( 272836 )  2025/03/07 08:02:16  
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北陸放送 

 

39年前、福井市で女子中学生が殺害された事件で、6日名古屋高裁金沢支部で、再審=裁判のやり直しが行われました。検察は新たな証拠を出さず、服役した男性の無罪が確実となりました。 

 

前川彰司さん(59) 

「38年の月日の思いを数分の時間で意見を述べよと言われても、なかなかそれは全てを語れるかなと思うとそうは思わない。ただ初公判、言いたいことは言えた」 

 

前川彰司さん59歳。裁判のやり直しを求めてから20年余り、ようやく審理の日を迎えました。 

 

事件は1986年3月に福井市の市営団地で発生。 

 

留守番をしていた中学3年の女子生徒が包丁で数十か所を刺され、死亡しました。事件の翌年、当時21歳の前川さんが逮捕され2審の名古屋高裁金沢支部で懲役7年の判決が確定しました。 

 

前川彰司さん 

「違うものは違う、やっていないものはやっていないのです」 

 

捜査段階から一貫して無罪を主張していた前川さんは、服役後の2004年、裁判のやり直しを求めましたが、検察の申し立てで退けられました。 

 

しかし、2度目の再審請求となった去年10月。 

 

記者 

「再審開始の文字、裁判のやり直しは認められました」 

 

直接的な証拠がない中、争点となったのは確定判決が根拠とした6人の目撃証言の信ぴょう性です。 

 

2回目の再審請求で、弁護団は、新たに検察から受けた287点の証拠開示の中で「血の付いた前川さんを見た」と話した男性が直前に見ていたとするテレビ番組が実際は事件の翌週に放送されていた矛盾を指摘。 

 

男性が「自身の犯罪を見逃す見返りに、前川さんの関与を認めるよう求められうその証言をした」と認め、捜査機関が供述を誘導した経緯が浮き彫りになりました。 

 

■迎えた再審 「39年に渡る長い年月を犠牲にしました」 

 

そして迎えた再審の日。 

 

6日午後2時から名古屋高裁金沢支部で開かれた初公判で、検察側は「懲役7年とした確定審控訴審の判決は妥当。6人の供述はそれぞれ連続して重なり合い、互いの信用性を高め合っている。被告人が犯人であることは明らかであるから、控訴審判決と同様の判決が与えられることを望む」とし、改めて有罪を主張しました。 

 

一方で、新たな証拠は提出しませんでした。 

 

 

事件から39年、再び法廷の場に立った前川さんは。 

 

前川彰司さん(59) 

「39年に渡る長い年月を、私はこの事件のために犠牲にしました。得るものもありましたが、過ぎ去ったこの年月を振り返るとき、人生の空しさを覚えるのも、また正直なところです」 

 

また、裁判終了後の会見では… 

 

前川彰司さん(59) 

「憤りは当然ある 腹立たしさとか。やっぱり福井事件はやはり初めから検察の判断は間違っていた。警察・検察が嘘を見抜けなかったという、ここにそもそもの原因があったのではないか」 

 

裁判は6日で全ての審理が終了し、検察が新たな証拠を提出しなかったことから、前川さんの無罪が確実となっています。判決は7月18日に言い渡されます。 

 

北陸放送 

 

 

 
 

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