( 279891 )  2025/04/03 04:24:10  
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FNNプライムオンライン 

 

食糧不足に備える「食料供給困難事態対策法」が1日、施行された。食料不足の予兆があれば政府が農家などに生産や輸入量の増加を要請できるというもの。しかし専門家は有事のみを想定した法律より、普段からの支援こそ必要だと指摘する。 

 

4月から、さまざまな新生活が始まる。そして、1日から聞き慣れないある法律も施行され、波紋が広がっている。 

 

1日のテーマは「緊急事態に政府が農家に要請?ソレってどうなの」だ。 

 

1日から施行されたのは、「食料供給困難事態対策法」だ。難しい名前の法律だが、街の皆さんに聞いた事があるか聞いてみた。 

 

街の人: 

いいえ、知りません。もう一度法律の名前言って下さる?子ども食堂とか? 

 

街の人: 

全然知らない。「米不足だから、国から対策取りますよ」みたいな? 

 

この「食料供給困難事態対策法」は、コメ、小麦、畜産物など、私たちの生活に必要な食料が不足する事態に備えるための法律だ。いざという時に安心なのではないかとの印象もあるが… 

 

ところがSNSでは、「食料配給制につながる法律が施行された」「戦争やパンデミックなど、食料の供給が困難な時は配給制に出来るものです」など、「食料が配給制になるのではないか」という不安の声が上がっている。 

 

農水省に確認すると、次のような答えが返ってきた。 

 

農水省: 

不安に思っている人もいるかもしれないが、この法律は配給制になるというものではないので、正確な情報をHPなどで確認して頂きたいです。 

 

改めて「食料供給困難事態対策法」の中身を確認してみた。 

 

異常気象や紛争などの影響で食料が大幅に不足する予兆があった場合、政府は対策本部を設置する。関連する事業者に在庫を確認し、必要に応じて生産や輸入を増やすよう要請することが出来る。 

 

更に、実際に大幅な食糧不足が起きた場合、生産や出荷などに関する計画の提出や変更が指示できる他、計画を提出しない事業者には20万円以下の罰金を科すとしている。 

 

農水省は、この法律で食料品の急激な値上がりにも対応できるとしているが、街の人からはこんな声も上がっている。 

 

40代: 

国は現場の声が分かっていないのに都合のいい事を言って、現場は混乱して大変だと思う。 

 

50代: 

米を作る人が減ってきて大変だと思う。生産者たちに対しての補償にも、目を向けてあげた方が良い。 

 

農業の専門家からも不安の声が聞かれた。 

 

宇都宮大学農学部・松平尚也助教: 

農家にとっては、今の農業、農家の担い手を見ずに、有事の時だけ対策の為の法案を作るのは、本末転倒じゃないか。有事の時だけの対策が成立しても、中身や現状が伴わないと、本当の有事の時大変になる。有事でもないのに備蓄米を使ってしまっている状況。国内の供給と効果的な備蓄を、対策の中でしっかり再検討していく必要がある。 

 

 

イット!のスタジオでは… 

 

青井実キャスター: 

山口さん、メリットもデメリットもありそうですけれども、いかがですか? 

 

SPキャスター山口真由さん: 

例えばお米については、今まで数十年、減反とか生産調整をやっといて、いきなり有事だから増産しろって言っても農家の方の理解は得にくいかもしれないですね。 

 

青井キャスター: 

実態に伴った事が必要だということで、そのあたりしっかりして頂きたいですね。 

 

農水省の政策評価第三者委員会の委員でフジテレビの智田解説副委員長は、法律の狙いについてこう話す。 

 

智田裕一解説副委員長: 

これは「もしものときの『食料の保険』」です。急激な値上がりを防ぎ、必要な食料が私達に確実に届くようにして、食卓を守る「セーフティネット」の仕組みを作っておくもの。生産を増やしてもらうのも要請なので、強制ではないが、罰金が設定されている以上、実際には政府に従わざるを得ないのでは、との懸念も一部で出ている。丁寧な説明と実態に即した、きめ細かな運用が重要になってきます。 

 

食糧が不足しないことが一番だが、引き続き農家や消費者が納得するような丁寧な説明が必要だ。 

(「イット!」4月1日放送より) 

 

イット! 

 

 

 
 

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