( 273891 )  2025/03/11 06:53:31  
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なぜホールに行かず、実機ゲームアプリをプレイするのか?(イメージ) 

 

 年々参加人口が減少しているものの、まだまだ多くのファンを抱えているパチンコ・パチスロ。管轄する警察庁の指導や業界団体による自主規制によって、依存症対策も行われており、過剰に射幸性が高くならないように健全化が図られているが、数万円の軍資金がないとまともな勝負にならない現実もあり、かなりお金がかかる趣味であることは間違いないだろう。そういった状況のなかで、無料、あるいは少額の課金でパチンコ・パチスロの醍醐味を味わえるのが、スマートフォンの実機ゲームアプリだ。 

 

 iPhone向けのApp StoreやAndroid向けのGoogle Playでは、実際にパチンコホールで稼働しているパチンコ・パチスロ機種や過去の人気機種のシミュレーターアプリが多数配信されている。有料のアプリであれば、1機種1000~3000円程度の価格帯で、アプリ内課金があるものも多い。一方、無料版のアプリの場合、単体の機種のアプリもあれば、複数の機種をプレイできるアプリもある。パチンコ・パチスロアプリに詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏が説明する。 

 

「20年ほど前、PlayStation2などでは、パチンコやパチスロのシミュレーターソフトが多数発売されていましたが、それが現在スマホアプリになっている。パチンコのアプリよりパチスロのアプリのほうが種類も多く、人気も高いです。 

 

 有料版のアプリの場合、制限なくプレイできるものもありますが、課金することで一部の機能が解放されるというパターンもあります。無料版のアプリの場合、たとえばBGMや高速オートプレイのためのアイテムが有料になっていたり、広告動画を再生することでプレイするために必要なアイテムを獲得できたりします。また、複数機種をプレイできるアプリでは、定期的にイベントなども開催されており、ソーシャルゲーム的な要素が強いものもあります」 

 

 パチンコ・パチスロユーザーの中には、自身のお財布事情を考慮して、実際のパチンコホールに行くのではなく、スマホアプリを中心に楽しんでいるというケースもあるようだ。都内に住む会社員のAさん(30代男性)はこう話す。 

 

「大学生の頃から主にパチスロを打っていますが、いまは結婚して子どももできて、自由になるお金が減り、なかなかパチンコホールに行けません。大負けするのもイヤなので、最近はスマホの無料アプリでずっとパチスロを打っています」 

 

 Aさんにとってスマホのパチスロアプリは「打ちたい欲」を満たしてくれる存在だ。 

 

「私がプレイしているのは無料のアプリ。一切課金もしていないので、特別な機能はなく、ただただ打ち続けているだけです。アイテムを使って高設定台を打つということもなく、低設定の台を打って大きく負けることもあります。でも、アプリであればお金を使うこともないので、まったく痛くない。以前は時間があると『負けてもいいから打ちたい』と思ってホールに行くこともありましたが、実際にお金をつかうことなく打てるというのはアプリの最大の魅力です。 

 

 最近は毎日仕事から帰る途中の電車のなかでパチスロアプリを立ち上げて、そこから家に着いて寝るまで、ずっと打ち続けています。オートプレイにしてただ眺めているだけでも楽しいし、実際に自分で打っても楽しい。お金をつかうことなく、打ち続けられるのはメリットです」(Aさん) 

 

 

 昨今のパチンコ・パチスロでしっかり勝つためには、それなりの時間や労力が必要だと言われている。 

 

「ジャグラーシリーズのようなノーマルタイプは別ですが、特にパチスロの場合“高確率状態”や“チャンスゾーン”といった類のものがひっきりなしにやってきて、『ここでやめたら損をしてしまう』という心理になり、なかなかやめられない機種も多い。ちょっとした空き時間で打つのが難しい機種も多く、なかなか気軽に打てません。 

 

 また、確実に勝ちを求めるのであれば、高設定台を狙う必要があり、そのためにはホールに関する情報を集めたり、過去の実戦データを検証したりしなければならない。いわゆる“専業”と呼ばれる、パチンコ・パチスロを生業にしているユーザーでない限り、なかなかそういった情報集めに労力を割くのも難しいわけです。つまり、なんとなく打っているだけだと、どうしても負けてばかりになってしまう。そういったことを考えると、金銭的に負けないための時間や労力をかけずに済むスマホアプリは、ライトユーザーにとってはうれしい存在だと言えるでしょう」(藤井氏) 

 

 神奈川県に住む自営業のBさん(40代男性)は、まさにホールでパチスロを打つ十分な時間がないということで、アプリを楽しんでいるという。 

 

「昔のパチスロはちょっと打ちに行ってサクッと出して帰るということもありましたが、いまはしっかり出すために結構時間がかかります。あと、一旦出始めてしまうと、どれくらい時間がかかるかわからない。だから結局その後に予定がないときにしかパチスロを打てないんです。かといって、ノーマルタイプはあまり好きではないので、ほとんど打つこともないですし……。 

 

 そういったなかでスマホのパチスロアプリは、いつでもどこでも、時間がなくても打てるから楽しい。当たっている途中でも、飽きたらそこでやめてしまうこともあります。お金を使っていると妥協ができなくなってしまうので、逆に楽しめない部分もある。好きなパチスロを好きなように楽しむには、アプリがいちばんです」 

 

 

 スマホのパチンコ・パチスロアプリでは、現在ホールでは打てない過去の人気機種を打つこともできる。神奈川県の会社員Cさん(40代男性)は、パチンコホールで現行機種を打ち、アプリで過去の機種を楽しんでいる。 

 

「休みの日は、いまだに朝からホールに行ってパチスロを打っていますよ。で、家に帰ってきたら、アプリで古い機種を打ちまくる。これが楽しくて仕方ない。 

 

 この前、連続して大きく負けていて、さすがに今日はホールに行くべきではないなという休みの日があったんです。そのときは、家にこもってずっとパチスロアプリの『バジリスク~甲賀忍法帖~絆』(2014年導入のパチスロ機種。現在はホールで打つことができない)を打ちまくっていました。楽しかったは楽しかったんですけど、結局10時間くらいずっと打ち続けていて、『時間を無駄に溶かしてしまった……』とさすがに絶望しました。まあ、その分負けずに済んだと思うようにしています」 

 

 パチンコ・パチスロユーザーにとって、ほとんどお金をつかわず楽しめる実機ゲームアプリ。ある意味、依存症対策の一役を担っているのかもしれない。 

 

 

 
 

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