( 280991 ) 2025/04/07 05:05:44 0 00 2024春にYoutubeチャンネル登録者数10万人を超えたTarou
今年2月、X(旧Twitter)で〈小学校卒業後、中学校には通わないことを決めました〉と宣言して注目を集めた、現在12歳のYouTuber・Tarou。小学校2年生の頃からオンラインマルチプレイヤーゲーム「フォートナイト」(編注:複数プレイヤーが一つのフィールドで銃などの武器を手に入れ、最後の一人まで戦うシューティングゲーム)の実況など、主にゲーム実況動画を配信し、YouTube「たろうチャンネル」の登録者数は19万人を超える。
同級生たちはこの4月から中学校に通うが、Tarouはなぜ「中学校に通わない」のか。その決断は、“三人四脚”でYouTubeを運営してきた親子3人で下したものだった。Tarouと両親がインタビューに応じた。【全3回の第1回】
──まず、Tarouさんはどのようなきっかけでゲームにハマったのでしょうか。
父:Tarouがゲームに初めて触れたのは、3歳の頃でした。親のスマートフォンを勝手に操作し、自分で横スクロールのゲームをダウンロードして遊んでいたのです。そのプレイが尋常でなく上手かったことに驚いて、試しに古いスマホを与えてみたところ、新しいゲームにどんどん挑戦していくようになりました。
気づいたら、300個くらいゲームをダウンロードしていて。しかも、そのすべてを完璧に操作しているんですよ。「これ全部できるの!?」って、その才能に驚きました。
Tarou:ただ楽しく、時間も忘れちゃうくらい、ずっとやってました。
──「フォートナイト」を始めたのは、いつ頃だったのですか?
母:Tarouと「フォートナイト」の出会いは、5歳の時。スマホではなくゲーム機で初めて遊んだのが、Nintendo Switch版の「フォートナイト」でした。父子で一緒にプレイし始めたのですが、Tarouは始めた時から父親より圧倒的に上手かった。
──「たろうチャンネル」のプロフィール欄には〈7歳小1でアリーナソロチャンピオンリーグ20キルビクロイ〉〈10歳C4S3でアンリアルアジア1位(世界23位)〉といった戦績も書かれていますね。
父:小2の頃には、プロ選手との1対1の対戦で勝てるようになってきた。その頃、「フォートナイト」プロチームに所属していた選手から、「YouTubeにプレイ動画をアップしたほうがいい」と強く勧められたんです。「小2でこんなにうまい子はそういないよ」と。それで、チャンネル開設に至りました。
——小2の子供がYouTubeで配信することに、不安はなかったですか?
父:これは「フォートナイト」というゲーム特有の事情でもあるんですが、基本的に“チーム戦”で戦うゲームなんですよね。将来的に大会に出たいとなった時、すでに実績や知名度があるほうが強い選手とチームを組めたり、応援してくれるファンも多かったりするから、知名度自体が“戦闘力”にかなり影響するんです。
Tarouはこの時点で、「フォートナイトの世界大会に出たい」という目標を明確に言っていたので、この年でこれだけ上手かったら注目度もされるかもしれないし、それなら小さいうちからYouTubeをやってみたほうがいいだろうと。私からTarouに声をかけて、YouTubeを始めました。
——一方今年2月、〈小学校卒業後、中学校には通わないことを決めました。Fortniteの競技・YouTubeの両方を本気でやりながら充分な睡眠・運動・学習の時間を確保できる生活にするために、一年かけて親子と学校で話し合った結果です〉とXでポストした際には、ネット上でさまざまな反響を呼びました。改めて、なぜこのような決断を下したのでしょうか。
Tarou:大会上位の選手たちは自分より強い人ばっかりで、その人たちは今でも毎日練習してさらに強くなり続けている。今からその人たちに追いついたり、追い越したりすることを考えたら、一日10時間くらい練習しないと、追いつかないんです。
父:スポーツであれば休憩して、ご飯を食べて、練習時間は科学的に5時間くらいが最適だと言われていますが、ゲームの場合は13〜14時間だって練習できちゃうんですよね。練習するためのグラウンドが使えない、みたいな制約もないので、延々と練習している人もいます。
「フォートナイト」は3億人規模のプレイヤーがいるゲームで、そういう人たちが少なくない中での戦いになります。Tarouの目標は世界大会出場ですが、今その枠を争っているプレイヤーって、本当にトップだとアジアのサーバーで20〜30人いる。その人たちは本当に5〜6年間、毎日10〜12時間を「フォートナイト」に費やしてきているんです。
そう考えると、学校にしっかり通う毎日だと、帰ってくるだけでクタクタだし、集中した練習時間を取れない。そこで今の彼の目標と照らしたときにどちらが大事か考えて、中学校に行かないという判断をした、ということですね。
──それはTarouさんの判断でしょうか? それともご両親?
