( 275796 )  2025/03/18 05:43:02  
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BT機がパチスロ業界の希望の光となるか(イメージ) 

 

 近年、出玉性能やゲーム性に関する規制緩和が進んでいるパチスロ。目下、注目の的となっているのは、“ノーマルタイプ”に搭載される「ボーナストリガー」(以下BT)と呼ばれる新機能だ。その全容が明らかになるとともに、6月からホール導入となるBT搭載機のラインナップが発表された。 

 

 一般的にパチスロの「ノーマル機」とは、ボーナスのみで出玉を増やす機種のことを指す。ビッグボーナスとレギュラーボーナスの2種類のボーナスが、それぞれ一定の確率で毎ゲーム抽選されるのが基本だ。通常1~3枚の遊技枚数を選択し遊技をするが、遊技枚数ごとにボーナスの当選確率が決まっており、従来のノーマルタイプでは3枚遊技のボーナス確率がもっとも高くなっている。つまり、1~2枚遊技ではボーナス確率が著しく低いため、通常時は3枚遊技が基本だった。 

 

 一方で、1~2枚遊技におけるボーナス確率が高くなるのが、BTという新機能だ。BTには一部のボーナス終了後に突入し、強制的に1枚遊技、もしくは2枚遊技となり、高確率で再びボーナスを引くことができる。その結果、従来のノーマルタイプよりまとまった出玉を獲得できるのだ。 

 

 パチスロメーカーの業界団体である日電協(日本電動式遊技機工業協同組合)と回胴遊商(回胴式遊技機商業協同組合)が運営するパチスロ情報サイト『パチスロサミットONLINE』では、BTで想定される以下の5種類の出玉機能を紹介している。 

 

・ループタイプ 

ビッグボーナスに通常のボーナスとBTボーナスがあり、BTボーナスを引くと高確率モードへ移行し、一定の継続率でBTボーナスがループする。 

 

・ノーマル+プレミアループタイプ 

基本はノーマルタイプで、低確率のBTボーナスに当選すると、BTボーナスが高継続でループする。 

 

・引き戻しループタイプ 

ボーナスに当選すると必ず高確率状態(BT)に移行。BT突入後は一定の確率でBTがループ。小当りなどの特定役を引くと、通常時に転落する。 

 

・ボーナス2回セットタイプ 

ビッグボーナス当選後、必ずBTへ移行し、すぐさま2回目のビッグボーナスに当選。2回目のビッグボーナス終了で通常時に戻る。2回のビッグボーナスをつなげることで、従来のビッグボーナスよりも多い出玉を実現する。 

 

・ボーナス獲得枚数上乗せタイプ 

BTボーナスに当選すると、高確率モードに突入する。高確率モード滞在中は、高確率が継続する「上乗せボーナス」と通常時に戻る「終了ボーナス」があり、「上乗せボーナス」を引き続けることで、段階的に獲得枚数が増えていく。 

 

 この5つの出玉機能について、パチンコ・パチスロに詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏が説明する。 

 

「イメージとしては、パチンコの“確変”や“RUSH”に近いと思います。50%程度の継続率でビッグボーナスが連続して当選するタイプもあれば、80%くらいの高継続率でボーナスが連続するタイプもある。また、実際には複数のボーナスに当選しているのを1回のボーナスで多くの出玉を獲得しているように見せるタイプもある、という感じです。 

 

 また、押し順ナビで小役を揃えて出玉を増やす『AT機』(アシストタイム機)では、AT当選が期待できる“チャンスゾーン”や“高確率ゾーン”といったものがありますが、BT機の場合、基本的に毎ゲーム一定の確率でボーナスが抽選されるので、そういった“熱いゾーン”というものがないのもパチンコに近いと思います」 

 

 

 BT搭載機第1弾として、『LB1000ちゃんA(アルファ)』(オーイズミ)、『LBプレミアムうまい棒』(オリンピアエステート)、『LB跳べ!ハーレムエース』(ネット)、『LBニューパルサーBT』(山佐ネクスト)の4機種が、6月2日にホール導入となることが発表された。今後も多くのメーカーから、さまざまなBT機が登場する予定だという。 

 

「現在のパチスロはスマートパチスロ(メダルを使わないパチスロ機)のAT機がメインとなっています。スマスロAT機は出玉の波が荒い機種も多く、ハイリスクハイリターンな側面が否めません。 

