( 281461 )  2025/04/09 04:52:51  
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The New York Stock Exchange (NYSE) in New York, US, on Monday, April 7, 2025. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg 

 

(ブルームバーグ): トランプ米大統領は近いうちに経済だけでなく金融市場の根幹すら壊しかねないとの懸念がウォール街で広がっている。 

 

アジアと欧州の株式市場が3営業日連続で下落した後、米S&P500種株価指数は7日、わずか0.2%安にとどまり、2020年の新型コロナウイルス禍以降で最大の下げ局面にひとまず歯止めがかかった。 

 

ただ、水面下では不安が続いている。市場全体で異常な値動きが観測され、株式や債券の指標は大きく変動。リセッション(景気後退)懸念と金融市場の混乱を背景にトランプ氏が方針を転換するとの期待が交錯している。 

 

ニューヨーク時間午前10時前には株価が切り返し、数分のうちに安値から8%余り上昇。トランプ氏が関税を延期するとのうわさがウォール街に駆け巡ったためだが、うわさが誤りだと判明するや否や、株価は下げに転じた。 

 

一方、国債市場では不可解な値動きが続き、利回りは終日上昇。米10年債利回りは約20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し4.19%を付けた。 

 

入札における海外投資家の買い控え懸念、貿易停滞による政府債務急増への警戒感、投資家が資金需要を満たすために流動性の高い資産を積極的に売却する「キャッシュへの駆け込み(dash-for-cash)」の兆候などさまざまな説が飛び交った。 

 

こうした中、投資家らは短期金融市場に異変が起きていないか神経をとがらせており、大手銀行やディーラーがダメージを受けるリスクも意識されている。 

 

マクロ・インテリジェンス2パートナーズの共同創業者ジュリアン・ブリグデン氏は「この市場で取引するのは非常に難しい。ストレスが大きく、非常に厄介だ」と指摘。「今や世界が変わってしまったという考えを人々はまだ受け入れられていない」と警鐘を鳴らした。 

 

世界の株式市場では過去3営業日で約10兆ドル(約1475兆円)の時価総額が消失。市場では世界金融システムに対する差し迫ったリスクは小さいとみられているものの、世界全体の経済見通しが急速に悪化するにつれ、社債発行の見送りやデフォルト(債務不履行)リスクを示す指標の急上昇など市場にかかるストレスの兆候は積み上がっている。 

 

 

トランプ氏は7日、数十カ国に対する広範囲な上乗せ税率の適用計画を一時停止することは考えていないが、交渉には応じる余地があると示唆した。 

 

コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの北米マルチアセットソリューション責任者、ジョシュア・クティン氏は、投資家はトランプ氏から何らかの前向きなシグナルが出ることを期待していると言及。 

 

「これは、市場が関税に関するニュースをいかにうまく消化できていないかを反映しているだけではない。解決への道筋を見つけるのが難しい限り、うわさやコメントによって、ボラティリティーが高く、大きく変動し続ける可能性が高いだろう」と述べた。 

 

原題:‘The World Is Different Now’: Market Convulsions Hit Wall Street(抜粋) 

 

--取材協力:Tan Hwee Ann、Derek Wallbank、Julien Ponthus、Abhishek Vishnoi、Ruth Carson、Levin Stamm、Beth Mellor、Phil Kuntz、Lynn Thomasson、Sagarika Jaisinghani、Ram Anand. 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Isabelle Lee, Denitsa Tsekova, Ye Xie 

 

 

 
 

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