( 281489 )  2025/04/09 05:25:56  
00

埼玉県内の米価が高騰し、コメの品薄が続いている。

スーパーマルフクではコシヒカリの価格が昨年の倍以上に上がり、秋田県産「あきたこまち」しか販売していないこともあり、消費者や小売業者が不満を抱えている。

価格高騰の影響で家庭や飲食店でもメニュー変更や値上げが行われており、政府の備蓄米放出も価格への影響は限定的とされている。

(要約)

( 281491 )  2025/04/09 05:25:56  
00

マルフク中浦和本店で店頭に並ぶコメは「あきたこまち」だけだった(4日午後、さいたま市桜区で) 

 

 コメの価格高騰が埼玉県内でも続き、消費者や小売業者らを悩ませている。コシヒカリ(5キロ・グラム)のさいたま市内での小売価格は2000円台前半で推移していたが、全国各地で品薄となった昨夏の「令和の米騒動」以降、急上昇し今年に入って4000円を超えた。3月には政府備蓄米が放出されたが、価格への影響は不透明な状況だ。 

 

 「仕入れ値は昨年の倍以上。お客さんには申し訳ないが、値段は下げられない」。さいたま市のスーパー「マルフク」の福島晶彦社長はため息をつく。 

 

 マルフク中浦和本店では今月4日、秋田県産「あきたこまち」を5キロ・グラム4622円(税込み)で販売。1年前は2000円を下回っていたという。入荷量も少なく、福島社長は「元々3~4種類そろえていたが今はこの1種類。これでは特売もできない」と話す。 

 

 同市南区の主婦(41)は小中高校の子ども3人がいる5人家族で、1日にコメを8合ほど炊く。最近は主食をパスタに切り替えることも多いという。主婦は「いつになったらコメの価格が以前のように安くなるのか。なぜ流通量が増えないのか」と不満を漏らす。 

 

 高騰の影響は飲食店にも。川越市の中華料理店「二代目蝦夷(えぞ)」は、総重量8キロの丼など「デカ盛り店」として知られている。から揚げや焼き肉などにライス400グラム(大盛りのお茶わん約2杯分)をセットにした定食が人気だが、昨年12月に定食や単品ライスなどを40~100円値上げした。今後も再値上げを予定しており、さらにおかずとご飯をセットにした定食形式の提供をやめることも検討しているという。 

 

 岡安清純店長は「光熱費や人件費も上がっていて、値上げをしなければどうにもならない。早くコメの価格も在庫も安定してほしい」と話す。 

 

 昨夏のコメ不足は、新米が出回る前の端境期に起き、政府は当初、「新米が流通すれば価格高騰も収まる」としていた。だが新米が出荷された昨秋以降も価格は右肩上がりに高くなっている。 

 

 

 政府は今年3月、2回に分けて計21万トンの備蓄米を放出した。農林水産省は供給量の増加が目的としているが、埼玉県内の米穀店やスーパーなどと取引するコメ卸会社によると、全体の入荷量に対して備蓄米の供給量はごくわずかで、仕入れ担当者は「一時的に価格が下がってもすぐ戻ってしまうだろう」と、放出の効果は限定的とみている。 

 

 一方で、今後の米価については「今までが安すぎたが、急激に上がりすぎた面もある。5キロ・グラムあたり3500~4000円程度が適正ではないか」と話している。 

 

 

 
 

IMAGE