面従腹背していると言ったところだろう。 

 

 

 その上で、ゼレンスキー大統領の態度は最悪であり、ウクライナに親和的な共和党のリンゼー・グラム上院議員による助言を無視したものだった。グラム上院議員はゼレンスキーに対して、「まずは鉱物資源と武器供与に関する話を進めること」「その後、戦争の終わりについて議論すること」「会見の場では礼儀正しい態度を取ること」という助言を行ったが、ゼレンスキー大統領がそれを全く無視したことは相当ショックであったようだ。 

 

 筆者もゼレンスキーVSトランプ・バンスのやり取りを見ていたが、ゼレンスキー大統領の言動は非常に無礼なものであり、トランプ大統領は極めて冷静に現実的な提案をしていたように見える。ゼレンスキー大統領は、米国からの安全保障の確約を欲していたものの、そのような代物はバイデン時代も無かったものであり、まして現状を踏まえた現実的な解決を望むトランプ政権が飲めるようなものではない。もちろんゼレンスキー大統領が何ら見返りもなく鉱物資源の協定に署名すればウクライナ国民に激しく突き上げられることになっただろうが、トランプ大統領からの要求に対してゼロ回答では米国からウクライナ側は話し合いを行う準備が出来ていないと判断されても当然だ。 

 

 

 
 

IMAGE