( 283081 )  2025/04/15 05:15:02  
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政府が過去に実施した主な給付・減税措置 

 

自民党の森山裕幹事長が令和7年度補正予算案の編成を明言したことを受け、経済対策の議論が活発化している。食品の値上げラッシュで疲弊する国民からも、現金給付や減税の早期実施を望む声がある。ただ、トランプ米政権の高関税政策による家計への影響が具体化しない中での実施には「夏の参院選対策のばらまき」との批判もある。 

 

■例年2兆円程度の上振れ税収も財源か 

 

「赤字国債を出さない範囲内でやらせてもらいたい」。これが補正予算案編成に当たり、森山氏が13日に出した条件だ。 

 

7年度当初予算では、77兆8190億円と過去最大の税収を見込む。第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは「例年、2兆円程度の税収の上振れが発生する。これに加え金利上昇に備え国債費を多めに見積もった分の浮揚効果も補正に回せる」と指摘する。 

 

■現金給付の効果には疑問符も 

 

経済対策では、自民で所得制限を設けず3万~5万円を給付する案が浮上、公明党には10万円の給付を求める案もある。また、与野党問わず消費税減税への圧力も強い。 

 

政府は過去にも景気浮揚を狙い現金給付や減税を実施してきた。ただ、その消費喚起効果は疑問視されることが多い。 

 

リーマン・ショック翌年の平成21年には1人当たり1万2千円を給付。新型コロナウイルス禍に突入した令和2年には、一律10万円の特別定額給付金を支給した。うち平成21年の給付について、内閣府が経済効果を分析した際は4分の3が貯蓄に回ったと結論付けた。 

 

昨年には物価高対策で1人4万円の定額減税を実施したが、これも「仕組みが複雑過ぎる」などと不評に。煩雑な計算に追われた企業の経理担当者にも負担がかかった。 

 

■消費税の減税が効果的でも慎重論 

 

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストが1人当たり5万円、総額6兆円規模の現金給付に伴う国内総生産(GDP)押し上げ効果を試算したところ、0・25%にとどまった。同規模の財源を使えば消費税を2・5%程度減税できるが、その際の押し上げ効果は0・51%と現金給付の倍以上になる。 

 

消費するほど恩恵が受けられる消費税減税は経済効果を見込みやすい。だが、社会保障の財源でもあるため、政府・与党内には慎重論が根強い。 

 

 

■現金給付は「政治的な側面が強い」 

 

木内氏は「一時的な物価の上振れには時限的措置で対応するのが原則」だと指摘し、許容できる経済対策として低所得世帯への給付金を挙げる。その上で、所得制限を設けない場合でも「赤字国債の発行を避けるには、3万円程度の給付に収めるのでは」と予想する。 

 

とはいえ、状況が刻々と変わるトランプ関税の家計影響を現時点で推し量るのは難しい。木内氏は現金給付について「トランプ関税を口実に、参院選で有権者にアピールしたい政治的な側面が強い」と指摘、物価高対策のあり方を疑問視する。(米沢文) 

 

 

 
 

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