( 282324 )  2025/04/12 06:12:53  
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カーボンニュートラルの流れの中、EUの欧州委員会やヨーロッパの自動車メーカーがEV普及を進めている一方、国内自動車メーカーは新しいエンジンの開発に取り組んでいます。

石油採掘コストの上昇や燃料の高騰を考えると、エンジンの重要性が再評価されています。

EVの航続距離が課題とされる中、エネルギーアナリストは、充電設備の整備が進めばEVも利用が可能になると指摘しています。

(要約)

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エネルギーアナリスト 大場紀章さん 

 

カーボンニュートラルが叫ばれる中、EV普及を進めてきたEUの内閣にあたる欧州委員会とヨーロッパの自動車メーカーの動向に変化がありました。一方、国内自動車メーカー各社は新エンジンを発表。バイオ燃料や水素をはじめとするカーボンニュートラル燃料の開発も進められています。なぜいま、エンジンが注目されているのでしょうか。 

 

各界の専門家やクルマ好きを一堂に集め、現実的なクルマのミライの行方を徹底討論しました。 

 

2025年3月29日放送「クルマとミライ増刊号 エンジンが教えてくれた 脱炭素、本当の敵は…」 

 

地球温暖化に歯止めをかけるため、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を削減することが求められています。現在、世界が掲げている目標は「2050年にCO2などの新たな排出をゼロにする社会」です。 

 

「新しい油田が見つかっていない」と大場さん 

 

エネルギーアナリストの大場紀章さんは、「いずれは電気自動車に切り替えていかないといけない」と話します。 

 

大場さん: 

「最近は新しい油田が見つかっていないんです。このままガソリン車を使い続けると、どんどんガソリン代が上がります」 

 

なぜなら「40年前のコストで掘れた石油はもう掘れない」からと続けます。 

 

「これから10年~20年後はさらに高いコストで石油を掘る必要がある」 

 

「現在は石油危機があった1970年代に比べると、石油の採掘コストは3〜4倍も高い状況です。これから10年~20年後はさらに高いコストで石油を掘る必要があり、石油の価格も上がります」 

 

電気自動車が普及すれば、石油の消費量を削減可能になります。さらに電気自動車が電気を使うことで、「再生エネルギー由来の電気が活用されやすくなる」との見方を示します。 

 

自動車経済評論家 池田直渡さん 

 

自動車経済評論家の池田直渡さんも、石油の採掘コストが上がり、価格が上がっていくのではないかと懸念します。そこで池田さんが注目しているのがトヨタのマルチパスウェイです。「マルチソリューション(マルチパスウェイ)によって、新たな時代が始まるのではないか」といいます。 

 

2025年1月に開催された「東京オートサロン2025」 

 

そんな池田さんは2025年1月の「東京オートサロン 2025」を訪れ、トヨタが現在開発中のハイブリッド車用エンジンを目の当たりにしました。最大600馬力あたりまで出せる予定で、「トラックからスポーツカーまで、“何でもできる”エンジン」と池田さん。 

 

 

ハイブリッド車用エンジン 

 

池田さん: 

「エンジンを電動化時代に適合させることが非常に重要。電池はエネルギー容量が小さいので、空力を良くして燃費効率を上げなくてはいけない。このハイブリッド車用エンジンは、高さをすごく減らして設計されています。  

 

まずは燃費効率を上げて、CO2をリデュースすること、減らしていくことを考えているのが今の状況です」 

 

池田さん「EVも燃料電池車も、今はエンジンには勝てない」 

 

各メーカーのエンジン開発を目の前で体験した池田さんは「EVも燃料電池車も、今はエンジンには勝てない」との見解を示しました。 

 

エネルギー密度の比較 

 

しかしエネルギーアナリストの大場さんが警鐘を鳴らすように、石油の採掘コストは上昇し続け、ガソリン価格も上がる一方。少しでもガソリンの消費量を減らすには、EVの普及が必要とも思えますが…課題となるのがEVの航続距離です。 

 

航続距離にかかわってくるのが「エネルギー密度」。「エネルギー密度」とは、物質が重量・体積当たりで蓄えることができるエネルギー量のことです。リチウムイオン電池が1kg当たり100Whに対して、ガソリン・軽油は1kg当たり1万2000Whです。 

 

ガソリンの航続距離はリチウムイオン電池の30倍 

 

国立環境研究所の試算(2010年)によると、それぞれ10kgだった場合の航続距離は、リチウムイオン電池が5km、ガソリンは150km以上と30倍です。 

 

さらに重さ約1500kgのクルマが100kmに進むためには、リチウムイオン電池が200kg必要なのに対し、ガソリンは6.4kgとかなりの差があります。 

 

充電設備の少なさが課題に 

 

航続距離では不利なEVですが、大場さんはさまざまな場所にEVを充電できる環境が整えば、問題なく使えるようになるかもしれないと話します。 

 

「集合住宅に充電設備がなく、使える環境が整っていないのが現状ですが、自宅で充電できる環境があれば、必ずしも航続距離が長くなくても、結構使えるかもしれません」 

 

●大場紀章(おおば・のりあき)エネルギーアナリスト 

愛知県江南市出身。ポスト石油戦略研究所代表。専門は化石燃料供給、エネルギー安全保障問題など。 

 

●池田直渡(いけだ・なおと)自動車評論家 

神奈川県生まれ。出版社勤務を経て独立。クルマのメカニズムと開発思想・社会情勢・法規制などの結びつきに着目し、各誌で執筆中。 

 

(2025年3月29日放送「クルマとミライ増刊号 エンジンが教えてくれた 脱炭素、本当の敵は…」より) 

 

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