( 273851 ) 2025/03/11 06:03:59 0 00 写真はイメージ=ゲッティ
企業の男女昇進格差について毎日新聞が全国の2083社を分析した結果、女性の管理職への昇進のしやすさは男性と比べて4分の1の水準にとどまることが判明した。女性登用の行動計画策定を企業に義務付ける「女性活躍推進法」の施行から今年で10年。企業の取り組みは進んでいるものの、依然として高い壁があることが浮き彫りになった。
昇進の男女格差は、ある役職への女性の昇進率を男性の昇進率で割ることで出す指標「登用比」を用いて分析した。女性の労働問題などを研究する脇坂明・学習院大名誉教授(労働経済学)が提唱したものだ。
男性の昇進率を「1」とした時の女性の昇進率を示すもので、1を割り込めば男性に比べ女性の登用がされていないことになる。
毎日新聞は、企業での登用比活用を推進する関西学院大専門職大学院の大内章子教授(経営学)の協力で、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に情報を公表する従業員301人以上の2083社を対象に女性の登用比の平均値を算出した。
◇係長より先は狭き門
その結果、女性正社員の管理職(課長相当職以上、役員を含まない)への登用比は0・24にとどまった。また、管理職候補となる係長から管理職への登用比は0・37と一般社員から係長への登用比(0・64)よりも低く、係長から先の昇進が「壁」となっている実態が明らかになった。
産業別の平均では、金融・保険業(160社)の係長登用比は1・08で男性と同等かやや登用されやすいのに対し、一般社員から管理職への登用比は0・22と低い。製造業(558社)では係長(0・51)、管理職(0・2)ともに低水準だった。毎日新聞社の管理職登用比は0・47だった。
2015年に施行された女性活躍推進法で企業の取り組みが義務化され、女性管理職の割合は増加傾向にあるが、2割に届いていない。厚労省は今国会で同法を改正し、従業員101人以上の企業に対して、女性管理職比率の公表を義務付ける方針だ。更に昇進の男女格差を可視化するため、それぞれの昇進率も参考値として示すよう企業に求める。
◇「働き方の見直しが必要」
大内教授は調査結果について「見かけだけでも女性役職者を増やそうと手っ取り早く係長級に昇進させるものの、重要な意思決定に関与する管理職にまでは昇進させていない実情を反映している」と指摘。その上で「企業が本気で管理職への女性登用を進めるには、人材育成や働き方改革を地道に継続するしかない。共働き家庭が増え、夫婦で家事・育児を分担することが当たり前となる中、長時間労働や全国転勤を前提としたキャリア形成を見直すことも必要だ」と語る。【塩田彩】
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登用比の算出には、女性活躍推進企業データベースに登録された5万4759事業者(2月時点)から、①男女賃金格差の情報公表義務のある従業員301人以上の規模②正社員や係長相当職、管理職に占める女性割合を公表③データ更新が24年以降――などの要件を満たす2083社を抽出。「(女性管理職÷男性管理職)÷(女性社員÷男性社員)」によって出した。総合職と一般職を分けて公表している場合は総合職に限定した。
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