( 273014 )  2025/03/08 06:16:01  
00

女性活躍推進法が10周年を迎え、女性の社会進出は進んだものの、賃金差や女性管理職の登用停滞が課題となっている。

政府は賃金差開示義務を拡大する法改正案を提出し、改善を促す考え。

女性管理職登用の拡大や働き方の改善、男性の育児参加促進が必要とされている。

また、男女差情報開示義務も拡大され、企業による問題解決や目標設定が求められている。

(要約)

( 273016 )  2025/03/08 06:16:01  
00

女性活躍推進法の制定から今年で10年となる。この間に女性の社会進出は進んだが、男女の賃金差は依然大きく、女性の管理職への登用も停滞している。政府は賃金差の開示を義務付ける対象の企業を拡大する同法改正案を今国会に提出し、改善を促す考えだ。 

 

■職位上がれば減る女性 

 

2023年の厚生労働省調査では、フルタイム労働者について男性の賃金を100とした場合、女性の賃金は74・8にとどまった。男女雇用機会均等法が制定された1985年は59・6だったため長期的には改善されているが、いまなお賃金差は大きい。背景には女性管理職の少なさや、結婚や出産に起因する女性の勤続年数の短さがある。 

 

女性管理職の登用拡大は一朝一夕に実現できない。第2次安倍晋三政権だった12年以降、女性活躍に向けた行動計画の策定を求める女性活躍推進法の制定などで女性の就業者数は400万人程度増加した。ただ、24年版男女共同参画白書によると、23年の民間企業の女性管理職比率は係長級23・5%▽課長級13・2%▽部長級8・3%-と伸び悩み、職位が上がるほど女性の数は減る。 

 

■働き方のケア、男性にも必要 

 

女性を採用するだけでなく、ステップアップさせるためには、切れ目のない育成が不可欠だ。日本総合研究所創発戦略センターの小島明子スペシャリストは「働き方への過剰な配慮が女性の成長を止める」と指摘し、意欲のある女性に難度の高い仕事を与え、管理職にふさわしい能力を身に付けられるよう成長を促す必要があると訴える。 

 

また、女性が結婚や出産を経ても働き続けるためには、柔軟に働ける環境の整備が必要だ。24年に改正された育児・介護休業法で、25年10月からは育児期の労働者がテレワークや時短勤務ができる環境整備が企業に義務付けられるが、女性へのケアだけでは不十分だ。 

 

男性が長時間労働を強いられると、家事や育児の負担が女性に偏り、女性がキャリアをあきらめることになりかねない。近年は男性の育児参加の機運が高まり、23年度に男性の育休取得が30%を超えた。今後は育休のさらなる取得促進だけでなく、男女の多様な働き方の実現が求められる。 

 

■政府、男女差の情報開示義務を拡大 

 

 

政府は22年に女性活躍推進法を改正し、男女別の正規労働者、非正規労働者の賃金差の公表を労働者が301人以上の企業に義務付けた。今国会に提出予定の改正法案は101人以上に改め、対象企業を現行の約1・8万社から約5・1万社に拡大し、女性管理職比率の公表も義務化する。 

 

パーソル総合研究所の砂川和泉研究員は「一部の企業は開示をきっかけに、踏み込んだ要因分析や自主的な目標値の設定、達成に向けたアクションを積極的に実施している。経営陣が危機意識を持って問題に取り組むことが必要だ」と語った。(飛松馨) 

 

 

 
 

IMAGE