( 280066 ) 2025/04/03 07:43:45 0 00 海外で活躍する日本人アスリートが増え、そのニュースを耳にする機会も多くなりました。では、フランスで有名な日本人といえば……? フランスに暮らす筆者がリアルな意見をお届けします。
大谷翔平、久保建英、錦織圭……と、近年ではアメリカを中心に、世界へ進出した日本人が目覚ましい活躍を遂げています。特に大リーグで3度のMVPを獲得した大谷翔平は、日本国内はもちろんのこと、海外でも広く知られる存在となりました。
しかしながら筆者が暮らすフランスでは、大谷翔平のことを知る人は多くありません。アメリカの野球界ではスター的な存在であるにもかかわらず、フランスのメディアはほとんど取り上げないのです。どうやら、フランスで知られる日本の有名アスリートには、フランスならではのお国柄事情が反映されているようです。
フランスに渡った筆者は、フランスの人々が親しんでいるスポーツに野球が含まれていないことにすぐ気付きました。日本やアメリカでは日常的に親しまれている野球も、こちらのスポーツ用品店ではグローブすら見かけることがありません。野球を話題に上げるフランス人はほとんどいないのが現状です。
というのも、フランスは「サッカー」の国。プロリーグが存在し、ジネディーヌ・ジダンやキリアン・エムバペといったスター選手を何人も輩出してきました。子どもの習い事でもサッカーが圧倒的に人気で、公園や広場ではボールを蹴る子どもたちの姿を毎日のように見かけます。
つまりフランス人にとっての野球は「アメリカのスポーツ」。野球のルールやフォーメーションも分かりづらいという理由で、フランスでは「マイナースポーツ」の扱いになっています。むしろ、バスケットボールやアメリカンフットボールに興味を示す人の方が多いかもしれません。
野球の試合や結果、そしてドキュメンタリー番組も全くといっていいほど報じられません。メジャーリーグのスーパースターである大谷翔平の活躍を、フランスの人々が知らない理由も納得できます。
サッカー以外では、ラグビーの人気が非常に高く、フランス自体も強豪国の1つとされています。2024年11月に行われたフランス対ニュージーランドの親善試合では、8万人収容のスタジアム「スタッド・ド・フランス」が満員になるほどの盛り上がりを見せました。
また、日本の「柔道」も人気の高いスポーツです。これは、五輪に5大会連続で出場し、金メダルを3個獲得したテディ・リネール選手の功績によるもの。柔道はフランスでも「JUDO」として親しまれており、礼節を学べることで、子どもの習い事として親たちから高い人気を誇っています。サッカー、ラグビー、柔道の競技人口には及ばないかもしれませんが、フランスでは「ボルダリング」も人気急上昇中のスポーツです。特に都市部の若い世代に広まっていて、最近ではボルダリング設備を備えたスポーツジムもたくさん増えました。
さらには「ツール・ド・フランス」でおなじみの自転車、テニス、スキーといったスポーツも人気。意外なジャンルでは、格闘技やキックボクシングを楽しむ人も増えてきた印象があります。
フランスで広く知られている日本人アスリートと言えば、プロテニス選手の大坂なおみでしょう。彼女は試合での活躍はもちろん、企業のアンバサダーや広告などでも頻繁に登場しており、フランス国内でも知名度が高いです。また、大坂なおみの国際的な背景もフランス人にとって親しみやすい要素の1つになっています。
さらに、プロサッカー選手の本田圭佑、久保建英、プロボクサーの井上尚弥も知っている人が多いイメージです。加えてボルダリングの選手なら楢崎智亜、柔道の選手なら野村忠宏といったように、スポーツの種類によって認知度に違いが出るのもフランスの特徴でしょう。
外国人アスリートの知名度は、国内におけるスポーツの人気度やメディア露出の多さによって変わります。フランスでも同じで、自国で人気の高いスポーツに関連する選手が特に有名になりやすい印象を受けました。
もちろん、フランスで誰もが知っている日本人と言えば『ドラゴンボール』の作者である鳥山明や、ジブリ映画監督の宮崎駿の名前が挙がります。その理由は、彼らの作品がフランスで社会現象になるほど大々的に報じられたからです。
大谷翔平を知らないフランスには驚きですが、そもそもは野球がフランスで報道されないという前提があるからかもしれません。逆もまたしかりで、フランスで誰もが知っている名前を挙げたとき、日本人が「誰?」と反応することもあるかもしれませんね。
この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
大内 聖子
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