( 272901 ) 2025/03/08 04:04:03 0 00 内田梨瑚被告(TikTokより)
〈《初公判》「濡れた雑巾を投げつけ暴力を」“旭川17歳女子高生殺害”主犯・内田梨瑚の“舎弟”(当時19)が学校で起こした“事件”「カレシはいかついヤンキー系で…」〉 から続く
2024年4月、北海道旭川市で女子高生が橋から転落させられ殺害された事件で、殺人などの罪で起訴された内田梨瑚被告(22)と小西優花被告(20)。きょう3月7日、旭川地裁は小西被告に懲役23年の実刑判決を言い渡した。
犯行当時、被害者が全裸で土下座する姿を動画撮影し、暴行の様子をビデオ通話で仲間に見せていたという内田被告。「私は旭川でボコボコにするつもりだったので、優花に『やっちゃうつもりだよ』と伝えると、『優花もやりたいです』と言ってきました」と供述しているという。凄惨な犯行の背景には、一体何があったのか。逮捕時に被告らの生い立ち、被害者との関係性に迫った「週刊文春」の記事を全文公開する。
19歳だった小西被告は逮捕時は匿名で報道され、本記事でも「A子」と表記。改正少年法で起訴後の実名報道が可能な「特定少年」に当たり、起訴された2024年8月に地検が氏名などを公表している。(全2回の1回目/ 続きを読む )
(初出:「週刊文春」2024年6月27日号。年齢、肩書は当時のまま)
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北海道旭川市で17歳の女子高生が高さ10mの橋から転落死させられた事件。殺人容疑で逮捕されたのは21歳の女とその舎弟だった。地元でも札付きのワルだった2人はなぜかくも残虐な犯行に手を染めるに至ったのか。
北海道旭川市、中心街から車を走らせること約20分の山腹にある景勝地「神(かむ)居(い)古(こ)潭(たん)」。木々の濃厚な香りが辺りに漂い、鳥がさえずる当地はアイヌ語で「神の里」を意味し、石狩川の激流や奇岩が通行人を苦しめる難所だった。彼の地に宿る神は「魔神」と呼ばれ、道ゆくアイヌの人々は祈りを捧げねばならなかったという。現在ではもっぱら心霊スポットとして知られ、地元民の肝試しの場所となっていたが、この里で4月19日、神をも恐れぬ残虐な殺人事件が起きてしまった――。
社会部記者が解説する。
「留(る)萌(もい)市の村山月(るな)さん(17)は4月18日、内田梨瑚(りこ)容疑者(21)からSNS上で自身の写真を無断で使用したことを咎められ、解決金として10万円を要求されたため、電子マネー10万円分の送金を試みた。ところが送金が失敗。激昂した内田は未成年を含む仲間3名とともに留萌市内の道の駅で待ち合わせ、そこから車で60キロほど離れた旭川市まで村山さんを連れ回した」
道中、身の危険を感じた村山さんはコンビニに逃走。店員に助けを求めたものの、内田はこう言い放った。
「この子はおかしくなっているので、取り合わなくていい」
暴行を受け、車に連れ戻された村山さんは内田ともう1人のA子容疑者(19)からわいせつな行為を受けている。そして、
「日付の変わった19日、両容疑者は神居古潭の『神居大橋』から村山さんを突き落とした。村山さんの家族は22日、行方不明者届を提出。道警は4月から5月にかけて内田ら4名を不同意わいせつ、監禁、恐喝などの疑いで逮捕。5月下旬には溺死した村山さんが発見された」(前出・記者)
それから約2週間後の6月12日、内田とA子がついに殺人の容疑で逮捕された。内田は村山さんについて「言葉遣いが気に入らない。呼び出して謝罪を求めたが、失礼な態度を取られた」と供述しているという。
残虐極まる犯行。わずか17歳で命を奪われてしまった村山さんは、留萌市から車で1時間ほど北上した羽幌町で、漁師の父とパート勤務の母との間に生まれた。地元の中学ではバスケットボール部に所属。明るい性格だったという。
「ちょっとおバカキャラみたいなところがあって、流行に敏感な子でした。部活もなんとなく続けていた感じで、文化祭や体育祭もそれほど熱心なタイプではなかった」(中学時代の同級生)
村山さんに転機が訪れたのは、中学卒業間近のこと。
「月ちゃんのご両親が別居することになって。月ちゃんはお母さんについて母方の実家がある留萌に転居したんです」(中学時代の同級生の保護者)
村山さんは留萌市内の高校に進学したものの、1年ほどで中退。以降は通信制の高校に通っていた。
「月は留萌の高校に入ってから妙に派手になった。PayPayで6、7万円入金された画面をインスタにあげたり、ブランドもののバッグを買うようになった」(前出・同級生)
村山さんは自宅から遠く離れた旭川市にもたびたび、足を運んでいたという。そして今年4月、2人の“魔神”に出会ってしまった。
事件の主犯である内田は旭川に生まれ育った。自宅の近隣住民が覚えているのは、両親について回る幼い頃の内田の姿だった。
「お父さんは車やバイクの修理などを手広く扱う仕事をしていた。梨瑚ちゃんとお兄さんが保育園児の頃、町内会の会費を親御さんが集めるのについてきてね」
小学校ではバレエスクールにも通い、習い事にも熱心。ところが地元の中学に進学すると、近隣で見せる姿とは対照的な、粗暴な一面を覗かせるようになる。
「内田さんは人をいじめていない期間がなかったんじゃないか、というくらい、いじめばかりしていました。授業中に携帯をいじっていたのをチクられ先生に怒られると、内田さんはチクった犯人を探し出して『おい! チクリ魔!』と罵声を浴びせる。さらにその子がトイレに入ったら外側からドアを思い切り叩いたりしていました。悪名は保護者間でも轟いていたようで、親から『内田梨瑚ちゃんにはあまり関わらないで』と釘を刺されたこともあります」(中学時代の同級生)
クラスでは常に徒党を組んで行動し、気に入らない同級生をいじめ抜く。さらにその同級生を自身の傘下に入れて取り巻きを増やす手法でグループを拡大したという。
一方で村山さんと同様、バスケ部で汗を流してきた内田は、中学の卒業文集で受験についてこう書いた。
〈1学期の通知表を見て衝撃を受けた。部活も終わり解放され、少し遊びすぎた結果だよと口では言えるが心の中では不満やこの先の事で不安になったり〉
〈今までサボってきたぶん、人の何十倍も頑張るんだ〉
こうして内田が進学したのは、旭川の隣町、美(び)瑛(えい)町の公立高校。高校で内田がまず取り組んだのが、バスケ同好会の設立だった。
「高校には部活がなかったので6、7人で同好会を作って先生に顧問までお願いしていました。同好会には梨瑚みたいな経験者や全くの素人もいて。もともと緩い集まりにしようと思ってた人と、経験者で温度差ができたんです。顧問から『真面目にしろ』と言われていたので、それを気にした梨瑚からは、ちょっと髪飾りを付けているだけで『これはいいんですか〜?』と、あげつらうように言われました」(同級生)
結局、同好会は自然消滅。それと時を同じくして内田は非行を加速させていく。
〈共犯・小西被告に懲役23年〉“旭川17歳女子高生殺人”内田梨瑚被告(22)の驚愕わいせつ動画「彼女は“性欲モンスター”」「男も女も関係なしに…」《現物入手》 へ続く
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年6月27日号
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