( 273606 ) 2025/03/10 05:57:33 0 00 大型クロマグロ。漁業だけでなくレジャーの釣りでも規制が進む=2019年3月、東京都江東区
大人気のレジャー、マグロ釣りに関するルールが今年4月から大幅に強化される。釣って持ち帰るのは1人につき「1日1匹まで」から「毎月1匹まで」に変更。釣って持ち帰る際の報告事項や報告期間、違反者への対応も厳しくなる。(時事通信水産部長 川本大吾)
◆釣りの上限は拡大でも…
太平洋のクロマグロは資源管理への規制強化が奏功し、昨年の国際会議で2025年の漁獲枠の拡大が決定した。これに伴い、釣りの上限も24年度の40トンから、25年度は5割増の60トンに拡大した。
「遊漁」と呼ばれる釣りの管理は、国が設置する広域漁業調整委員会で協議される。同委はこれまでマグロの資源保護のため、30キロ未満の小型魚は採捕禁止とし、30キロ以上の大型魚は1~3カ月ごとに期限を区切って持ち帰りの上限を決めていた。
24年度は、4~5月の2カ月で計5トン、6、7、8月はそれぞれ8トン、9~12月の3カ月は計5トンなどと、過去のマグロ釣りの実績を参考に決定。釣って持ち帰る場合は、マグロの重量や釣った海域などを3日以内に水産庁へ報告することが義務付けられている。
◆1人で数匹釣り上げるケースも
上限が拡大される一方でルールを強化する背景には、禁止期間を短縮して多くの釣り人ができるだけ長い期間、釣りを楽しめるようにする狙いがある。マグロは年間を通じて人気が高く、これまで各期間、1週間ももたずに持ち帰りの上限に達してしまっていた。上限に達すれば持ち帰りだけでなくキャッチ・アンド・リリースもできなくなるため、クロマグロ釣りが全面禁止となる期間が長く、釣り人から不満の声が上がっていた。
釣り人や遊漁船への情報提供などを行う「全日本釣り団体協議会」の幹部によると、「昨年4月に1人で4日間に4匹、(総重量で)1トンを超えるクロマグロを釣り上げた人もいた」といい、特定の釣り人が多くのマグロを釣り上げることを防ぐ必要があったようだ。釣り上げたマグロの販売は禁止されているが、販売目的で釣っているのではないかと疑われたり、実際に「飲食店に売りさばいている」と指摘されたりする釣り人もいるという。
釣り人からは「もっと釣りたい」との反発も予想されるが、全日本釣り団体協議会幹部は「釣りが可能な期間をできるだけ長くするためにやむを得ないルール変更」と話す。
◆報告、違反者への対応も厳しく
1~3カ月ごとに設定されていた上限は、毎月5トンに変更される。キャッチ・アンド・リリースは何度でも可能だが、持ち帰りの総量が上限に達した時点で禁止となる。釣って持ち帰る際の報告期限は、従来の陸揚げ後3日以内から「翌日まで」に短縮される。報告事項は、これまでのマグロ重量、陸揚げ日、釣った海域だけでなく、陸揚げ場所とマグロの長さが分かるような写真、計量方法などが追加された。
違反者への対応も厳しくなる。これまで、1回目の違反者には広域漁業調整委員会の指示(クロマグロの遊漁ルール)に従うよう命令が出され、年度内に2回目の違反が発覚した場合は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることになっていた。4月からは、罰則の対象となる2回目の違反の期間が、「年度内」から「2年度内」に延長される。長くても1年でリセットされた違反が2年間有効になり、水産庁は抑制効果を期待する。
マグロ釣りに上限を決めて報告制を導入したのは2021年。水産庁は「クロマグロについては、漁業だけでなく釣りへの規制強化は不可欠。報告制で実態把握が少しずつ進んでいるが、まだ十分ではない」とみている。同庁は26年度から釣り人や遊漁船とプレジャーボート運航者に対する事前届け出制を導入する方針で、今後もクロマグロ釣りに関する規制は強化される見通しだ。
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