( 282884 )  2025/04/14 05:58:46  
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学生アルバイトは、カスタマーハラスメントの対象になりやすい。

その理由として、年齢が若いことや仕事に慣れていないことが挙げられる。

飲食店での経験を共有する学生たちは、様々なエピソードを明かし、客からの理不尽な要求や横柄な態度に困惑している。

不快な体験やクレームに対応する際、学生らはしばしば未熟な面を晒される一方で、客の側も学生や臨時スタッフに八つ当たりをする傾向があるようだ。

(要約)

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学生バイトがカスハラ被害に遭いやすいのはなぜか(イメージ) 

 

 飲食店でカスタマーハラスメントの対象になりやすいのが、学生アルバイト。年齢が若い、仕事に慣れてない……などの理由からか、客から理不尽に詰め寄られた経験のある学生バイトは少なくないようだ。 

 

 2月下旬には、タリーズコーヒー青森空港店でカスタマーハラスメントに対する警告の張り紙が話題になった。客がスタッフに対して「大声で怒鳴りつける事案が2件発生」したといい、店側が《フェローに対して怒鳴りつける行為はおやめください》と注意を促す内容だった。 

 

《当店フェローは、大人だけじゃなく学生フェローも在籍しています。皆一生懸命に頑張っています》と、スタッフを守る姿勢を見せた同店の毅然とした態度には称賛の声も集まった。逆に言えば、学生バイトに横柄な態度を取る客が少なからずいるというのもまた事実なのだろう。さまざまな飲食店で働く現役学生たちが、実際に経験したエピソードを明かす。 

 

 東京都郊外の牛丼チェーン店で働くAさん(男性/大学2年生)は、「そもそも牛丼は料理が早く提供され、すぐに食べられるから選ぶ、という人は多いと思いますが……」と前置きしたうえで、「スピード勝負なので、少しでももたついてると思われると、すぐに怒号が飛ぶ」と漏らす。 

 

「牛丼店では、他の飲食店に行く時よりも“待てなくなる”人が多いイメージです。提供が遅かったり、会計が遅かったりすると、『遅い!』『早くして!』と怒鳴られるのはしょっちゅうです。時間に追われて気が荒立っている人も多く、先日は電話で『あれをしとけと言っただろ!』みたいな感じで喧嘩腰で話をしながら牛丼を食べ、周りのお客さんからも白い目で見られている人がいました。そういう人を接客する時は、何を言われるかわからないのでドキドキします」(Aさん) 

 

 神奈川県にある大衆向け回転寿司チェーン店で働くBさん(女性/大学3年生)は、「子連れ客のなかにとんでもない客がいた」と振り返る。 

 

「先日、小学生ぐらいの子供を連れた男性に呼ばれて席にうかがうと、私に向かって『子供の料理が温まり切ってないじゃないか!』と怒り口調で文句を言ってきたんです。料理は子供向けのうどんで、謝って取り替えましたが、器を触った感じでは、むしろ子供が食べるには適温。食べるまでに冷めただけなのでは、とも思いました」 

 

 さらにこの男性は、何度もBさんを呼びつけては「子供向けに頼んだケーキの写真と現物が全然違うじゃないか」「作り直せ、取り替えろ」などと怒鳴り続けたうえ、会計を終えたあとのテーブルはまさに“食べ散らかし”状態だったという。 

 

「お皿の上にゴミが乗っているし、テーブルの上には醤油やお茶がビタビタにこぼれていたりして本当に汚かったです。もちろん片付けるのはこちらの仕事なのですが、私がテーブルを拭いていると、扉を出るまでの通りすがりに『子供がやっちゃってさ』と薄ら笑い。子供がやることならすべて許さないといけないのか……と、なんだか腑に落ちませんでした」 

 

 

 事件が起こるのは、大衆的なチェーン店ばかりではない。都内の比較的価格帯の高い居酒屋で働くCさん(女性/大学1年生)は、「外国人よりも日本人の方が客層悪いことが多い」と自身の印象を語る。 

 

「よく外国人観光客のマナーが取りざたされますが、海外からのお客さんは比較的早く帰るし、客層もそこまで悪くないです。むしろ日本人の年配男性のお客さんで、やたらとタメ口きいてきたり、大学や出身地、さらにはいま住んでいる場所まで、プライベートな内容を聞いてくる人が結構多いです」 

 

 その居酒屋はCさんにとって初めてのバイト先であったため、デリカシーのない客の言動には戸惑ったという。当時を振り返り、Cさんは「社会に出る前に恐怖を植え付けないでほしい」と嘆く。 

 

「私が若いから、娘に接するような感覚で馴れ馴れしい態度を取ってくるのかもしれませんが、どういう反応をしたらいいのかわからず、困るからやめてほしい。タメ口は、上から目線でバカにされてる感じがして、接客するのが怖くなります」(Cさん) 

 

 都内のイタリアンレストランで働くDさん(男性/専門学校2年生)は、ある女性客の行動で嫌な思いになった経験を明かす。 

 

「ある時、女性客の方から『ホットティーにミルクもつけてもらえますか?』と聞かれました。うちの店では『ミルクティーの場合、ホットティーより少し料金の高い別メニューになります』と伝えたら、『頼みたいのはミルクティーではなくて、ホットティー』だと言われた。そこで、無料サービスのコーヒーフレッシュを持っていったら、『紅茶と一緒に出すミルクと言ったら牛乳のことでしょ? あなた、こういう店で働いていてそんなことも知らないの?』と、私のことを馬鹿にするように言ったんです」 

 

 Dさんは納得いかないながらも先輩スタッフを呼んでその場を収めてもらったが、「僕のことを馬鹿にするような一言は必要だったのでしょうか?」と疑問は消えない。 

 

 近頃は単発バイト人材で人手不足を補う店も増えているが、Dさんの働く店ではそのような臨時的な人材もまた、迷惑客やクレーマー被害の対象になっているという。なぜなのか。 

 

「臨時のスタッフだと、客側としても何を言ってもその場限りという感じだからでしょうか。本当に問題ごとがあるなら、学生バイトや臨時スタッフに言っても根本的には解決しないので、社員に伝えないといけない。それなのに社員ではなく学生や臨時スタッフに居丈高になるというのは、ただただ八つ当たりをして、相手に謝らせたいだけですよね」(Dさん) 

 

 学生バイトたちは、冷静に社会の大人たちを見ている。 

 

 

 
 

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