( 274931 ) 2025/03/15 05:54:40 0 00 日本銀行本店
日銀は18~19日の金融政策決定会合で、政策金利の水準を0・5%程度で維持する方向だ。国内物価の上振れに加え、高水準の賃上げが期待できることから、市場の一部には追加利上げの前倒し観測も浮上する。一方、海外経済に目を向けると、トランプ米政権の関税政策を巡り不確実性が高く、日銀はリスクの見極めを優先する構えだ。
国内は物価高が収まる気配がない。1月の消費者物価指数(総合)は前年同月比4・0%上昇。企業間で取引されるモノの価格を示す企業物価指数も2月に4・0%上昇した。コメなど幅広い品目で価格が高騰し、日銀の物価安定目標である2%を超える状況が続く。
また、今春闘は業績が好調な大企業を中心に、昨年同様の大幅な賃上げの実現が相次ぐ。3月12日の集中回答日には、トヨタ自動車や日立製作所が満額回答。三菱ケミカルやスズキは要求水準を超える回答を行った。
中小企業への波及に課題は残るが、賃金と物価がそろって上昇する経済の好循環を目指す日銀にとっては追い風だ。
一方、海外経済は下振れ懸念が強い。トランプ政権は12日、鉄鋼とアルミニウムへの追加関税を発動。適用除外を求めていた日本も対象となった。米国側は日本の主力産業である自動車への追加関税も検討する。
日銀の内田真一副総裁は5日の記者会見で「毎回利上げしていくようなペースではない」と発言。トランプリスクに対する慎重な姿勢をみせた。
市場では、足元の物価や賃金の動向を踏まえ、日銀が早ければ4月30日~5月1日の決定会合で次の利上げを判断する可能性も取り沙汰される。とはいえ、関税政策の経済への負の影響が大きくなれば、景気を冷やす効果のある利上げは難しくなる。
みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは「金融市場の安定や米国経済の状況が揺らげば、物価が上振れていても追加利上げは難しくなる」と指摘。次の利上げは7月30日~31日の決定会合以降になると見込む。(永田岳彦)
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