( 272721 )  2025/03/07 05:58:46  
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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

安心してください、米の値段は下がります……政府が備蓄米を放出しても米の価格は下がる気配はなし。あらゆるものの値段が上がるなか、年金が頼りの高齢者の困窮ぶりが問題になっています。頼みの綱となる支援である生活保護もありますが、簡単に受けられるものではないようです。 

 

先月、政府は備蓄米の放出を発表しましたが、今のところ米の高騰が止まる気配はありません。今後、価格が下がっても限定的という専門家も多く、もう米の価格は元には戻らないと悲観する見方が広がっています。そんななか、生活のベースが年金という高齢者が苦境に立たされています。 

 

「何もかもが高くて、食べていくのもやっとだよ」と窮状を訴えるのは千葉勲さん(仮名・76歳)。 

 

 

 

【消費者物価指数(CPI)の推移】 

 

2019年1月…99.7(前年同月比0.8%) 

 

2020年1月…100.5(前年同月比0.8%) 

 

2021年1月…99.8(前年同月比-0.7% ) 

 

2022年1月…100.1(前年同月比0.2%) 

 

2023年1月…104.3(前年同月比4.2%) 

 

2024年1月…106.4(前年同月比2.0%) 

 

2025年1月…109.8(前年同月比3.2%) 

 

出所:総務省『消費者物価指数(CPI)』 

 

※数値左より、生鮮食品を除く総合指数(2020年基準)、前年同月比 

 

父親の代からの商店を継いだものの、時代の流れとともに大手チェーン店の進出やオンラインショッピングの普及、さらには地域の人口減少などが追い打ちをかけ、売上は大幅に減少。親が残してくれた店、できれば守っていきたいと頑張りましたが力及ばず、60歳になる前に廃業。以降はアルバイト、65歳からは年金も受け取りながら生計を立ててきました。 

 

直近でやっていたのは施設警備員の日勤。時給980円で、月17.2万円ほど。手取りにすると14万円ほど。そこに年金が7万円弱加わり、毎月20万円を切る程度の収入がありました。高齢男性ひとり暮らしていくには十分ではあったものの、75歳に達すると契約は更新しないと通達。仕事を失いました。 

 

――まだ働ける。でもこの年になると、仕事がなかなか見つからない。 

 

アルバイトの収入がなくなり、収入は老齢基礎年金の月7万円弱。買い物に行くと、どんなに安いものであろうと、一度、「本当に買っていいのだろうか」と考え込む……そんな毎日を送っているといいます。 

 

 

特に昨年の夏以降の物価高は厳しいという千葉さん。燃料も高く、布団をかぶってできるだけ暖房をつけない生活を送っています。 

 

【灯油(18L)の価格推移】 

 

2019年1月…1,635円 

 

2020年1月…1,720円 

 

2021年1月…1,495円 

 

2022年1月…1,961円 

 

2023年1月…2,024円 

 

2024年1月…2,114円 

 

2025年1月…2,241円 

 

出所:総務省統計局『小売物価統計調査』 

 

――あまりに生活が苦しいもんだから、一度、役所に相談しにいったよ。生活保護!? あれを受けられるんじゃないかと。でも「生活保護は難しいですね」と一蹴されたよ 

 

千葉さんの暮らしている市における75歳男性の生活保護費は月10万7,250円。そのうち家賃に相当する住宅扶助基準額は4万0,900円で、千葉さんの場合、持ち家(=元店舗兼自宅)なので対象外。年金収入が最低生活費である6万6,350円を下回っていれば、その差額を受け取れる可能性があります。この年金収入は手取り額。月額年金額から実額控除(所得税+手続き代+介護保険料控除)を差し引いた額が収入認定額とされます。千葉さんの場合は…わずかながらも最低生活費を上回り、生活保護を受けることは叶いませんでした。 

 

――おいおい、何もかも値上がりしているのに、年金だけで暮らせるわけないだろう 

 

そう反論してみても「決まりですので」と一蹴。さらに「失業しているとはいえ、千葉さんは健康で働けますよね。まずはお仕事を頑張って探しましょう」と励まされる始末。 

 

――まさかこの年になって「仕事を探せ」と役所にいわれるとは思いもしなかった。とりあえず、ハローワークに通い続けるしかなさそうです 

 

[参考資料] 

 

総務省『消費者物価指数(CPI)』  

 

総務省統計局『小売物価統計調査』 

 

 

 
 

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