( 283461 )  2025/04/16 07:06:12  
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インタビューに応じる日銀の植田和男総裁=14日、日銀本店(松井英幸撮影) 

 

「トランプ関税」が猛威を振るい、大規模な金融緩和政策からの正常化を進める日銀が試練を迎えている。金融市場が急変動し、景気悪化懸念が強まる中、経済活動に対する抑制効果を持つ利上げの判断は慎重さが求められる。日米関税交渉では通貨問題も議論される見通しだ。円高リスクへの警戒論もくすぶっており、気が休まらない展開が続く。 

 

日銀の植田和男総裁は産経新聞の単独インタビューに応じた。 

 

金融市場は4月に入り、動揺が激しくなっている。日経平均株価は先週、連日1千~3千円程度の騰落を繰り返した。市場の乱高下について、日銀の植田和男総裁は産経新聞の単独インタビューで「株価や為替など市場動向は見極め難いが、その経済への影響も注意する」と語った。 

 

経済・物価の見通しやリスクをつぶさに点検し、経済の下振れ懸念が強まった場合は、政策を見直す可能性も示唆した。企業は生産や輸出、投資計画の見直しを迫られる恐れがある。また、家計は将来の見通しが立たず、消費意欲の低下につながりかねない。 

 

植田氏は企業や家計の間ではすでにこうしたリスクを織り込む動きもあると指摘した。危機感が強まれば利上げをいったん休止したり、状況によっては利下げに転じたりすることが想定される。 

 

ただ、日銀の現在の政策金利水準は0・5%程度にとどまる。米欧の主要中央銀行と比べ、利下げの余地に乏しい。 

 

日米両政府が16日(米国時間)にも始める交渉も波乱含みだ。自動車や農産物の取り扱いが注目されるが、米側は通貨問題にも照準を合わせる。 

 

「第2のプラザ合意か」。市場の一部では、1985年に当時の先進5カ国(G5)がドル高是正のための協調介入に合意した「プラザ合意」が再現されるとの観測も浮上する。現実味に欠けるものの、政治的な圧力で急激に円高が進むことになれば、日本経済にとって大打撃となりかねず、日銀にとっても逆風となる。(米沢文) 

 

 

 
 

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