( 276351 )  2025/03/20 06:05:42  
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 歩行者が道路を安全に横切ることができるように、横断歩道が設けられています。 

  

 信号機が設置されている横断歩道でそれに従って横断しますが、なかには信号機がない横断歩道も存在します。 

  

 そして、信号機がない横断歩道を歩行者が横断しようとしている時、クルマは一時停止をしなければいけないと定められています。 

 

信号がない交差点で歩行者が「お先にどうぞ」 どうなる?[画像:Photo AC] 

 

 その一方で、歩行者がクルマに対して「お先にどうぞ」と道を譲ることがあります。この場合、クルマはそのまま通過してもいいのでしょうか。 

 

 横断歩道におけるクルマの正しい対応は、道路交通法第38条第1項で以下のように決められています。 

 

「車両等は、横断歩道又は自転車横断帯に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない」 

 

 さらに、規定では「この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない」となっています。 

 

 これによると、横断歩道や自転車横断帯が設置されている場所でクルマは徐行することになっており、歩行者などが横断していたり、これから横断しようとしている時は一時停止し、通行を妨げてはいけないということです。 

 

 これは信号機のない横断歩道も同じです。 

 

 もしも違反した場合は、「横断歩行者等妨害等」の交通違反として反則切符を切られ、違反点数2点、普通車で反則金9000円が科される可能性があります。 

 

 歩行者が横断歩道でクルマに「お先にどうぞ」と譲る理由はさまざまあり、「高齢で足が悪く、渡るのに時間がかかるので申し訳ない」「クルマには先に行ってもらってゆっくり渡りたいので」といった声が見られます。 

 

 しかし、横断歩道付近に歩行者がいる場合、クルマは速度を落として横断歩道の手前で一時停止する必要があります。 

 

 そして歩行者側も「横断歩道は歩行者が優先」ということを理解しておくべきでしょう。 

 

 クルマのドライバーとしても、横断歩道付近にいる歩行者が、本当に横断しようとしているのか判断が難しいときがあります。 

 

 たとえば、歩行者が横断歩道で立ち止まったために横断をやめた判断してクルマを進行させた事例では、歩行者が横断する意思を放棄したわけではないとして、横断歩行者等妨害等の違反を認めた判例があります。 

 

 また、歩行者の「お先にどうぞ」という勧めに従って進行したために反則切符を切られたドライバーに対し、警視庁が交通違反を撤回したという事例も存在します。 

 

 歩行者の「お先にどうぞ」を受けて交通違反になるか否かは、歩行者がどのような動きをしていたのか、歩行者がどうしたかったのか、本当に「お先にどうぞ」というジェスチャーをしていたのかなど、ドライブレコーダーの映像の確認や当該歩行者に事情を聴取するなどしなければ判断できない可能性があります。 

 

 いずれにしても、クルマ側が横断歩行者等妨害等に違反にならないように、横断歩道の近くに歩行者がいたら一時停止し、歩行者に「お先にどうぞ」と譲られても、クルマのドライバーは歩行者が先に横断歩道を渡るように促すようにしましょう。 

 

※ ※ ※ 

 

 横断歩道で「お先にどうぞ」と歩行者に譲られて、ドライバーが進行したことで横断歩行者等妨害等の違反になるかどうかはその時の状況によって異なります。 

 

 クルマ・歩行者が互いに気持ちよく横断歩道を通行できるように、ドライバーは横断する歩行者を妨げない、歩行者はクルマに遠慮せずに渡ることを心がけるといいのではないでしょうか。 

 

くるまのニュース編集部 

 

 

 
 

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