( 282909 )  2025/04/14 06:14:18  
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2025年度の基礎年金受給額が6万9308円で、支給は6月13日から始まる。

年金からは所得税、住民税、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料が差し引かれ、手取り額は異なる。

月額15万円の場合、手取り額は約13万1475円で、年間約22万円が差し引かれる。

年金の手取り額を増やすためには、年金受給額を増やすか、税金や社会保険料を減らす方法がある。

社会保険料は厳しいため、所得を減らすことで税金を軽減する方法も検討できる。

(要約)

( 282911 )  2025/04/14 06:14:18  
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Kiranao/shutterstock.com 

 

この春から年金生活に入る人もいるでしょう。2025年度の基礎年金受給額は6万9308円と、前年度から1308円増加しています。2025年度の金額で支給が始まるのは6月13日からです。 

 

年金からは、給与と同じように税金や社会保険料が差し引かれます。つまり、支給される年金額と手元に残る年金額は異なるのです。年金受給額が月額15万円の場合、手取り年金額はいくらなのでしょうか。この記事では、年金から差し引かれるお金や手取り年金額について解説します。 

 

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年金から差し引かれるお金は、以下の5つです。 

 

所得税 

 

 ・65歳未満:年間の年金受給額が108万超 

 ・65歳以上:年間の年金受給額が158万超 

住民税 

 

 ・以下の条件をすべて満たす場合・65歳以上・老齢もしくは退職を理由に年金を受給・年間の年金受給額が18万円以上 

国民健康保険料 

 

 ・以下の条件をすべて満たす場合・後期高齢者医療制度の該当者を除く65歳以上75歳未満・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給・年間の年金受給額が18万円以上 

後期高齢者医療保険料 

 

 ・以下の条件をすべて満たす場合・75歳以上か後期高齢者医療制度の該当者・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給・年間の年金受給額が18万円以上 

介護保険料 

 

 ・以下の条件をすべて満たす場合・65歳以上・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給・年間の年金受給額が18万円以上 

※国民健康保険料および後期高齢者医療保険料は、介護保険料との合計額が特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は、天引きされない。 

 

上記の税金や社会保険料は、年金の受給額や受給事由が条件を満たしている場合に差し引かれます。所得税や住民税は、所得額が一定以下であれば非課税となるため、年金受給額や年金以外の所得が少ない場合は、差し引かれない可能性があります。 

 

一方、社会保険料は生涯にわたって納付が必要です。老齢年金を年間18万円以上受け取っているのであれば、年金からの天引き対象になるとおさえておきましょう。 

 

条件を満たしておらず税金や社会保険料が年金から差し引かれない場合は、納付書などで納めます。とくに介護保険料については年度の途中で65歳になった場合、天引きが始まるまでに期間が空く可能性があります。天引きされると勘違いして、納め忘れないよう注意しましょう。 

 

次章では、月額15万円の年金の手取り金額を解説します。 

 

 

年金受給額が月額15万円の場合、税金や社会保険料はいくら差し引かれるのでしょうか。この記事では、東京都新宿区在住の単身世帯の年金受給者を例に、手取り年金額を試算していきます。 

 

計算結果は、以下のようになりました。 

 

 ・所得税:1万1000円 

 ・住民税:3万2000円 

 ・国民健康保険料:9万2180円 

 ・介護保険料:8万7120円 

 ・差し引かれるお金の合計(年額):22万2300円 

 ・差し引かれるお金の合計(月額):1万8525円 

 ・手取り(年額):157万7700円 

 ・手取り(月額):13万1475円 

月額約2万円、年間約22万円が税金や社会保険料として年金から差し引かれます。比重が大きいのは国民健康保険料や介護保険料といった社会保険料です。 

 

国民健康保険料や介護保険料については、これまで会社で働いていた人はとくに高額だと感じるでしょう。会社の健康保険料は事業主と折半のため、本来の保険料の2分の1を納めればよいものでした。 

 

しかし、国民健康保険の被保険者になると、保険料を全額自身で負担しなければなりません。介護保険料については、全額自身で負担する必要があるうえ、65歳以上の被保険者である第1号被保険者になると保険料の算定基準が変わります。そのため、差し引かれる金額が大きくなっているのです。 

 

国民健康保険料や介護保険料は自治体によって異なりますが、月額15万円の年金を受け取る人は約2万円が手元から差し引かれるとおさえておくとよいでしょう。 

 

次章では、手取り年金額を増やす工夫を解説します。 

 

手取り年金額を増やすには、年金の受給額を増やすか、税金や社会保険料を減らす必要があります。 

 

年金の受給額を増やす主な方法は、以下のとおりです。 

 

 ・退職後も働いて社会保険(厚生年金)に加入し続ける 

 ・年金の繰下げ受給をする 

定年後に再雇用されれば、引き続き厚生年金や健康保険に加入できます。将来の年金受給額を増やせたり、国民健康保険に比べて保険料の負担を軽くできたりするのがメリットです。 

 

また、年金の繰下げ受給も効果的です。1ヵ月繰下げするごとに0.7%の年金が増額され、最長で10年間の繰下げができます。1年ごとに8.4%、10年間で84%の年金を増やせるのです。ただし、繰下げ期間中は年金を受け取れないため、年金以外の資産の備えが必要です。また、税金や社会保険料は天引きされないため、納付書や口座振替などで納付する必要があります。 

 

税金や社会保険料を減らすのであれば、限られた手段を有効活用する必要があります。社会保険料は減額しにくいため、所得金額を少なくして所得税や住民税を減らしていくことを検討しましょう。 

 

たとえば、相続対策として契約することが多い生命保険料については、保険料の一部が所得控除の対象です。 

 

保険金を受け取った年以外は、所得が少なくなり税額を抑えられる可能性があります。 

 

また、ふるさと納税で自治体に寄附をすれば、寄附額から2000円を差し引いた金額が所得税・住民税から控除されます。ふるさと納税は節税対策にはなりませんが、税負担を減らして手取りを増やせるうえ、寄附した自治体から返礼品を獲得できるお得な制度です。家計に余裕がある場合は、ぜひ試してみましょう。 

 

 

月額15万円の年金からは、約2万円が税金や社会保険料として差し引かれ、手元に残るのは約13万円です。将来受け取る年金額を確かめる際は、額面金額だけでなく手取り金額も気にしておかなければなりません。 

 

将来の年金額の確認などができるねんきん定期便には、手取り年金額が記載されません。額面の金額からいくらか少ない金額が実際に振り込まれるとおさえておきましょう。 

 

 ・国税庁「高齢者と税(年金と税)」 

 ・日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」 

 ・中野区「年金から介護保険料が天引きされないのは、なぜですか?」 

 ・新宿区「住民税について」 

 ・新宿区「保険料の計算方法について」 

 ・新宿区「介護保険料の決まり方」 

 ・日本年金機構「年金の繰下げ受給」 

 ・国税庁「No.1140 生命保険料控除」 

 ・総務省「ふるさと納税のしくみ」 

 

石上 ユウキ 

 

 

 
 

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