( 283631 ) 2025/04/17 05:23:16 0 00 日テレNEWS NNN
備蓄米が放出されたものの、コメの価格が一向に下がりません。スーパーでの平均価格は史上最高値を更新し続け、1年前の約2倍になりました。背景には何があるのでしょうか。政府は7月まで毎月放出予定ですが、今後の価格の見通しを専門家に聞きました。
そこで今回の
、「コメ価格 なぜ下がらない?」をテーマに解説します。
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小野高弘・日本テレビ解説委員 「最近みんなが感じるギモンです。備蓄米が放出され、『待ってました!』とスーパーに並び始めたはずですが、実感はどうですか?」
森圭介アナウンサー 「あんまり…。うちの近くだけ?と思ってしまいます」
直川貴博キャスター(元福島中央テレビアナウンサー) 「いや全く…。下がっているなという実感はゼロです」
小野解説委員 「『本当に備蓄米は並んでいるのか?』という方もいるでしょう。10日、鹿児島市のスーパーに備蓄米が並べられていました。このコメは去年、新潟県で生産されたものだそうです。気になる小売価格は、5キロで3650円です」
森アナウンサー 「もっと安くなるものだと思っていましたが…」
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小野解説委員 「来週には3回目となる備蓄米の放出が予定されていますが、コメ全体の価格は高いままです。農林水産省によると、スーパーでの平均価格は、14日に発表された数字を見ると5キロあたりで税込み4214円(3月31日~4月6日)です」
「統計を取り始めた2022年3月以降、14週連続で史上最高値を更新しています。ちょうど1年前は2068円でした。前年同期の倍以上になっています。1年前と比べて、コメに対する思いに変化はありますか?」
直川キャスター 「土鍋ご飯を週末にいただいたんですけれども、こそぎ取っておこげを含めて全部おいしくいただきました」
鈴江奈々アナウンサー 「1粒残らず食べないと、と思いますよね」
斎藤佑樹キャスター 「焼肉を食べる時、お肉ではなくてコメで膨らませろと言われてきたのに、それもできなくなってしまうかもしれません」
森アナウンサー 「焼肉の前にコメを食べて、と子どもに言いますけどね」
小野解説委員 「コメを1粒残らずありがたくいただこう、と昔から言われてきましたが、ますます最近そう思いますよね」
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小野解説委員 「コメの値段が高いと困るのは、私たち消費者やコメを売るスーパーなどの小売りだけではありません。コメを使う、さまざまな方面に影響しています」
「まずは、とんかつ。ブタのエサである飼料用のコメが手に入りづらくなっています。なぜなら農家さんがコメを作るにあたって主食用のコメを作る方にシフトし、飼料用のコメの生産自体が減っているからです」
「みそにも影響があります。みその専門店『佐野みそ』に聞いたところ、全国で生産されている約8割のみそが、米糀(こうじ)を使う米みそです」
「そのため影響がとても大きく、取引先である蔵元の半数から値上げの通知が来ていて、夏にかけて徐々に値段を上げていかざるを得ない、泣きたい、と話していました」
「さらに、本みりんも。『日の出みりん』は4月1日出荷分から、1~8%値上げとなりました。主な原料となるコメの高騰に加えて、燃料費などあらゆるコストが上がってきていることが原因だそうです」
鈴江アナウンサー 「みりんもみそも毎日のように使うので、痛いですね」
直川キャスター 「おみそ汁でホッとできなくなってしまいますよね」
小野解説委員 「そして、コメを使ったお菓子にも影響が。例えば栗山米菓の人気の商品『ばかうけ』は、いろんな味の詰め合わせが楽しめるアソートの味の種類を、1種類減らしたそうです。ここに企業努力が隠されています」
「コメは高いけれど値段や内容量を変えないよう、何ができるかと考えた時に、フレーバーのコストを削減したというわけです」
瀧口麻衣アナウンサー 「フレーバーの種類が減ってしまうのは寂しいような気もしますが、値段や内容量が変わらないというのはありがたい、うれしいですね」
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小野解説委員 「私たちがスーパーなどで買うコメの値段に話を戻します。値段が高く、備蓄米が放出されたら安くなるだろう、それを待って買おうと思っていた人もいるでしょう。それなのに、備蓄米が放出されたのに値段が下がらない。なぜなのでしょうか?」
「日本総合研究所チーフスペシャリストの三輪泰史さんは『これまで放出された備蓄米は小売だけではなく、給食や外食産業などにも供給されているため、まだ備蓄米が届いていないスーパーも多い。そのため店頭価格は高いままになっている』と話します」
「確かに農水省も『備蓄米の流通量がさらに増えてくれば、店頭価格にも反映されていくとみている』と説明しています。そのため政府は今後も7月にかけて備蓄米の放出を続ける予定です」
「一方で三輪さんは『業者にはコメ不足の不安感があり、備蓄米も取引が高値になっている。今後の放出は価格を下げるためのものだと政府が明確に打ち出し、例えば入札時の1社あたりの上限量を決める、取引の上限価格を設けることも検討すべきだ』と指摘します」
森アナウンサー 「需要と供給の関係があるので、グッと簡単には下がらないのでしょうが、まず下げることを徹底してほしいですよね」
斎藤キャスター 「ずっと我慢していますけれども、どこまで我慢したらいいのかもギモンになりますね」
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小野解説委員 「ではいつ、価格が落ち着くのか。3人の専門家に聞いたところ、皆さん『備蓄米の流通によって価格は一定程度落ち着いてくるでしょう』という見立てでは一致しています」
「三輪さんは『6月末には(5キロ)3500円くらいに下がるのではないか。今、台湾などからの輸入米がこの価格なので、ここを下回らないとコメ離れが起きてしまうのではないでしょうか』と話します」
「流通経済研究所の折笠首席研究員は『5月中旬に3000円台後半。劇的に変わることはないでしょう。今年度中は安くなっても3500円で、これ以上の高騰にはならないでしょう』とみています」
「宇都宮大学の松平助教は『5月末で3600円~3800円。再び価格高騰にならないために、生産者を支援して供給量と備蓄量を増やさないと根本解決にはならないでしょう』と指摘しています」
鈴江アナウンサー 「(スーパーでの平均価格が2068円という)1年前の4月の値段を見たら、本当にあの時に戻ってほしいと思うんですけれども、まずは供給量を増やす上でも、農家の皆さんが安心して作れる状況を作らないといけないですよね」
「消費者がこれなら買える、と思う価格がありますよね。一方で生産者である農家の皆さんにとっても、これなら農業をやっていけると納得できる適正な価格になっていけばいいと思います」
(2025年4月15日午後4時半ごろ放送 news every.「
」より)
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