( 278991 ) 2025/03/30 06:48:20 0 00 昨年「月2万円」のベースアップで「年収520万円」に!→でも税金の天引きが“月5000円”も増えてビックリ! ベアって意味ないんでしょうか? 引かれる税金のしくみを解説
今年も春闘の時期となりました。物価上昇に伴い、国も賃上げを強くすすめている昨今です。企業によっては数万円単位でのベースアップが実施されているところもあるようです。単純に「うらやましい」と思うところですが、年収が上がれば当然についてくる問題といえば税金ですね。
本記事では、年収500万円のベア2万円に対する税金を計算します。
ベースアップとは、それぞれの会社が規定している賃金表の改定により、賃金水準を引き上げることをいい、略して「ベア」と呼ばれることもあります。賃金表に記載されている金額を上げるということは、該当する社員の給与が一律に底上げされるということになるので、ベースがアップするという意味で付けられています。
それではベア2万円に対して税金がいくら増えるのかを計算してみましょう。ベアは1月に行われ、年収が24万円増えたと仮定します。
【所得税】 24万円×10%(※)=2万4000円 ※所得税率は年収に応じて上がる累進課税となっています。10%は課税所得が195万円から329万9000円までの人に適用され、年収500万円~600万円の人はこの税率に該当する場合が多いです。
【住民税】 24万円×10%(※)=2万4000円 ※住民税率は年収にかかわらず一律10%です。
ベア24万円に対して、税金は年間で4万8000円増えていることが分かりました。月々の給与天引き額を単純に12ヶ月で割ると4000円となります。
ただ、確定額が天引きされる住民税とは違い、源泉所得税はその年の概算となるので、もう少し多い可能性はありますが、それでも5000円程度でしょう。2万円のベースアップに対し、税引き後の手取りは1万5000円程のようです。
ベアは勤めている会社や職種によっては、あまり関係がないと思っている人もいるかもしれません。現在のベアの実態について知っておきましょう。図表1は、厚生労働省が発表している「ベアを行った・行う企業割合の推移」を表したグラフです。
図表1
図表1
厚生労働省 令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
令和3年(2021年)まではベアを行う企業は20%前後を推移していますが、コロナが落ち着き、物価上昇が始まった令和4年(2022年)頃から上昇を始め、令和6年(2024年)には一般職52.1%、管理職47.0%に対してベアが行われるようになっています。
また、ベアが行われるのは企業規模に比例している部分が大きく、従業員数5000人以上の会社では一般職で78.5%、管理職で68.3%となっていますが、100人以上300人未満の会社では47.2%と44.0%にとどまっています。労働組合の有無でも差は顕著で、労働組合ありの場合での一般職のベアは71.0%ですが、労働組合なしでは44.8%となっています。
年収500万円の人が月2万円のベースアップをした場合、増える税金は年間4万8000円です。月々の給与から天引きされる税金は、源泉所得税が概算である点を考慮すると、住民税と合わせて5000円ほどでしょうか。
ベースアップが行われている企業の割合を見ると、最新の2024年で一般職52.1%、管理職47.0%となっています。約半数の人にベアは行われていないということでもあるので、税金が増えたとしても、まずは「月2万円ものベースアップがあった」ということに目を向けたほうがよいかもしれません。
出典 厚生労働省 令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査_概況 国税庁 No.2260 所得税の税率 東京都主税局 個人住民税 厚生労働省 令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
執筆者:佐々木咲 2級FP技能士
ファイナンシャルフィールド編集部
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