( 277381 )  2025/03/24 05:57:02  
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 長引くロシアのウクライナ侵攻や円安で、ガソリン価格の高騰が進んでいます。2025年3月中旬時点で、レギュラーガソリンの全国平均価格は1リッター当たり184円、ハイオクガソリンは195円に達します。 

  

 そうなると燃料の単価を抑えたいですが、レクサス車や輸入車には、ハイオクガソリン(プレミアムガソリン)を指定する車種が多いです。 

 

ハイオク指定のレクサス車にレギュラーガソリン入れちゃダメ!? 

 

 例えばレクサスのSUV「NX」の場合、レギュラーガソリンの指定は、2.5リッターガソリンエンジン車だけです。スポーティ仕様の2リッターターボ車も経済性が重視されるハイブリッド車もハイオクガソリン仕様です。 

 

 上級SUVのレクサス「RX」は、ハイブリッド車を含めて全グレードがハイオクガソリン仕様です。 

 

 レクサス車で全車がレギュラーガソリン仕様になるのは、2リッターハイブリッドを搭載するコンパクトSUV「UX」、1.5リッターハイブリッドの「LBX」程度です。 

 

 また、NXの2.5リッターハイブリッドはハイオクガソリン仕様ですが、トヨタブランドの「アルファード/ヴェルファイア」は、同じ2.5リッターハイブリッドのA25A-FXS型を搭載しながらレギュラーガソリン仕様です。 

 

 両車のエンジン性能を比べると、NXの2.5リッターハイブリッドは、プレミアムガソリンを使って最高出力が190馬力(6000回転)、最大トルクは24.8kg-m(4300~4500回転)。エンジンとモーター駆動の相乗効果による2WDのシステム最高出力は243馬力です。 

 

 アルファード/ヴェルファイアの2.5リッターハイブリッドは、レギュラーガソリンを使って最高出力が190馬力(6000回転)、最大トルクは24.1kg-m(4300~4500回転)、システム最高出力は250馬力です。 

 

 エンジン性能はハイオクガソリン仕様のレクサスNXが上まわりますが、モーターの駆動力やバッテリー出力などの違いにより、総合的なシステム最高出力はアルファード/ヴェルファイアが若干勝っています。 

 

 オクタン価の高いハイオクガソリンは、ノッキング(自然着火)が発生しにくく、例えばアクセルペダルを素早く踏み増した時なども動力性能の立ち上がりが滑らかです。高回転域の吹き上がりも活発に感じます。 

 

 このような運転感覚の違いに基づいて、プレミアムブランドのレクサスには、ハイオクガソリン仕様が多いです。 

 

 ただし前述のように、レギュラーガソリンとハイオクガソリン仕様で性能に大きな差はありません。主に感覚的な違いです。 

 

 そのために1リッター当たり200円近いハイオクガソリンを給油するのは、もったいないと感じるユーザーもいるかもしれません。 

 

 では、ハイオクガソリン仕様車にレギュラーガソリンを給油して大丈夫なのでしょうか。 

 

 この点を国産メーカーの開発者に尋ねると以下のように返答されました。 

 

「今のクルマは昔と違って綿密な燃焼制御が行われるため、ハイオクガソリン仕様車にレギュラーガソリンを給油しても不具合は生じません。 

 

 ただしあくまでもエンジンを壊さないための制御ですから、本来の動力性能、加速フィーリング、燃費などは発揮できません。軽いノッキングが生じる場合もあります。 

 

 もしレギュラーガソリンを給油する使い方をするなら、車種を決める段階で、ハイオクガソリン仕様は避けた方が良いです」 

 

 

 別の開発者は「エンジン排気量にして1リッター当たりの最高出力が100馬力を超える高性能なターボエンジン車では、レギュラーガソリンの給油は避けた方が無難です。ノッキングに加えてエンジンの始動性が悪くなる心配もあり、長期間にわたってレギュラーガソリンを給油する使い方は推奨しません」と述べています。 

 

 以上のようにハイオクガソリン仕様車の場合、一時的にレギュラーガソリンを給油するのは仕方ないとしても、長期化するのは避けた方が良いようです。 

 

ハイオク指定車にレギュラー給油はNG!? 

 

 また日産「GT-R」の取扱説明書には「オクタン価96以下の(レギュラー)ガソリンなどを使用すると、エンジンを破損するおそれがあります」と明記されています。 

 

 このほか輸入車は、フォルクスワーゲン「ポロ」などの経済性が重視されるコンパクトカーでもハイオクガソリン仕様です。今日のようにガソリン価格が高騰すると、輸入車を選びにくくなります。 

 

 今後もガソリン価格が高騰する状況が続くと、少なくとも日本車では、ハイオクガソリン仕様とレギュラーガソリン仕様を選択できると良心的です。 

 

 特にハイブリッドは、ユーザーが燃料代の節約を目的に購入することもあります。 

 

 レクサスもトヨタブランドのように、レギュラーガソリン仕様にした方が喜ばれるでしょう。 

 

 メーカーは各車種の使用燃料について、クルマの性格とガソリン価格の変化に応じた柔軟な対応をすべきです。 

 

渡辺陽一郎 

 

 

 
 

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