( 274386 ) 2025/03/13 05:39:55 0 00 春闘の集中回答日を迎え、各社の回答状況をボードに記入する金属労協の職員=12日午後、東京都中央区(斉藤佳憲撮影)
2025年春闘は大手企業で高水準の賃上げ回答が相次いでいるが、中小企業への波及が景気の押し上げのカギとなる。ただ、大手の下請けとなる中小では価格転嫁が進まず、労働組合がない企業も多く、賃上げの原資を作りにくい状況だ。中小の経営者からは賃上げの継続が難しく、大手との格差がさらに拡大することを懸念する声も漏れる。
さいたま市内に本社を構える自動車修理関連の中小では今春に一律2万円のベースアップを実施することを決めた。賃上げ率は中小の労組が求める6%以上の高水準だ。この会社では3年前に1万円、2年前に2万円のベアを実施し、昨年は年間の休日数を増やした。
経営者は「これまで業務を効率化し、ベアの原資を作ってきたが、そろそろ限界が見えてきた」と話す。「大手が初任給30万円を打ち出し、中小との格差の広がりを実感している。中小の魅力を伝えるのが難しくなっている」と今後の採用への不安を口にする。
町工場が集積する東京都大田区で、金属加工業を営む経営者は「現状では賃上げは難しい」と苦しい状況を語る。この会社は大手の試作品などを手がけるが、円安の影響で高騰する原材料費や電気代の増加分を販売価格に転嫁できないという。
経営者は「取引先は気持ちの分だけ(販売価格を)上げてくれるが、賃上げができるほどではない」と打ち明ける。
企業経営に詳しい東京商工リサーチ情報本部の原田三寛部長は「当社の調査でも、業績の改善が伴わない賃上げが増えるなど中小の賃上げ疲れが顕著となっている。賃上げができる会社とできない会社の二極化も進んでいる」と指摘する。(黄金崎元)
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