Tarou:うーん、でも、どっちもですね。
父親:「フォートナイト」でトップにいくための情報収集と分析は親がやっていますけど、その結果をこちらがサジェストして、親子で話し合って、本人が納得いく答えを出す……というのが今回の判断をふくめたいつものパターンですね。
アジアで1000位くらいのレベルでも、「通学や部活など、同級生とおなじような学校生活を送っていると到達できない」というのは明らか。アジアで1000位と言ったら、小さい頃から近所では一番上手いくらいの立ち位置のプレイヤーだと思うんですけど、それでも世界大会には全然届かないんです。
──YouTubeチャンネルでは「1キルする度に高級寿司食べてみた」など、“YouTuberっぽい企画動画”も公開されていますが、こういう企画は誰が考えているんですか?
父:私が数字の伸びやすさなどをリサーチして、考えています。「フォートナイト」で勝つためには知名度や応援してくれる人の数も重要な要素ですから、YouTubeチャンネルの規模を大きくしていくために、多くの人が楽しんで見てくれるよういろんなチャレンジをしています。
──Tarouさんとしては、YouTubeの数字も気にしていますか?
Tarou:「こんなコメントが来たな」とかは見たりします。「どれくらいの人が視聴したのかな」も見るけど、その数字が伸びても伸びなくても、正直ほとんど気にならないです。「伸びなかったんだなー」とかってだけしか。
母:そこに興味はないんだろうね。
Tarou:YouTubeは楽しい企画は楽しいし、楽しいことに繋がるから、やりたい。
母:YouTubeをやっていると、面白い人や楽しい人に声をかけられたり会えたりするし、普通なら行かないところに出かけていく機会もある。そこが楽しいみたいです。
父:そういう出会いも、Tarouにとってはとてもいい経験になってると思います。
──Tarouさんは「フォートナイト」に適性があると思う?
父:下の2人の子供と比べても、好きなことに対する集中力と持続力がずば抜けているんですよね。プロゲーマーの人でも、モチベーションの維持や練習時間の確保にかなり神経を費やすらしいんです。
そこのところ、Tarouは苦もなく10時間でも20時間でも集中してやりこんでしまう。これは才能だと思います。そうやって熱中してやれている今こそ、上達するチャンスだと思うんですよね。
すごいなと思ったのは、小2の時に28時間ぶっ続けでプレイしてた時ですね。朝10時から始めて、僕が寝る前にもやってて、朝起きたらまだやってるから、「この子すごいな」と。コロナ禍で学校もないので、たまにはいいかと思って止めなかったら、そのまま昼の14時までやっていました。トイレに行くのも忘れて、ちょっと漏らしちゃったんですよ。
Tarou:ほんとにちょっとだけだから……。
母:出張から帰宅したらそんなことになっていて、衝撃でした。私は洗濯っていう実際の手間があるから、結構キツめに注意したんですけどね(笑)。まあ、怒ってもしょうがないというか、それくらい集中してできるのはすごいなと思います。
父親:「フォートナイト」って一時期、日本中の子どもが朝から晩までやっていたんです。コロナ禍が明けて子どものプレイヤーは減ったけど、Tarouはずっと続けていた。Tarouの、一つのことに集中してコミットする能力については、見ていて圧倒されるものがありました。
親子の「中学校通わない」宣言に対しては、「勉強はどうするのか」「子供の将来をどう考えているのか」などの疑問・批判が多く寄せられた。そこについてはどう考えるのか——第2回記事では、元東大生の父親が抱く「勉強」に関する考え方や、親子で見据える将来設計について詳報している。
(第2回に続く)
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