( 279486 ) 2025/04/01 06:28:51 0 00 「新基準原付」は、2025年11月から始まる排出ガス規制で新車供給ができなくなる50ccクラスの対応として、排気量125ccエンジンの最高出力を4kW以下に抑えることで、50cc同等の原付クラスとみなす、という改正でした。車両基準を定めた道路運送車両法と運転方法を定めた道路交通法で改正を終えていました。
ホンダは2025年開催の大阪と東京のモーターサイクルショーで、新基準原付のコンセプトモデル「スーパーカブ110ライト」を発表した
残された税法では、軽自動車税が排気量区分を中心に設定され、最高出力に対応していないため、国会での審議が必要になっていました。バイクの軽自動車税は車両区分とは対応せず、独自の区分(種別割)になっています。
新基準原付の排気量は125cc以下と定められているので、現状では種別割の区分に応じた課税が必要で、原付の基準を改定したことに対応して税額を変えることはできませんでした。
しかし、国会での税制改正を経て、排気量125cc以下の新基準原付バイクへの課税が50cc同様の2000円と定められました。これは種別割の「物差し」が排気量だけでなく、最高出力という「新しい物差し」が加わり、原付=50ccではなくなったことを示しています。今後は次のようになります。
・排気量91cc~125cc=2400円 ・排気量51cc~90cc=2000円 ・排気量50cc以下、排気量51cc~125ccかつ最高出力4kW以下=2000円
2025年度からは、税制区分にも最高出力という新しい物差しが加わり、原付バイクは125cc以下が定着しそうです。
排気量が大きくなっても(50ccクラスの)原付バイクなので、ナンバーはこれまでの50ccクラスと同じ仕様です。白地ナンバーで、上段が市区町村名、下段がひらがななど数字4桁が基本の区別番号で表記されます。
2025年11月からは排気量50ccのエンジンを搭載したバイクが事実上販売できなくなるため、税法上の種別割(区分)でも、原付バイクは排気量125ccまでを上限とすることが定まりました(※前述の通り、最高出力を4kW以下に抑えたエンジンに限ります)。
4月1日からは免許制度上も、排気量125ccまでの新基準原付を原付免許で運転できるようになります。こちらは道路交通法の法改正を必要としなかったため、すでに内閣府令の改正を終えて、4月1日施行が決まっていました。
ただし、改正の内容は、原付免許で運転できるバイクを125cc以下の「新基準原付」としただけなので、原付の運転方法に義務付けられていた「二段階右折」や「道路の左端を走る」など原付バイクに求められる運転ルールは変わりません。
法定最高速度30km/hも維持されます。最高出力4kWの規制は、初速を落とさず最高速度を抑制するための規制でもあります。車両の規制について定める道路運送車両法では、簡単に出力制限が解除されないことが定められています。
20世紀のバイクは比較的簡単な改造が可能でしたが、21世紀の新基準原付は改造による走行性能アップはできない仕組みで市場に投入される見込みです。また、原付免許しか所持しない運転者が規制値を上回るバイクを運転した場合、無免許運転に問われます。
改正の実現に必要な3つのハードルが成立したことで、新基準原付の必要な購入経費も明らかになり、新年度からはいつでも新基準原付のニューモデルが投入できる体制が整いました。
ホンダは大阪と東京で開催されたモーターサイクルショーで、新基準原付に適合する「スーパーカブ110ライト・コンセプト」を初公開しました。出力制限付きであることを示す打刻などの表示がなく、まずは50ccの「スーパーカブ」と車格がほとんど変わらない新基準原付投入を表明、詳細はこれからです。
国内の原付バイク供給体制についてホンダは、受注済み分の50ccエンジンバイクの生産を2025年10月まで続ける予定です。
ヤマハはホンダと50cc原付スクーターのOEM供給業務提携を結んでいますが、新基準原付については独自のモデルを投入する予定です。ただ、スズキと同様に、新基準原付モデルの発売について、現時点での具体的な情報は発信されていません。
原付バイクは、新生活が始まる春が購入のピークとされていました。需要は天候の影響を受けやすいことから、新基準原付のニューモデルの公開は秋口から、本格商戦は50ccバイクの生産が不可能になる11月過ぎの2026年モデルとしての投入が有力と言われています。
中島みなみ
|
![]() |