( 282546 )  2025/04/13 04:41:44  
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文部科学省=東京都千代田区で2017年2月21日午前9時6分、北山夏帆撮影 

 

 全国の公立学校で障害がある児童・生徒を担当する教員の給料に上乗せして払われている特別支援の「調整額」が、2027年から引き下げられることが文部科学省への取材で判明した。文科省は通常学級で学ぶ障害児が増え、特別支援を担当する教員の特殊性が薄まったためとしているが、今国会で審議されている教員給与の引き上げに向けて財源を捻出する目的もあるとみられる。 

 

 調整額は、今国会で支給割合の引き上げが議論されている「教職調整額」とは別。前者は専門性の高い特別支援学校・学級、通級指導の担当教員を対象に支給されるのに対し、後者は残業代を支払わない代わりに給料月額の一定割合を一律上乗せしている。 

 

 文科省によると、特別支援の調整額は現在、給料月額の3%相当額が加算されており、支給額は1万円前後のケースが多い。文科省は27年1月以降、2年連続で支給率を0・75%ずつ引き下げるとしており、引き下げ分は28年に1・5%相当にする。 

 

 一方、国会では現在、教職調整額の支給率について、現行の給料月額4%を26年1月以降1年に1%ずつ引き上げ31年に10%とする関連法案が審議されている。成立すれば特別支援の調整額減額分は相殺される計算だが、給与の増額幅は通常学級を担当する教員に比べて小さくなる。担当者は「特別支援の調整額引き下げ分を上回る処遇改善がなされるので、手取りは増える」と説明している。 

 

 特別支援の調整額を巡っては、中央教育審議会(文科相の諮問機関)が24年8月の答申で、担当教員だけではなく通常学級を含む担任らを対象とする職務に応じた処遇の検討を提言。文科省によると、24年12月の財務省との予算折衝で財務省側からは調整額をなくすよう求められたが、専門性や知見のある特別支援担当教員への処遇は維持されるべきだとして、支給率の引き下げで合意していた。 

 

 このほか、26年は小中の教員に支給されている義務教育等教員特別手当の支給率についても、現行の給料月額1・5%相当を1%に引き下げる方針。【斎藤文太郎】 

 

 

 
 

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