 

 一方でノーマルタイプは、AT機に比べると少ないお金で遊技しやすく、さらには短い時間で楽しむこともできるというメリットがあります。ただ、従来のノーマルタイプはゲーム性が単調になりがちな傾向もあり、ジャグラーシリーズのような定番を除いて、なかなかヒットしにくかった現実もあったわけです。 

 

 そんななかでBT機の登場によって、ノーマルタイプのゲーム性は格段に豊かになっていくはずです。そこまでお金を使いたくないユーザーや新規ユーザーにとってBT機は、魅力的な選択肢になるでしょう」(藤井氏) 

 

 ノーマルタイプの可能性を広げることとなりそうなBTだが、ユーザーはどういった部分に期待しているのだろうか。パチスロ歴30年弱の会社員・Aさん(40代男性)は「1回のボーナスの出玉が増えることが楽しみ」だという。 

 

「6号機時代になってからのノーマルタイプはジャグラーでもビッグボーナス1回の獲得枚数は250枚程度しかないんです。5号機時代は320枚くらいあったことを考えると、やっぱり物足りない。それがBTでボーナスが連続するようになって、一度に獲得できる枚数が増えるのはうれしいですね。 

 

 私の場合、仕事帰りに夕方から少しだけ打つことも多い。5号機時代は、少ないお金でビッグボーナスを引いたら即ヤメして“勝ち逃げ”ということも多かったんですが、6号機時代になってビッグボーナスの出玉が減ってからは、1回当たっただけでは大して勝てないから、ダラダラ打つことが多くなっています。でも、BT機でそこそこ多い出玉を獲得できるようになれば、また“即ヤメ勝ち逃げ”がしやすくなる。夕方からのスロッターとしては、歓迎すべき状況です」 

 

 パチンコは打つがパチスロはなかなか打たないというユーザーも、BT機に期待している。神奈川県に住む自営業・Bさん(50代女性)はこう話す。 

 

「パチスロを打ってみたい気持ちはあるけれど、出玉の仕組みがイマイチよくわからない。とはいえ勉強しないで打つと、大損をしてしまいそうで怖い。BT機はパチンコと同じような感覚で打てそうだから、興味はありますね。最近のパチンコは、爆発力はあるけどなかなか当たらない機種が多いから敬遠気味だったので、BT機なら楽しく遊べそうかなと期待しています」 

 

 

 BT機の登場でノーマルタイプのゲーム性の幅は広がるが、出玉性能が急激に高まるわけではない。 

 

 メーカーで開発されたパチスロ機は、国家公安委員会の指定試験機関である一般社団法人保安通信協会(保通協)にて、出玉性能や演出に関する型式試験を受け、適合となった機種のみが実際のホールに導入されることとなる。BTという機能が新たに搭載可能となったが、型式試験の基準そのものは変わっていない。 

 

「BTという新機能が搭載できるようになったのは“型式試験の基準が変わったから”ではなく、“一部ルールの解釈が変わったから”というイメージです。出玉性能に関する制限は、従来のノーマルタイプもBT機も同じで、BT機だからといって劇的に出玉性能が高くなるという話ではありません。BTによって一度に獲得できる出玉が増えたなら、その分ボーナス確率が抑えられたり、通常時のベース(メダル50枚における平均ゲーム数)が抑えられたりするわけです。 

 

 ノーマルタイプよりは多少射幸性が高くなっていますが、AT機ほどではない、というのがBT機のコンセプトであり、出玉性能に期待しすぎると肩透かしを食らう可能性もあるでしょう。基本的にはノーマルタイプのようなシンプルなゲーム性を保ちつつ、ちょっとした出玉の波を楽しめるという感じになると思います。 

 

 ただ、これまでのパチスロの傾向として、新機能が登場した結果、そこから派生する形で、どんどんさまざまタイプの機種が登場し、結果的に射幸性が高まっていくというケースも多い。現状では“ノーマル機におまけがついた程度”になりそうなBT機ですが、将来的にはまた違ったものへと変化していくかもしれません」(藤井氏) 

 

 いずれにしろBT機が、パチスロのゲーム性を広げていくことは間違いない。果たして、遊技人口が減り続けているパチスロ業界の希望の光となるか。 

 

 

 
 

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