( 278516 ) 2025/03/28 07:31:40 0 00 トランプ米大統領
【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権が関税措置を相次いで打ち出し、保護主義的な傾向に歯止めがかからない。26日発表した輸入車と部品への高関税は、国際貿易への大きな影響が見込まれて第1次政権(2017~21年)では発動を控えた経緯がある。雇用や産業の国内回帰を目指すとして、経済的威圧を振りかざす米国の孤立化が避けられない。
■奪われた富を関税で「取り戻す」
「これは米国の『解放の日』の始まりだ」
トランプ米大統領は26日、自動車と部品の輸入品に25%の関税をかける布告の署名式で、そう力を込めた。
トランプ氏は、貿易相手が課す水準まで関税を上げる相互関税も、4月2日に発表する意向だ。貿易を通じて他国に奪われた富を、米国が関税収入の形で「取り戻す日」と位置づけ、同日を「解放の日」と呼んでいる。
今回の輸入車への関税措置は、トランプ氏の第1次政権でも検討し、調査を実施。2019年、輸入車の流入が「米国の安全保障を損なう」と認定した経緯がある。
■輸入車の平均価格150万円上昇も
ただ、導入すれば輸入価格に関税分が上乗せされ、車体の値上がりが見込まれる。米メディアによると、平均価格が数千ドルから1万ドル(約150万円)以上、上昇すると複数の調査機関が予想している。
自動車を日常の足として使う米国の消費者の強い反発が見込まれる。さらに価格上昇によって販売が下押しされ、メーカーの業績に打撃を及ぼす懸念がある。車は膨大な数の部品を使うため、世界的に広がる供給網(サプライチェーン)の混乱を招く恐れも根強い。
こうしたことから第1次政権は、関税で脅し、貿易相手に市場開放を迫る交渉カードとして使うことにとどめ、実際の発動は控えた。だがトランプ氏は26日、自動車への関税が「恒久的になる」と強調し、発動を断行する構えをみせている。
■「中国と同じような行動」と批判も
第1次政権より踏み込んだのは、関税で国内市場を囲い込むことで、完成車だけでなく部品の供給網まで米国内に引き込もうとする狙いがある。米政権幹部は報道陣に対し、米国が「完成車を組み立てるだけ」の場所になり下がったと嘆き、部品の生産拠点の米国移転を促すような仕組みの導入に意欲を示した。
次々と関税措置を繰り出す米政権への懸念は強まり、通商問題の専門家から「貿易ルールを無視して小国をいじめる中国と同じような行動を、米国がすると世界に示している」(米戦略国際問題研究所のラインシュ上席顧問)との批判も聞かれる。
|
![]() |